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剱岳 小窓尾根(2003年正月)

「 '02冬合宿: 剱岳・小窓尾根 」

2002/12/29 ~ 2003/1/2
メンバー: CL 町田、SL 長山、深谷、児玉、小杉、村田

2002/12/29 雪
伊折 6:45 ~ 馬場島 9:15 ~ 雷岩手前 14:40

28日15:00、晴れの太田を出発するも上市は雨・・・伊折へ向かう林道の途中から雪となった。
除雪の終わるところまで車で入り、道路脇に駐車して車中泊。他にも4、5台駐車してあった。
夜がふけるにつれだんだん雪が強くなる。

翌朝雪の降り続く中、共同装備を分けて6:45伊折発。
夜のうちに30cmほどの積雪。
馬場島までは警備隊の雪上車のトレースを辿る。

馬場島に着いて児玉さんのザックを持ってみてヤバイと思った。
児玉さんのザックより重くてどうする・・・。(この頃の児玉さんの体力は凄まじく、冬合宿で児玉さんよりザックが重いというのはちょっとあり得なかった。)
この先ホントに大丈夫なんだろうか???馬場島まで予想以上に疲れたし、急に不安になってきた。
ともにザックは100L超級だが、普段は余計なものをワンサカ持って来る児玉さんも、さすがに今回ばかりはシュラフまで替え、真剣に軽量化してきた。

馬場島で警備隊にお茶をご馳走になり、各人とも山タン(発信機)を受け取って身につける。
小窓には二日前に数パーティー入っているようである。

ワカンを着用し、二日前のものらしいかすかなトレースを辿る。
取水口で大阪○MCAの四人パーティーを抜き、取水口から先は、膝上~腰までのラッセルで白萩川沿いに進む。

沢通しに4、5回渡渉を繰り返すが、途中で深谷さんが渡渉に失敗、コケて胸まで水に浸かる。ずぶ濡れになったかと思ったが、幸いにも濡れたのは片足のみ。とりあえずはよかった。人ごとに思っていると、別の場所で自分も渡渉に失敗。深谷さんと逆の足を濡らしてしまった。
ともに、石の上に積もった新雪にワカンで乗って足を滑らせたもの・・・。

とりあえず足はそのままで大丈夫そうなので、そのまま沢通しに進み、雷岩手前の河岸を整地して幕営した。
今回は6人ということで、テントは4、5人用と2、3人用の二張りを持って来た。当初はエスパースのジャンボ(8人用)を考えていたのだが、重量の面から却下した。

幕営後、自分と深谷さんが必死で靴下とインナーを火にかざしていたことは言うまでもない。
数時間の格闘の末、なんとかなるレベルまでは回復させた。
濡れた衣類で一日目からシュラフを濡らし、次の日以降寒い思いをすることになる。

2002/12/30 晴れのち雪
雷岩手前 6:30 ~ 小窓尾根取付 ~ 1,250m 8:00 ~ 1,600m 10:00 ~ 笹平(2,000m) 12:50 ~ 2,150m 13:55

4:30起床。外は満天の星空で風もない。
朝飯を食べて6:30に出発。
シュラフやザックが水を含み、昨日より確実に重くなっている気がする。

幕営場所下のトラ紐の張られているところを慎重に渡渉し、左岸へ出る。
普段ならなんでもない渡渉であるが、一度失敗するとトラウマになるのか、なんとなく体が強張っているような気がする。意識すればするほど、あらぬほうへ行きそうになるから不思議だ。
後ろから深谷さんが悪魔の囁きで暗示にかけようとするが、無視して渡渉し事無きを得る。

暫し左岸を進んだ後、雷岩を目印に小窓尾根へ取付く。
取付きからいきなり急登で、腰~ところどころ胸までのラッセル。
児玉号発進!まさに独壇場だ。
その破壊力は凄まじく、イスカンダルまで届きそうな勢いである。

急登のラッセルならまだいいが、スピードの上がる平坦部で児玉さんの直後につくのは大変だ。
パーティーでのラッセルというのは、(場合によって空身で)トップの人がラッセルをし、二番手以降はその間に体力を温存するものなのだけれど、雪があまりに多い場合は、(もちろんトップほどではないにしろ)二番手くらいまでがラッセルすることになる。
児玉さんがいっぱいいっぱい?までラッセルし、息の切れたところで「はい、交代」って渡されても・・・無理っす。
そのまま後ろの人にスルーパスを出しそうになる。後ろはすっかりちぎれていたりするのだけれど・・・。

1,250m地点、8:00。傾斜の落ちたところで一本取る。
後ろのパーティーは、ようやく出る準備を始めたようだ。

1,350~1,600mまでは、右へ回り込んだところにトレースがあり、ありがたく使わせてもらった。
途中、1,600mで諦めたという三人パーティーとすれ違ったが、どうやら彼らのトレースだったようである。

1,600mから上は膝下のラッセル。
笹平(2,000m)に12:50着。
途中、大阪鋭鋒会の三人パーティーが追いつき、先頭を代わってもらう。

その後天候が悪化し、2,150mのマイナーピークの平坦部に幕営した。
快適なテン場で、後から追いついた大阪○MCAもここに幕営。
さてはラッセルドロボー大作戦か?遅く出たのは計算ではなかろうか・・・。

2002/12/31 雪
2,150m 7:25 ~ ニードル 10:25 ~ ドーム 11:45 ~ チムニー手前 14:30 ~ 2,600m 16:20

朝方、小雪交じりのため様子を見たが、晴れ間が見えはじめたため7:25に出発。
ただし、ニードルから上は相変らず厚い雲に覆われている。

2,150m地点から15mほど下り、ワカンをアイゼンに替えて雪壁に取付く。
○MCAは早くもここで断念し、引き返していった。いったいなんだったのだろう・・・。

ラッセルは膝上~腰くらいだが、新雪が安定していないため、ところどころ乗っ越しに苦労する。
途中、雪壁を右へトラバースするところでザイルをフィックス。
急登の途中で足場が不安定なため、ハーネスの装着に苦労した。朝、出発前に装着しておくべきだった・・・。

その後は針葉樹のやせ尾根を、ニードル手前まで鋭鋒会と前後して進む。
濡れてますます重くなった荷が身にこたえる。
重荷のせいでバテ気味なのか、自分は甚だ調子が悪く、フラフラしているのが自分でもわかる。
ところどころ頭が真っ白になり、ただひたすら登っているという感じであまりよく覚えていない。まったく情けない限りだ。

ニードルは右へトラバースせず(通常は池ノ谷側を巻く)、Ⅱ~Ⅲ級5m程の岩峰をノーザイルで直上。ニードル先の雪面はコルまで難なく下れた。
ドームは右から回り込んで取付き、ダケカンバのやせ尾根を木登りを交え直上。
マッチ箱は人数の少ない鋭鋒会に先を譲り、暫しツェルトを被って順番待ち。風が強い。

鋭鋒会は抜けるのにかなり苦労していた。
ラストが半分くらい登ったところで長山さんが取付き、マッチ箱を右上気味に登り岩稜のナイフリッジへ。
町田さん以下四人がユマールの類を使い、自分がラストで上がる。

そこから稜線通しに5mほど下り、岩峰のチムニーへ。
鋭鋒会は右からチムニー沿いに上がろうと奮闘していたが断念し、池ノ谷側へ下りて幕営するようである。

我々は、長山さんリードでチムニーを左から巻き、ルンゼ状の雪壁を40mほど登った。
順番はさっきと同じだが、小杉さんのところでランニングの支点にザイルを固定したまま上がってしまったようで、通過に手間取り、かなり待たされた。
自分のいる場所からは右手の壁に隠れ状況がわからないが、上から響く町田さんの声によるとそういうことらしい。

強風の中凍えて待っていると、カランコロンと上から何か滑り落ちてきて、ルンゼの中へ消えていった。
タイブロック・・・小杉さんのかな?
そうこうしていると、ようやく町田さんから登ってこいとのコール。
結局、ザイルは一ヶ所固定したままになっているということで、そこまでザイルにタイブロックを掛けて上がり、固定を解いてからビレイしてもらった。

その後、尾根を10分ほど登り、2,600m地点の狭いハイマツの間を整地して幕営した。
ここも、大キジを撃つにはちょっと緊張する場所であった・・・。

天候は悪化するものと思われたが、予想に反して夜は風もなく静かだった。
が、一度濡れたシュラフは復活せず、いつもはあんなに暖かいシュラフがちっとも暖かくない。
隣を見ると、深谷さんのシュラフは氷が張っていてさらに寒そうであった。

FH000001二日目テン場 三日目朝tr_サイズ変更
昨日のテン場にて、朝出発前に

FH000003小窓尾根を振り返る マッチ箱手前から_サイズ変更
マッチ箱の手前付近から小窓尾根を振り返る

2003/1/1 快晴
2,600m 7:35 ~ 小窓ノ王基部 9:00 ~ 三ノ窓 9:20 ~ 長次郎ノ頭 11:30 ~ 本峰雪壁取付き 12:00 ~ 剱頂上 12:40 ~ 早月小屋 14:55

すばらしい天気!
最高のロケーションの中、雪面にしゃがみ込んで朝のお勤め。贅沢だ。

まだ薄っすらとモルゲンロートに山が染まる中、テントを撤収していると、下から鋭鋒会の三人が上がってきて先行していった。
凍りついたテントに多少てこずり、7:35出発。
小窓ノ王までは膝下のラッセル。ところどころクラストしている。

小窓ノ王の下降は状態が良く、懸垂せずに町田さん先頭で雪壁を下る。
ちなみに、懸垂の支点は小窓ノ王の南壁側にしっかりしたものがあった。

ときに、小窓尾根というのはこのあたりで終了。
ここから先はチンネを巻き、池ノ谷ガリーを詰めて北方稜線へ抜け、一路本峰へと向かう。

池ノ谷ガリーも状態が良く、膝下のラッセルで難なく通過。
池ノ谷乗越に飛び出すと、紺碧の空の下、真っ白な八ツ峰の眺めがすばらしい。
実に美しい・・・こんな青空の下で見ると、厳しさより美しさのほうが先行してしまうが、まぁ厳冬期の剱においてこんな天気は奇跡的であろう。
八ツ峰も、今日上部を登っていればいただきだっただろうか???

長次郎ノ頭、11:30。
コルから本峰の雪壁までは、かすかに残ったトレースに従う。

本峰雪壁取付き、12:00。
鋭鋒会が先行して右寄りに取り付いていたが、遅々として進まない様子。
長山さんを先頭に、鋭鋒会より左から巻くルートをとる。

結局、鋭鋒会も右寄りのルートを諦め、こちらへ合流。
両パーティー入り交じって最後の難所を越えた。
偽ピークを一つ越え、12:40、町田さんを先頭に元日の剱本峰頂上に立つ。

依然快晴の中、下界を見下ろし達成感に浸る。
ぐるっと360度、なんという眺めだろう。まったく筆舌に尽くしがたい。
個人的には、達成感というより安堵感といったほうが正確か。とにかくホッとした。

早月からも続々と人が上がってくる。
20分ほど山頂の眺めを堪能し、早月尾根を下る。
視界が利かない時はよく別山側に入ってしまうことがあるようだが、この日は終始快晴で、トレースに沿って快適に下ることができた。
早月尾根から見渡す小窓尾根の眺望がすばらしい。

14:55、早月小屋着。
小屋には警備隊の他、たくさんの人たちが詰めていた。
この日、小屋に出かけた町田さんは夜遅くまでテントに戻らなかった・・・。

FH000004三日目テン場からの眺め 四日目朝_サイズ変更
朝のテン場からの眺め

FH000008三日目テン場 四日目朝_サイズ変更
出発準備完了@昨日のテン場にて

FH000009マッチ箱-小窓の王間の稜線上_サイズ変更
リッジ上に出るとこの眺め・・・すばらしい天気!

FH000010_サイズ変更
同じ場所から進行方向を見る

FH000013小窓ノ王とチンネ_サイズ変更
小窓ノ王とチンネが見えてくる

FH000014小窓ノ王基部からチンネと池ノ谷ガリー_サイズ変更
チンネと、その脇に深く刻まれた池ノ谷ガリー(小窓ノ王基部から撮影)

FH000016池ノ谷乗越_サイズ変更
池ノ谷ガリーを詰め上がると、池ノ谷乗越・・・向かいのリッジは八ツ峰

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池ノ谷乗越にて・・・あとは北方稜線を本峰まで詰めるのみ

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八ツ峰・・・実に美しい・・・こんな青空の下で見ると、厳しさより美しさのほうが先行してしまう(厳冬期の剱においてこんな天気は奇跡です)

FH000027_サイズ変更
長次郎ノ頭付近・・・振り返ると相変わらず八ツ峰が見える

FH000032剣山頂_サイズ変更
元日の剱本峰頂上に立つ!

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同時に登頂した鋭鋒会の三名と

FH000036_サイズ変更
依然快晴!ぐるっと360度の眺め!まったく筆舌に尽くしがたい・・・ホント、こんなのは奇跡です

FH000038_サイズ変更
早月尾根を下る・・・まったく、下ってしまうのがもったいないほどの天気

FH000039小窓尾根_サイズ変更
池ノ谷を挟んで隣の小窓尾根がよく見える

2003/1/2 吹雪
早月小屋 10:00 ~ 馬場島 13:50

昨晩から雪が降り続き、夜のうちに50cm以上の積雪。
もし一日ずれていたら、たいへんな思いをするところだった。
明け方、外へ出るたびにテントの周りを除雪。

早朝に小屋からラッセルを始めた他パーティーを尻目に、余った食料でゆったりとした朝を過ごす(ホントは下るのが面倒なだけである)。

10:00、早月小屋発。
ワカンを履きトレースを辿るが、1,700m付近で先行パーティーに追いついてしまった。
松尾平までまたラッセルを引き受ける。

馬場島へ着く頃、雪もやんだ。
13:50、馬場島着。
山タンを返却し、ビールとお茶をご馳走になった上、伊折まで警備隊の雪上車で送ってもらってしまった・・・。
ビールも飲んで歩くのが億劫になっているところだったので、大変ありがたかった。お世話になりました。

気を引き締めて臨んだ初めての冬剱。
恵まれすぎとも言える幸運な天候の中、とても充実した山行であった。
が、個人的には反省すべき点も多々あった・・・。
まずは軽量化。特に今回は行動食を持ちすぎだった。
しっかり計算して持って来たはずが、山行を終えて馬場島に下りたとき、ザックには今回のコースをあと二周はできそうなくらい行動食が残っていた。
行動食はいつもあまり食べない(場所によりけりだけど)とわかっているのだが、特に冬場は、不安のためかなり多目に持ってしまうのが常である。
今回、持って行って食べたもの/食べなかったものをメモしておいたので、今後の参考にしたい。
もっとも、余計に持って行ってもそれを背負える体力があれば問題ないわけで(軽量化は大事だが)、何より体力増強が必要であると痛感した。
今後ますます精進し、楽しい山行をしていきたいと思う。
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