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鹿島槍ヶ岳 天狗尾根(2005年三月)

前回の北鎌の記事で、最後にちょこっと話に出た鹿島槍の天狗尾根。
この山行も写真と原稿がありました。

写真は前橋山岳会の角田さんからいただいたもので、撮影も角田さんです。
過去の山行の写真では唯一、デジカメで撮影したものであります。さすが!
きれいな写真をありがとうございます!

「 鹿島槍ヶ岳・天狗尾根 」

2005/3/19 ~ 21
メンバー: CL 角田(前橋)、SL 村田、茂木(前橋)、児玉

一月の末頃だったか、どこかへアイスに行った帰りの荒船の湯で、前橋山岳会の角田さんらとばったり会い、「三月の三連休に鹿島の天狗尾根に行かないか」と誘われた。
三連休は有休をとってどこかスキーに行こうとおぼろに考えていたのだが、たまに他会の人と一緒に山へ行くのもおもしろそうだなと、天狗尾根行きを決めた。
メンバーは前橋の角田さんと茂木さんに、児玉さんと村田の混成四人パーティー。

天狗尾根自体はなんてことはなかったが、天狗の鼻から眺望し、「次は鹿島の北壁」と熱く語っていたところで、先日茂木さんがあんなことになってしまい、誠に残念である。
茂木さんの早すぎる死に、深い哀悼の意をささげます。

2005/3/19 晴れ、強風
大谷原 7:30 ~ 尾根取付き 10:00 ~ 天狗の鼻 14:30
 
前晩、長野は雪。大谷原あたりは道路にも雪が積もっている。
集合場所の誤認で、角田さんとの合流に手間取る。
途中、バカなキャンピングカー二台が坂道で立ち往生して道を塞いでおり、避けきれず車のリアを軽くヒット。
タイヤをロックさせたまま上から滑り落ちて来るミニバンもいるし、まったく・・・冬タイヤも履かずにこの時季山に来るんじゃねーよ!

なんとか角田さんと合流し、ゲート隣りの無料駐車場で軽く飲んで車中泊。
茂木さんはいつもの通り仕事の上がりが遅く、後から来るとのこと。

3/19朝、茂木さんが見当たらないと角田さんから電話があったが、何台か挟んだ先に茂木さんの車も来ていて一安心。
聞けば、ゆうべ仕事の上がりは22:00で、到着したのは3:00過ぎとのことだった。金曜だってのに大変ですね・・・。

準備して共同装備を分け、7:30発。
ゲートを越えて林道を歩く。橋の手前まで除雪されている。
ゲートを突破してここまで入ってる車が数台あったが、たいした距離じゃないんだから横着しないで歩きゃいーのに・・・。

橋の先もずっと、しっかりしたトレースあり。
橋を渡って少し行った分岐で右に入り、右岸沿いに進む。
雪の量はワカンなしで脛から膝くらい。

堰堤の先で一度渡渉。
四月頃だと水量が多く、渡渉に苦労しているみたいだが、今回は水量が少なく、川幅も2mくらいで飛び石で容易にこなせる。

その先でもう一度渡渉。さらに容易。
トレースはその先の壊れた吊り橋の手前で右岸へ渡渉しているが、雪の量が多く、吊り橋の上流は雪に埋まっていて容易に渡れる。
途中、荒沢奥壁に行くという二人パーティーに道を譲る。
雪の少ない時季だときわどいへつりなどがあるようだが、雪の多い今回は特に問題となる箇所はなかった。

荒沢出合から200mほど荒沢を詰めたところから尾根に取り付く。トレースあり。
ほどなく10人近くいる大パーティーに追いつき、先行する。

尾根上に出ると、物凄く風が強い。
さすがに厳冬期のような寒さはないが、吹き飛ばされそうな風に耐風姿勢をとること暫し。
この風には閉口した。ところどころ四つん這いで進んだり、風が途切れた隙にサッと移動したり・・・なかなか進めない箇所があった。

尾根上には先行パーティーがうじゃうじゃいた。
ほとんど人など入ってないだろうと想像してたのは甘かったようだ。がっかり・・・。

第1クーロワールは、既に階段状のトレースがついており、容易に通過。
傾斜はそれほどでもないので、このくらいの雪の状態であれば、たとえトレースがなくてもザイルの必要性は感じない。
途中、角田さんが脚がつったらしく、少々遅れる。

第2クーロワールの手前でトップのパーティーに追いついた。ようやく彼らの前にはトレースがない。
第2クーロワールも、このくらいのコンディションであれば特にザイルは必要ない。

ここまでとにかく強風に悩まされてきたが、天狗の鼻は、ちょうど空気の流れが剥離して上空を通過していくので風がなく、絶好のテン場である。
少し掘り下げてブロックを切り出し、時間をかけて快適なテントサイトを作り上げた。

天狗の鼻は、右に鹿島槍北壁、左に荒沢奥壁が見渡せ、絶好の観察ポイントである。
今回も荒沢奥壁、もしくは鹿島槍北壁を狙っているパーティーがいくつかあった。
ちなみに、前日降雪があったようで、天狗の鼻より上は雪の状態が極めて悪い。
雪がぜんぜん締まっておらず、雪壁では蹴り込んだ足場が全て崩れてしまう状態だ。

荒沢奥壁は物凄いヒマラヤ襞で、傾斜も強く一見して厳しそう。
鹿島槍北壁は、それほどの傾斜でもなく、コンディションが良ければなんとか登れそうに見える。ただし、ルートが判然としない。

テント生活は、その会独自のやり方があって実におもしろく、勉強になる。
特に今回、テント内を濡らさないことに関しては、名塚さんの直伝らしく、前橋は我々よりかなり神経質になっていた。
ザックに付いた雪などは、そこまでしなくてもと思えるほど徹底的に落とす。
確かに、より厳しいとこに行けばそういうことも必要だよな、と納得。色々勉強になる。
食料計画も前橋が担当したが、ユニークなメニューだった。

角田さんと茂木さんは、お互い色々カバーし合ったり、思いやったり、実はいいパートナーなんだなと思った。
お互いなくてはならない存在に違いない。

天狗尾根下部1_サイズ変更
天狗尾根下部

第一クーロワール手前_サイズ変更
第1クーロワール手前・・・尾根上は物凄く風が強い

第一クーロワール_サイズ変更
第1クーロワール・・・既に階段状のトレースがついていた

第二クーロワール付近より荒沢奥壁_サイズ変更
第2クーロワール手前から望む荒沢奥壁・・・雪煙がすごい

第二クーロワール_サイズ変更
第2クーロワール・・・終始強烈な風だった

2005/3/20 晴れ、風は強いが昨日よりはマシ
天狗の鼻 7:30 ~ 鹿島槍北峰 10:40 ~ 鹿島槍南峰 11:40 ~ 赤岩尾根上(稜線から200mほど下) 14:40

荒沢奥壁や鹿島槍北壁を狙うパーティーは、3:00前に行動開始している。
既に4:00過ぎには、雪の状態が悪く敗退してきたパーティーがあった。

我々は急ぐ行程でもないので、予定通り4:30起床、ゆっくり準備して7:00過ぎに出発。
天狗の鼻の先まで行って、北壁をじっくり観察する。
主稜は一部ルートが判然としないとこがあり、取り付いてみないとよくわからない感じだ。
氷のリボンもどこだかよくわからなかった。

ここから天狗尾根はリッジ歩きとなる。
急な雪壁を何箇所か越えるが、やはり雪の状態は悪い。

しばらく行くと、核心となるⅢ級の岩場に当たるが、5、6パーティーが順番待ちしてる上、登っているパーティーが遅々として進まない。
取付きの少し下の岩陰で小休止後、右の雪壁から巻くことにした。

小休止中、先に岩陰に着いて様子を伺っていた二人パーティーのうちの女性に向かって、不意に茂木さんが声をかけた。
「もしかして○○さん?」
どうやらそうらしく、女性のほうも茂木さんを知っていた。
聞けば、女性は年末に北鎌で会った雪稜会の人で、なんと茂木さんが以前に所属していた会が雪稜会というではないか。
山の世界はなんと狭いことか・・・。
女性は北鎌のことも色々聞いて知っており、話が盛り上がった。彼女自身もバリバリのクライマーである。

岩場を巻くためトラバースして右の雪壁に取り付くと、雪の状態が極度に悪い。足場がまったく締まらず、崩れ落ちてしまう。
もし北壁もこんな状態なら、絶対登れまい・・・なるほど、敗退してくるのもうなずける状態の悪さだ。

正規ルートと合流後、ちょっとした岩を乗っ越す一手が悪く緊張した。
ここで運良く先行パーティーを抜き、我々と雪稜会が先頭に出た。
しばらく行くと、東尾根と合流。東尾根からもまだ1パーティーも抜けてきていないようだ。

北峰着10:40。結局、ザイルは一度も出さず。
吊り尾根を渡り、南峰着11:40。風が強く、もう少し下って樹林のとこまで行かないと休めない。
ちなみに、天狗尾根、東尾根とも、北峰に抜けてから南峰のほうへ縦走してきたのは我々と雪稜会だけで、あとの人たちは同ルートを下降するようだ。

冷山荘には1パーティーがテントを張っていて、さらに、赤岩尾根の最後の雪壁を登っている大勢の人が見える。
今日第2クーロワールの下から来た雪稜会はここに幕営するとのことだが、稜線上は風が強そうなので、我々は赤岩尾根を下って途中に幕営することにした。

赤岩尾根の出だしも、懸垂下降するガイドパーティーの脇をノーザイルで難なく下れた。
時間的には今日のうちに車まで下ることも十分可能であったが、せっかくなので、稜線から200mほど下りた尾根上に斜面を切って幕営(14:40)。
夜になって風が強くなることを想定し、雪屁側の斜面を大工事で切り崩して、ぎりぎりテントの張れるスペースを確保した。
設営中に雪が降り出す。

目論見通り風は凌げたのだが、吹き溜まりになっているゆえテントが埋まる・・・。
実際のところ降雪量はさほどでもなかったのだが、舞い上げられた雪で吹雪のように見え、テントに積もる雪の量から、明日は物凄いラッセルになるだろうと覚悟した。

21:00前に寝たが、0:00頃テントが1/3ほど埋まり、角田さんと児玉さんが一回目の雪掻き。
3:00頃やはりテントが1/3ほど埋まり、茂木さんと村田で二回目の雪掻き。
3:30過ぎ、風が強まったのか風向きが変わったのか、急にテントが激しくバタつき出す。物凄い風だ。

天狗ノ鼻より朝焼けの天狗尾根上部_サイズ変更
天狗ノ鼻より・・・朝焼けの天狗尾根上部と鹿島槍北壁(天狗尾根の右側)

天狗ノ鼻より朝焼けの天狗尾根上部・核心部_サイズ変更
天狗尾根上部の核心部をアップで

天狗ノ鼻より朝焼けの東尾根・爺ヶ岳_サイズ変更
天狗ノ鼻より・・・朝焼けの鹿島槍東尾根と爺ヶ岳

天狗ノ鼻より朝焼けの五竜岳_サイズ変更
天狗ノ鼻より・・・朝焼けの五竜

天狗ノ鼻より朝焼けの荒沢奥壁_サイズ変更
そして朝焼けの荒沢奥壁

天狗ノ鼻付近より鹿島槍ヶ岳北壁2_サイズ変更
天狗ノ鼻の先から見る鹿島槍北壁・・・正面ルンゼを2002年4月に新井裕己がスキー滑降している(この記録にはぶったまげた・・・)

小舎岩より下部岩壁_サイズ変更
下部岩壁・・・既に5、6パーティーが順番待ち、おまけに登っているパーティーが遅々として進まないという状態

天狗尾根・上部岩壁(荒沢ノ頭)_サイズ変更
こちらはその上の上部岩壁(荒沢ノ頭)

荒沢ノ頭より鹿島槍ヶ岳北峰2_サイズ変更
荒沢ノ頭から見る鹿島槍北峰

荒沢ノ頭より東尾根第二岩峰_サイズ変更
同じく荒沢ノ頭から見る東尾根の第2岩峰・・・基部に人が見える

鹿島槍ヶ岳北峰を目指し2_サイズ変更
鹿島槍北峰へ

鹿島槍ヶ岳南峰_サイズ変更
吊り尾根の先には鹿島槍南峰

鹿島槍ヶ岳北峰にて_サイズ変更
鹿島槍北峰にて・・・

鹿島槍ヶ岳北峰にて2_サイズ変更
天狗尾根完登記念

2005/3/21 晴れ、高千穂平より上部は強風
赤岩尾根上 ~ 高千穂平 ~ 大谷原

予定通り4:30過ぎに起床。
6:00頃キジ撃ちに出たときは、あまりの強風にホントに飛ばされるかと思った・・・。
さすがに、肘までついて四つん這いの耐風姿勢でキジを撃ったのは初めてで、これまでで一番グレードが高かった(笑)。
先に行った茂木さんなど、尻を一回しか拭けなかったと言っていた・・・。
真面目な話、キジ撃ちなどしてる場合ではない。
素手だったので、すぐに右手小指の感覚がなくなった。テントに戻って指を温めるが、軽く凍ったようで、感覚が戻るとき非常に痛かった。

強風と格闘してテントを撤収し、尾根上に出ると、雪はそれほど積もっておらず、ワカンは必要なかった。
風もだいぶ弱まったように思える。
足早に下る。

鹿島槍から爺ヶ岳にかけて、ずっと雪煙が上がりっぱなし。
この眺めは凄かった。
雪煙はホントに上がりっぱなしで、ヒマラヤ襞の迫力ともあいまって、とても日本の山とは思えない。

高千穂平まで下ると風がだいぶ弱まり、高千穂平の下はまったくのの無風だった。
その間も主稜線からは雪煙が激しく上がりっぱなし。
この差は一体何なのだろう・・・ここはすっかり春山である。

重く、腐った雪に足を取られながら下山。車まで三時間ほどであった。
車から見上げても、稜線上は相変わらず激しく雪煙が舞っていた。本当に日本離れした眺めである。
一方で、下界はもうすっかり春であった。

高千穂平にて_サイズ変更
高千穂平にて・・・鹿島槍から爺ヶ岳にかけて、ずっと雪煙が上がりっぱなし この眺めは凄かった

高千穂たいらより雪煙舞う北峰・東尾根_サイズ変更
雪煙舞う鹿島槍東尾根と北峰

高千穂平より爺ヶ岳東壁_サイズ変更
こちらは爺ヶ岳東壁・・・とても日本の山とは思えない光景
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