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ホイール組みは楽し その2 スポーキング編

はじめに。スポークの組み方には種類があると前回書きましたが、まずはその点について。

大別すると、ラジアル組みとタンジェント組みがある。
ラジアル組みというのは、ハブから放射状にスポークが出る組み方で、スポークを短くできる分、軽くできるが(そしてなにより見た目がカッコイイ)、強度的には不利。つまり、実用車に採用することはない組み方です。
タンジェント組みというのが、一般的な、ママチャリなんかにも見られる普通のスポークの組み方です。

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普通にはあまり目にしないであろうラジアル組み  右は完組みホイール(マビック・ヘリウム)

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ちなみに、リアホイールについては強度上、負荷の大きいフリー側はタンジェントにするのが普通

ハブには左右のフランジがあり、タンジェントの場合は各々、フランジの外側から出るスポークと内側から出るスポークが交互に並んでいる。
スポークを組むに当たり、外側から出るスポークと内側から出るスポークを交差させるわけであるが、その組み方を場合分けすると4通りある。
このそれぞれがイタリアン組み、逆イタリアン組み、JIS組み、逆JIS組み?に相当する。

それぞれについて説明する前に・・・ちょっと複雑になりますが、何本離れたスポークを交差させるかによっても場合分けができ、4本組み(2クロス)、6本組み(3クロス)、8本組み(4クロス)とあります。
これ、日本では6本組み(間に4本挟んで1本目と6本目を交差させることからこう呼ぶ)などと呼ぶのが普通ですが、たぶん日本以外では通用せず、英語では2クロス、3クロス、4クロスとそれぞれ呼ばれる。由来は、例えば3クロスの場合なら、どのスポークも他のスポークを3度横切るから(接触交差するのは一ヶ所のみ)。

これを踏まえて組み方の話。
イタリアンというのはこのような組み方。
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写真はフリー側から見た状態で、右が進行方向、車輪は時計回りに回転する。
この場合、駆動力をリムに伝えるのは赤矢印のようなスポークということになるが、赤矢印のスポークは、全周にわたってすべてフランジの外側から出ている。写真ではちょっとわかりにくいですが、逆側の反フリー側のフランジでも同じようになっているのがわかるだろうか。

このように、駆動力をリムに伝えるスポークが、すべてフランジの外側から出るように組んだものがイタリアン。
外側のスポークのほうが負荷に強いだろうということに基づいているのですが、この「強いだろう」を科学的に証明した方がおり(日本人の井上さん)、その方の名前をとって井上組みとも呼ばれます。

これを逆にした組み方が逆イタリアンで、左右両フランジとも、駆動力をリムに伝えるスポークがすべてフランジの内側から出るように組んだもの。
リムブレーキの場合にすることはまずないですが、ディスクブレーキの場合の前輪に採用される組み方です。

一方、JIS組みというのは、言うなればフリー側をイタリアン、反フリー側を逆イタリアンにしたもので、駆動力をリムに伝えるスポークが、フリー側は外側から、反フリー側は内側から出るように組んだもの。
いわゆるママチャリというのはこの組み方で統一されていますし、競輪やピストといったトラック競技でも採用される組み方。

ピスト車のような固定ギアでバックを踏んだとき、上で述べたような駆動力を伝えるスポークとは反対のスポークに負荷がかかる。このときイタリアンだと、左右とも内側のスポークに負荷がかかることになってしまうから、ピスト車のリアには前後の負荷に対応できるJIS組みが採用されます。
また、トラックで使われる両切りハブの場合(ハブの両側にギアがある)、ホイールをひっくり返して使うことがある。ホイールを反転させるとスポークパターンが逆になるが(イタリアンなら逆イタリアンとなる)、JIS組みの場合はJIS組みのまま変わらないというメリットもある。

逆JIS組みというのは耳にしないので、そんな呼び方があるのかどうかも怪しいですが、理屈の上では存在する組み方です。
JIS組みの逆で、反フリー側をイタリアン、フリー側を逆イタリアンにしたもの。

ディスクブレーキの場合を除き、スポーツバイクでもっともポピュラーな組み方は、イタリアン6本組みです。
今回組んだ三本はすべてイタリアン6本組みとしたので、その場合の作業手順をこれから記します。

その前に余談ですが・・・競輪の自転車には8本組みが採用されますが、これは競輪選手の尋常ならざる脚力によるものでしょう。
かつて世界選を10連覇した世界の中野=中野浩一には、中野がフル加速するとトラックにブラックマークがつくとか、タイヤが焦げ臭いとか、逸話がいろいろあります。真偽のほどは知りませんが、最高速が70km/hに達する競輪選手の脚力が、想像を絶するものであることは間違いない。

さらに余談。
写真を撮るのに、久しぶりにヘリウムをじっくり眺めてみて、やはり完組みというのは凄いと改めて思った。
レース用機材として見れば、手組みホイールは、どう頑張っても完組みホイールにはかなわないでしょうね。それも圧倒的な差だと思います。
いや、クラシックなヘリウムなんてまだ可愛いものなんですよ。軽量、高剛性というレース用機材の追い求める性能において、手組みホイールが完組みホイールに追いつく日なんて二度と来ないだろうなと、そんなふうに思ったのは、ヘリウムの次に出たキシリウムを目にしたときですかね。

マビック・キシリウム・・・こいつは衝撃的なホイールだった。
登場したのは確か2000年代のはじめ頃だったと思う。しばらくして廉価版が出たり、種類がだんだん増えていき、10年以上経った今でもマビックのラインナップの中心にあるという大ヒット作です。

その頃ちょうど、ディープリムのホイールというのが流行りはじめた。
それまで軽量ホイールというのは、言わばヒルクライム用のスペシャル品という位置づけで、空力特性などはあまり考えられておらず、ツール・ド・フランスなどでも、選手は山岳ステージだけスペシャル品の軽量ホイールをはいていた。ヘリウムはそんな山岳用ホイールです。
ところが、ディープリムで空力特性に優れながら、山岳スペシャルを凌駕するほど軽い、山でも平地でもオールラウンドに使えるホイールが出てきた。その走りがキシリウムですね。

当時、いち早く買った友人のものを見せてもらったことがあったのですが、衝撃的でしたね。
リムとハブはもちろん、スポークまで専用設計!このスポークに驚きました。
普通の丸いスポークじゃないんですよね。エアロスポークというのはそれ以前からあるけど、それとも違う。
見た目はごついのだけれど、ものすごく軽い。なんかもう、それまでのスポークとはまるで違う何かという感じでしたね。衝撃的だった。

高剛性のリムを、少ないスポーク本数で高テンションに張る、という今も続く流れは、おそらくキシリウムが始まりでしょうね。
リムもハブもスポークも、すべてが専用品。縛りなく自由に設計されたホイールを見るにつけ、レースのような表舞台で手組みホイールの出る幕は二度とないだろうなと、そんなふうに思わされた衝撃的なホイールでした。

いかん。スポーキングの作業手順について書くつもりが・・・毎度ながら、話があらぬほうへ行ってしまいました。
前置きがすっかり長くなってしまったので、ここでいったん切ろうと思います。

つづく
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