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獣害と猪肉(ししにく)BBQ その2

農家にとって獣害は深刻です。
ちょうど熟れ頃に食べに来るとか、昼休みを狙って食べに来るとか、皆さん笑い話にして話してくれますが、実際は死活問題にかかわる大変なことであると思う。

人間界と自然界にはわりと明確な境界がある。
「昔は里山がその境界の役目を果たしていたが、それが失われるようになって云々・・・」などとよく言われる。

里山というのは、燃料である薪や炭、もしくは椎茸の原木等にするために、主にクヌギやナラなどの落葉樹を植え、人が持続可能に利用してきた雑木林(山林)のこと。
といっても、ずーっと昔から持続可能な利用がされてきたわけではなく、薪炭が主要な燃料であった時代には、常に過剰利用の状態にあり、江戸中期の頃までに当時の技術で伐採できるものの大半は失われた、とされている。
つまり、今と違って日本中禿山だらけだったわけです。なかなか想像しにくいですけど・・・。

現在、日本が緑豊かである(というよりむしろ過剰に緑である)のは、単に幸運であったからに過ぎない。
温暖で多雨(多雪)な気候のため、自然の回復力がものすごく、どれほど伐採しようと、たとえ皆伐であったとしても、放っておけばみるみる更新される。
逆に気候条件からそうはならなかったのがエジプトであり、ヨーロッパの大半であり、支那の中原の地である。
まさに日本は幸運だった。

日本で持続可能な里山の利用が実現したのは江戸時代。徳川幕府の森林保護政策により、森林資源が回復に転じた。
が、明治維新前後から木材の乱伐が横行し、里山の森林が急激に失われた・・・。
この乱伐から回復したのは戦後になって。とはいえ、これとて回復しただけ幸運だった。気候に恵まれていたからに他ならない。
日本の気候条件の下では、あらゆるものが僅か数年や数十年、まさにあっという間に自然にかえる。

ところが、日本中が焼け野原だった戦後間もないこの時は、木材需要が逼迫していたこともあり、国の拡大造林政策に従って、スギやヒノキといった針葉樹ばかりが好んで植えられた。
それまで雑木林だったところ、さらには原生林だったところまで皆伐して、針葉樹林に更新してしまった。
そしてやって来たのが、木材の自由化。
いくらなんでも遠い海外から船で運んでくるのだから、国産材より安くできるということはなかろう・・・おそらくそんなふうに高を括っていたのだろうけど、あっという間に外材に押し切られ、国内の林業は壊滅状態に。
管理の手も入らなくなって放置された結果、荒れ放題になっているのが現在の杉林、檜林の大半である。
毎年多くの人を悩ませている花粉症も、いわば人災であると言える。

高度成長の頃は、里山が失われると言えば、宅地化により里山が消滅することであったと思う。つまりは野生動物の生息域が狭められるということ。
が、今は完全に逆。里山が失われると言えば、人の手が入らなくなったことにより自然にかえってしまうことを言う。つまりは野生動物の生息域が拡大している。
過疎地の山村では特に顕著で、人間の生活圏が狭まり、代わりに動物たちの生活圏が拡大していることになる。それに伴って、動物たちの個体数も増えていると思われる。

このように、人間界と自然界の境界が曖昧になってしまったように思われる現在ですが、そんな中でもやはり境界はあります。
しかも、わりと明確。昔と比べてずいぶん人間界に押し込まれた形となっているのでしょうけど・・・。

うちの周辺で言えば、自宅付近は完全に人間界で、サルやシカといった大型の動物が自宅の近くまで下りてくることはまずない。
境界は一段上の段丘。つまり、BBQをやったパン屋のあるあたり。
このあたりの果樹畑では、サルの群れも時どき見かける。

伊那谷のこのあたりは、リンゴや梨、桃、柿を中心に、ブドウ、サクランボ、イチゴなど、果樹農家が多い。
種々の野生動物がいる中で、果樹農家にとって最も害が大きいのは、サル、ハクビシン、それからカラスといったところ。
サルと並んで最も数が多いのはシカですが、シカは稲や野菜にとって大敵であるものの、果樹にとってはそれほどでもない。

中でもハクビシンの被害が甚大なのだが、夜行性のためか、実は自分はハクビシンというものを見たことがない。
「ハクビシン」は「白鼻芯」と書く。鼻から頭にかけて白い筋があるのが名前の由来で、和名であるわけですけど、いつから日本にいるのかわからない謎の動物。
インドから東南アジアに生息する南方系の種であるのに、九州には生息せず、四国と本州に生息していることから、帰化種ではないかと言われている。
木登りが得意で、困ったことに果実が大好物。前足を器用に使ってブドウなども食べるらしい・・・。

より体が大きく、群れでやって来るので、壊滅的な被害を及ぼすのがサル。
サルについてはまた別の機会に書こうと思いますが、頭がいいだけに性質が悪いですね・・・。
百姓仕事は昼に一時間くらいの休憩をとりますが、主にその時間を狙って食べに来る。
犬を飼えばサルが来なくなる、なんて話も耳にすることがありますが、実際にはサルのほうが上手らしく、犬を野放しにしておけるならまだしも、つながれた状態ではまったく意味がないらしい。
犬がどこまで動けるのかをしっかり理解していて、その可動範囲外のところで悠々と柿やリンゴを食べているそうな。
渋柿でも関係なく食べてしまうらしいから困ったものだ(このあたりは市田柿にするため、わざわざ手塩にかけて渋柿を作っている)。

カラスも頭がいい。日本のカラスはそのうち喋り出すのではないかと思えてくる・・・。
リンゴや梨にかけた袋を、食べるためというより好奇心からとってしまう。これは腹が立ちますねぇ。
実りの季節になると、プロパンガスを使った空砲を果樹畑に設置したり(近くを通ったときに鳴ると、人間のほうがビックリする・・・)、スピーカーから「カァーカァー」とカラスの威嚇の声?を流したりしているけど、果たしてどれほど効果があるのやら・・・。
たぶん、どちらも既にカラスにばれていると思う。

これらの動物について言えることは、自然界に天敵がいないということ。
サルにしろハクビシンにしろカラスにしろ、それからシカにしても、人間以外に敵がいない。
サルなんて非狩猟獣であるから、人間さえも身に危険を及ぼす存在ではなく、まさに無敵です!

シカは全国的にものすごく数が増えていて、もはや手に負えない状態になりつつあるけど、自然界に天敵がいない以上、やはり狩猟によって個体数を調整するしかなさそうである。
その前提として・・・もっと率先して鹿肉を食べること!これしかない。
鹿肉はちょっと獣臭いというか、癖があるけれど、調理の仕方によってぜんぜんいけると思うし、自分にしてみたら羊肉よりぜんぜんいける。
今みたいに、ジビエなどと気取ったことを言ってるようではダメ。もっと普通に、安く、スーパーで買えるようにしないと。
地産地消ではないですが、せめて田舎のスーパーには普通に置いて欲しいものです。

ちなみに、アフリカのボツワナで食べたインパラとクドゥー(インパラよりかなりデカイ)は非常に旨かった。
共にウシ科の偶蹄類だからかもしれないけど、牛肉より旨かった。
きっと鹿肉だっていける!要は慣れの問題ではなかろうか(ちょっと強引すぎるか?)

ジープサファリ 朝36_サイズ変更 P1020305tr_サイズ変更
(左)インパラと(右)クドゥー(共にウシ科の偶蹄類)

ボートサファリ21tr_サイズ変更 ジープサファリ 朝10_サイズ変更
(左)クドゥーはかなりデカイ      (右)ライオンより恐れられているバッファロー 血走った目が怖ぇぇ・・・

肉屋にあったウサギの肉_サイズ変更
ヨーロッパでウサギの肉は身近な存在・・・オランダのユトレヒトにて
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