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ホイール組みは楽し その4 センター出しと振れ取り編

スポーキングを終えたホイールを振取台にセットし、ホイールとして整えていきます。
やらなきゃならないことは基本的に三つ。

1.スポークのテンションを上げる
2.リムをセンターに寄せる
3.振れ取り(縦振れと横振れ)

この一連の作業、特に振れ取りについては、人それぞれにやり方があって、おそらくこれが絶対という方法はありません。
多分に感覚的な作業ですので、試行錯誤を繰り返して自分のものにしていくしかない領域です。
といっても、基本動作のようなものはあるので、そのへんのことと、あくまで自分の場合の作業の流れについて記述します。
ちなみに、今回は作業の写真がほとんどありませんので、想像力を働かせて読んでいただきたい。

まずは下準備。
仮組みしただけでニップルがユルユルに嵌っているだけの状態で、すべてのニップルのネジ部へCRCを注す。ホイールを回しながら、ニップルの頭のほうから少量、プシュッと注してやればOK。
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これは必ずしも要る作業ではないですが、やったほうがいいですね。テンションが上がってきたとき効果を発揮します。
スポークってのは細くて長いので、簡単に捻れます。潤滑することで、多少なりともこれを防げるし、何よりニップルがなめるのを回避できます。
ニップルは真鍮もしくはアルミ製なので、簡単になめます。ニップルがなめると悲惨ですよ・・・最悪、スポークを切断する破目になります。
そのためニップル回しは、サイズの合ったものを使うのはもちろん、きちんと精度の出ているものを使ったほうがいいですよ。

下準備できたら、いよいよ作業。
まず、ユルユルのニップルをすべて、同一線上まで締める。この締めた位置が、言わば振れ取りのスタート地点ということになります。
バルブ穴から出発して、すべてのニップルの頭をマイナスドライバーで順番に締めてやる。
どこまで締めるのか、程度を決めるのは、スポークを横から見たときのネジ山の隠れ具合とか、ニップルの頭を見てスポークの出具合にするなど、何か自分で基準を作ってやればよい。
よくやられているのは、横から見てスポークのネジ部がニップルに隠れるところまで締め込むというもの。

このスタート地点の状態では、まだスポークにほとんどテンションがかかっていない。
スポーク長が適性であれば、ほとんどの場合、ネジ山が隠れるところまで締めたとき、そのような状態になっているはず。もし、ドライバーで締めることができないくらいスポークが張ってしまうようであれば、何回転か緩めたところをスタート地点とする。
リムやスポークの精度の問題もあるから、それほど神経質になる必要はないのだけれど、経験上、最初にすべてのスポークの締め込み量を揃えておくのはけっこう重要。そのほうが後々作業効率がいいように思える。

ここから徐々にスポークのテンションを上げていく。
あまり欲張らず、少しずつすべてのスポークを同じ量だけ締めていく。
最初は一回転ずつ締めるくらいでちょうどいいと思う。足りなければもう一回転、それでも足りなければさらに半回転・・・というように、ちょっとずつすべてのスポークを締めていくのがコツ。

テンションが適当にかかったら、まずはセンター出し。
”適当”というのは、”適当”ということです(笑)。
テンションがかかっていない状態ではセンター出しも何もないので、”適当”にテンションがかかっている必要があります。リムがあまり大きく偏っていると、あとで寄せるのが困難ですし、あまりギンギンに張った状態で移動させるのも難しいので、まずは一度、早い段階でセンターを確認しておいたほうがいいです。
また、もしこの段階で、あまりにもグワングワン(1cmとか)振れているようであれば、センター出しの前にある程度、振れをとっておく必要がある。

くどいようですが・・・”センター”というのは、ハブ(ロックナット間)の左右方向の中心にリムがきているか、ということです。
リムブレーキの場合の前輪なら、左右のスポーク長が同じであるから(幾何学的にハブのフランジ間の中心にリムがくる)、ある程度テンションを上げるとリムは自然に、だいたいセンターにきている。
が、後輪の場合は、ハブのフランジ間の中心にリムがないので(そのため左右でスポーク長も異なる)、一発でセンターにきていることはまずないです。だいたいは反フリー側に寄っていて、フリー側に寄せる必要がある。

【センター出し】
センター出しには、センターゲージを使う。
センターゲージといっても構造は単純で、リムからハブ(ロックナット)がどのくらい出っ張っているかを測るだけの治具です。
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最初に、ホイールの左右どちらか一面にゲージを当て、リムの二点とロックナットの一点、計三点で支持されるようにゲージをセット。そのまま、ホイールを裏返し、反対の面にゲージを当てる。
もしこのときセンターが出ていれば、反対面でも同じように、ゲージは三点で支持される。が、センターが出ていなければ、ロックナットのところでゲージが浮くか(ゲージを当てている側へリムが寄っている)、もしくはリムのところでゲージが浮く(ゲージを当てている側と反対側へリムが寄っている)。

センターが出ていない場合、リムをどちらかへ寄せる必要がありますが、これは、寄せたい側のスポークを締めるだけ。
右なら右、左なら左のスポークを全周にわたってすべて、同じだけ締め込む。どのくらい締め込むかは状況によりけり。
一度でピタッとセンターへ寄せられることはまずないので、1/4回転とか1/2回転とか、状況により少しずつ締めたほうがいいです。
ちなみに、再度センターゲージを当てるときは、ゲージをセットしなおす必要があります。先ほどとは違う状態になっていますから。

センターが出たら、振れを取りながらテンションを上げていく。
ここからは、パズルのようなものです(笑)。多分に感覚的で、楽しい作業です。

作業は、【テンションを上げる】【振れ取り】【センター出し】【なじみを出す】という四つの要素から成っています。
あっちを立てればこっちが立たず、という面が多分にあるので、テンションを上げたら振れ取りをしてセンターを確認する、というように、一連の作業を何度か回して仕上げていきます。

【振れ取り】
中でも一番複雑なのは、振れ取りですね。
「縦振れ」と「横振れ」があり、互いに相関があります。どちらかと言うと、縦振れに神経を集中したほうがいい。
基本動作と、自分なりのコツを簡単に記述しておきます。

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1.縦振れは、出っ張っている箇所を見つけ、その場所の左右のスポークを両方とも、同じ量だけ締める。左右のスポークを同じだけ締めないと、横振れが出てしまう。

2.横振れは、出っ張っている箇所を見つけ、その範囲にある、出っ張っている側のスポークを緩め、反対側のスポークを締める。これが基本。
締め込む方向だけで振れ取りをすると、スポークテンションがどんどん上がり、ガチガチになってしまうので要注意。結果的に縦振れも発生してしまいます。

3.基本はこれだけですが、まぁパズルのようで難しいです。難しくしている原因はいくつかあるのですが、もっとも顕著なのは”広範囲の振れ”ですかね。主に横振れなんですが、量自体はたいしたことないが広範囲にわたる振れ、これがなかなか厄介です。
たぶん、これといった方法はないですが、振れ始めと終わりをテープなどでマーキングして、締めて緩めてを繰り返して徐々に、地道に振れを圧縮していくしかないです。

4.物により精度にバラツキはありますが、リムというのは真円じゃないです。特に、リムの接合部分は異形となりやすく、この部分の縦振れを取ろうとすると、テンションが異常に上がってしまうので要注意。

5.諦めが肝心(笑)。縦振れ横振れともに、0.5mm程度に収まっているなら、それ以上は追求しないことです。

6.振れ取りをしているとどうしても、テンションの弱いスポークや、張りすぎのスポークが出てきます。で、そのようなスポークのテンションを適切にしようと、締めたり緩めたりすると、余計に振れが大きくなったりする・・・。
一部のテンションだけを見て、無闇にニップルを締めたり緩めたりしないことです。
この場合、そのスポークのテンションが適切でない原因は、どこか他のスポークにあります。ひとまず放っておいて、振れ取りをしたりセンター出しをしたり、全体のテンションを上げたりしているうちに、勝手にテンションが適切化されたりします。

例えば、一番簡単な例を挙げると・・・左右どちらか同じ側の三本並んだスポーク、その三本のうちの端二本のスポークのテンションを上げていくと、真ん中のスポークは緩んできます。ここでテンションだけを見て、真ん中のスポークを締めたりすると・・・収拾のつかないことになっていきます。

これは簡単な例ですが、実際はもっとずっと複雑です。
リムやスポークの精度やバラツキ(特にリム)もあるし、接触交差しているスポーク同士は互いに影響を及ぼしあう、後輪なら左右のスポークのテンションが倍近く違う、などなど。様々な要因が絡んでいるからです。
よって、無闇にニップルを締めたり緩めたりしてはダメなのです。

【テンションを上げる】
これも、こうしなければならない、というやり方は特にないです。
欲張らずちょっとずつ、すべてのニップルを締めていく。

1.1/4回転より小さな単位で回さないほうがいい。単純に、回す量を一定に保つのが難しいからです。1/8回転ずつ回すとか、たぶんやっていてわけがわからなくなりますよ。ニップルを回す量は1/4回転の倍数ずつ、これがいいと思います。

2.テンションを上げていく段階で、極端にテンションの高いスポークがあったら、目印をつけておく。そして無理にはニップルを回さないことです。同じ側の、そのスポークの両隣のスポークを代わりに締めるなど、何か別の手を考えるべきです。

3.どこまでテンションを上げるか・・・これは、他のホイールのスポークを握ってみて参考にするのがいいです。
テンションメータがあれば測定することもできますが、個人的には、ホイールを組む上で特に必要はないと思います。パークツールのTM-1なら1万円以下で買えますが、精度が甚だ疑問・・・少なくとも絶対値は信用できないでしょうね。組んだホイールのスポークテンションを、相対的に評価するくらいのことにしか使えないと思ってます。
競輪の決戦ホイールを組むわけじゃないんだから、スポークテンションを限界まで上げてガチガチに組むなんてこともないですし。

ちなみに、旅の自転車に特化したことを言うと・・・スポークテンションはあまり上げないほうがいいです。リムが割れるから・・・。
同様に、タイヤの空気圧もほどほどにしたほうがいいですよ。

【なじみを出す】
ニップルを締めてテンションを上げていくと、スポークが捻れます。簡単に捻れます。
そのままにしていても、走っているうちに捻れは自然に取れますが、捻れが取れた状態=振れている状態となります。ですので、予めホイールをいじめて捻れを取り除き、ホイールになじみを出しておくのです。

スポークの交差部を強く握ったり、リムに負荷をかけたりしてホイールをいじめる。
一番効果的なのは、ボロ布を敷いてホイールを床に置き、リムの両端を持って思いきり体重をかける。「パキッ」とか「バイ~ン」とかいって捻れが取れます。これが意外と気持ちいい(笑)。
ホイールを回して持つ位置を変えながら、ひたすらホイールをいじめる。二周くらいすればいいですかね。
終わったらホイールを裏返して、同様に二周ほど。

捻れが取れると振れが出るので、再び振れ取り、そしてセンターの確認。
【なじみ出し】→【振れ取り】→【センター確認】
最後はこれの繰り返しです。

振れはゼロにはならないので、諦めが肝心(笑)。
適当なところで切り上げます。

組んだホイールを一晩置いてみると・・・不思議と前日よりよくなっているように思えます。
これは多分に気のせいでしょうが、一晩寝かせてホイールが落ち着く、という効果もあるのかもしれません。

P1200955_サイズ変更 P1200954_サイズ変更
完成したホイール

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そして自転車に装着

最後はちょっと長くなりましたが、ホイール組みの手順は以上となります。
参考になりましたでしょうか?
願わくば、ホイールなんて組んだことのない人に、自分でホイールを組んでみるかなと、これを機会にそんなふうに思ってもらえたら・・・嬉しいかな。

おわり
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