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槍ヶ岳 北鎌尾根(2005年正月)

槍つながりで・・・今回は2005年正月の北鎌の記録です。
この山行は自分にとって大きかった。
まだまだお粗末なところも多々ありましたが、誰かに連れていってもらったのではない、自分たちの力だけで登ったのだと、そんな達成感が得られた山行でした。
前年の年末年始の合宿が、いろいろな理由から前穂北尾根を敗退していたこともあり、起死回生の山行にもなりました。
計画も含め会心の山行ではなかったかと、今でもそう思っております。

ちなみに、写真は写ルンです。
それ以前に、ハッキリ言って寒すぎて写真なんか撮ってる場合じゃない。
思うんですけど、こういう条件下だと、写ルンですみたいに機械的にシャッターを切るものがベストではないかと。
電池で駆動するものは、肝心なときにシャッターを切れない可能性が非常に高い。

「 '04冬合宿: 槍ヶ岳・北鎌尾根 」

2004/12/29 ~ 2005/1/3
メンバー: 村田、児玉

2004/12/29 雪
葛温泉 6:00 ~ 七倉 6:40 ~ 高瀬ダム 8:15 ~ 名無小屋 9:45 ~ 湯俣 11:00 ~ 千天出合 16:30

昨日の16:30に太田を出発し、20:30過ぎに葛温泉着。
ゲート前には予想外に車が一台もなく、本当に駐車してよいものかどうか近くの高瀬館に聞きに行くが、よくわからないようで要領を得ず。
とりあえず問題はなさそうなので、端のほうへ車をとめて車中泊。

翌日4:30起床、朝食後共同装備を分け、パッキングして6:00発。
ヘッテンを点けて歩き出す。数分前にタクシーで来たパーティーが先行している(途中でパス)。

七倉の指導所に計画書を出して話を聞くと、今年は雪が少ないものの、一昨日あたりから多量に降って状態はあまり良くなく、今日からも天気は悪そうとのことであった。
23日から立教とどこかの2パーティーが入っているが、その後は1パーティーも入ってない、とのことでちょっと意外。
今日、これから我々と、三人組の1パーティーが北鎌に入る。

23日から入山している2パーティーは、共に名無小屋の手前ですれ違った。
やはり雪の状態が悪く、P4あたりで敗退したとのこと。
これで先行者は無いことになる。

湯俣で橋を渡り、水俣川の左岸に出る。
左岸を進むとすぐに行き詰まり、慎重にルーファイした結果、渡渉することにした。
渡渉ポイントの先には敗退パーティーのものと見られるトレースもあって、間違いないと思われたが・・・ここは左岸を大きく巻けるようで、後続パーティーは迷わず巻いていた。
これは事前に偵察していなければわからないことだ。初見のルーファイでは渡渉になるに違いない。
そう、狙ったわけではないけれど、今回我々は北鎌オンサイトである(本当は10月の三連休に下見を計画していたのだが、台風で中止となった)。

渡渉後右岸を行くとすぐにまた行き詰まり、渡渉する羽目になった。
プラブーツと靴下を脱いで、裸足で転ばないよう慎重に渡渉する。
二回目の渡渉で対岸に渡った後、あまりの冷たさに雪面に倒れ込むように座ろうとした時、首にぶら下げてあったプラブーツが当たって前歯が半分くらい欠けた・・・けっこうショック。
それほどすごい衝撃ではなかったのだが、もともと歯のほうになんらかのダメージがあったと見える。
たぶんあの時だ・・・二年前だったか、高所順化で富士山へ行ったとき、山から下りたあとで両足の靴紐が絡んで転倒、ちょうど両手がふさがっていて、地面に前歯を打ちつけたことがあった。そのときは折れなくてよかったと胸をなでおろしていたのだけれど・・・。

その後も100mも進まぬうちにすぐ行き詰まり、結局一時間ほどの間に四回も渡渉して巻き道の終了点に合流した(涙)。

しばらく左岸を進むと、正規の一回目の渡渉ポイントと思しきところに着く。
頭上3mほどのところにトラバース用のフィックスロープが張られているが、このコンディションでここをトラバースするのは不可能に思える(しかも、トラバース後にどのみち渡渉することになりそう)。
我々はポイントを見極めて都合五回目の渡渉をしたが、三人組は渡渉が嫌らしく、来た道を戻って行った(その後彼らと会うことはなく、おそらく敗退したものと思われる)。

その後もきわどい石飛びとへつりの連続、さらに二回の渡渉を繰り返してようやく千天出合に到着。
右岸の巻き道を行くと、千天出合の標示がポッと現れた。
渡渉は計七回。四回の余計な渡渉によるロスが響き、幕営予定のP2基部には届かず・・・千天出合に幕営。
北鎌のアプローチはルーファイも難しく、予想以上に厳しいものであった。

岳連の他パーティーと定時交信を試みるも、案の定交信できず。同じ谷にいるわけでもあるまいし、そりゃまぁそうか。
これ以後、無線機はただの重りとなった。

2004/12/30 雪のち曇り(時どき薄日差す)
千天出合 7:00 ~ P2取付 8:20 ~ P2肩 10:45 ~ P2 11:45 ~ P3? 13:45 ~ P4手前 15:40

4:30起床、夜のうちに20cmほどの積雪。
7:00発。そのまま右岸を行き、途中緩いルンゼ状の斜面を20mほど登り、熊笹の上に不安定に雪の乗った斜面を慎重にトラバースしていく。ここもいやらしい。
二人とも初見ゆえ、P2の取付を見落とさないよう注意しながらトラバースを続ける。

取付くならこのあたりだろう、と思われたところに赤布を見つけ、渡渉ポイントを探る。
多少靴を濡らしたが、ここは靴を脱がずきわどい石飛びでこなした。
当初、取付には明確なトレースや幕営跡があるものと考えていたが、全くなし。しかし地形やふんだんにある赤布から取付と見て間違いない。

アイゼンとハーネスを着用し、9:00過ぎに取付く。
尾根通しに登っていくと赤布が頻繁に現れ、ルートを外してないことを知って安堵する。
ラッセルは脛~股下で、雪質は非常に軽い。

P2への登りの上部は岩場となり、慎重にルーファイして進む。
雪が不安定で、ところどころ緊張する箇所が現れる。落ちたら100m以上止まらないだろう。

P2肩に10:45着。ここは良い幕営地となっている。
11:45にP2に着き、ようやく北鎌尾根の先が見渡せた。
が、P2より先は大小いくつものピークが存在し、どれがP3だかP4だかよくわからない・・・。

P3への登り、途中ガレたフェースに薄く不安定に雪の乗っている箇所があり、緊張した。
左へ2mほどトラバースするワンポイントが非常に悪い。
ピックの掛かりを何度も確認し、微妙なムーブでこなした。

P3と思われるピークに13:45着。
その後ちょっとした岩稜帯を抜けるのだが、小さなピークも数えていた我々は、ここをP5、P6と思い込んだ(お粗末です・・・)。
ピークに立つと、目の前にひときわ大きな岩峰が現れ、実際はこれがP5だったのだが、「あれが独標か」などと二人でのん気に話していた(ホントにお粗末でした・・・)。
我々がてっきりP8と思い込んでいた、P4手前の平坦地に15:40幕営。

2004/12/31 雪
P4手前 7:15 ~ P5基部 8:00 ~ P5-P6間尾根上 12:15 ~ P6 15:00 ~ 北鎌のコル 16:30

昨晩は風が強く、ヤッケを脱いで寝ていたため上半身に寒さを感じた。
今日からはヤッケを着込んで寝ることにしよう。

4:30起床、7:15発。
ピークを一つ越えると、独標と思い込んでいたP5に突き当たる。
岩峰を見渡しルートを探る。
不安定そうな雪面で、一見して左からは巻けそうにない(通常は左から巻くのがルートであるが、この時はそのように見えた)。
直登も無理そうなため右から巻くことにした。

残置の支点を使って基部まで懸垂下降し、千丈沢側に見えるコルまで2ピッチ トラバース。塵雪崩が岩壁から降り注ぐ。
コルから右へ回り込むと、登れそうなブッシュの生えた凹角が見え、ここを直上することにする。
ブッシュを頼りにところどころ厳しいムーブでこなし、2ピッチで肩に達する。

さらに2ピッチ、雪壁を左から巻いて登り、P5先の尾根上に出る。
激しく雪の降る中小休止して、次のピークとのコルまで降りてルートを探る。
ここも一見して左からはまず巻けない。正面からダイレクトに取付くのも厳しそう。正面やや右側に走るルンゼ状から巻き気味に登るラインが取れそうだった。

取付に残置ハーケンが2枚あり、ここも念のためザイルを出すことにする。
ビレイしていると三人パーティーが追いついてきて、今取付いている岩峰がP6と知らされ愕然とする。
彼らは一つ前のピーク、すなわちP5はセオリー通り左の天上沢側から巻いてきたようだ。
「P5は右からも登れるんですか」、とビックリされた・・・。

P6は2ピッチ。ルンゼ状を回り込んだ先は雪壁となっている。
傾斜はそれほどでもないが、蹴り込むと20cmほど積もった軽い雪はすべて簡単に落ちてしまい、下から物凄く硬い氷が現れる。
途中からWアックスでこなした。

追いついた三人組は岩も雪も上手く、ザイルワークもスムーズだった。
その後ろからさらに1パーティー追いついてきたらしく、後がつかえているため先を急ぐ。

P7へは、ザイルをつけたまま一度コルへ降り、さらに1ピッチでピークに達する。
大きなピークではないが、ミックスのトラバースと雪壁登りで緊張する。

P7より3回の懸垂で北鎌のコルへ降り立ち、コルを切って幕営した。
追いついた2パーティーもここに幕営。

この日は一日中雪が降り続いて濡れた。おまけに、ここまでフルにラッセルしてきてくたくたである。
ラジオを聞くと、今日は関東でも朝から降雪があったようで、これから明日の昼頃まで風雪ともに強いということだ。
その後は冬型が強まるらしく、明日はひょっとすると停滞かと思いつつ、明後日はさらに荒れることが予想されたので、多少無理を押してでも前進しておきたい。
とりあえず行動時間が長かったので、起床を一時間遅らせることにして就寝。
この晩は物凄い風の音がしていたが、テントには風が当たらずよかった・・・。ただし、テントに吹き溜まった雪が体に当たって冷たい。

2005/1/1 明け方まで暴風、のち曇り、一日中風強い
北鎌のコル 10:00 ~ P8 14:00 ~ 天狗の腰掛下 14:30

5:30過ぎに目を覚ますと、外は物凄い暴風。暗黙のうちに停滞モードに入る。
7:00頃になると風がだいぶ弱まり、ところどころ青空がのぞけるようになる。
テントの外で他パーティーと言葉を交わし、我々が前進する旨を告げると、他パーティーも動くということに。

今日は他パーティーに先行してもらう腹づもりでのんびり準備し、他パーティーより30分程遅れて10:00発。
ラッセルが激しく、すぐに追いついてしまう。
3パーティー計8人でラッセル交替しながら進む。ラッセルはワカンなしで腰~胸といったところ。

途中、ハイマツにキノコ状に雪のかぶった雪壁のところで、先頭にいた川崎パーティーの一人の足元から急に雪崩れた。
表層雪崩だ。
間一髪!あと1m下にいたら、彼は間違いなく谷底へと流されていた・・・。

動けなくなった彼のところへ、我々の前にいた東京雪稜会がザイルを投げ、なんとかセーフ。
そのまま雪稜会がザイルをフィックスし、これを使って8人がいやらしい雪壁を突破した。
その後も延々とラッセルが続く。

P8の雪壁上部、P6と同様に蹴り込むと積もった雪がすべて落ちてしまい、下から物凄く硬い氷が現れた。
慌ててバイルを取り出し、Wアックスに切り換える。
傾斜はP6よりずっと立っていて、アイゼンもずっとフロントポインティング。ノーザイルのため緊張する。
爪を立てる氷が雪に覆われて見えないのが厄介だ。

14:00にP8に達する。
ここでバーバリアンのパーティーが追いついてきて、ラッセルの礼を言われた。
彼らはそのまま先行していったが・・・。
これはあとでわかったことなのだけれど、その中の一人は清水さんだった。後日聞いたところによると、あのあと独標基部まで前進したのだが、足の指が凍傷にやられて酷いことになったようである。

風が強く寒い。雪は降ってないが、風に舞い上げられた雪で目を開けていられない。
天狗の腰掛を下ったところ、14:30。ここからP9へ雪稜を詰めるのは危険と判断。テン場にも不安があるので、横の岩陰に幕営することにした。
そこは、テント1張りがギリギリ張れるスペース。他の2パーティーは、少し戻って天狗の腰掛に幕営する模様。

その晩は夜通し風が強く、物凄く寒かった。
テントの中で火を焚いても一向に温まらない。
これまで感じたことのない寒さで、一睡もできず朝を迎えた。

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2005年元旦の北鎌のコル(ここまで写真なし・・・)

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北鎌のコルからP7を返り見る(昨日懸垂下降したところ)

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P9と・・・

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その後ろに聳える独標

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この日はここで行動打ち切り(天狗の腰掛を下ったところ)

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風が強くめちゃくちゃ寒い・・・雪は降ってないが、風に舞い上げられた雪で目を開けていられない状態

2005/1/2 晴れ、一日中強風
天狗の腰掛下 8:10 ~ 独標取付 9:30 ~ 独標先尾根上 12:00 ~ P13 14:30 ~ P14下 15:10 ~ 北鎌平下岩陰に幕営 15:30

予定通り4:30に起きるも、寒すぎて動けず・・・。しばらく火にあたって暖をとる。
プラブーツやハーネスなど凍った装備に手間取り、バリバリのテントと格闘して8:10発。
後ろの2パーティーはまだ出てない様子。

ここから先は岩稜帯となる。
途中、少し登ったところから、天狗の腰掛でテントを撤収している2パーティーの姿が見えた。

P9は千丈沢側から巻き気味に登る。
上部の雪壁は、途中からやはり氷が現れWアックスとなる。

P9を下り、独標基部でゴーグルを装着しようとしたのだが、完全に凍りついていて使いものにならず(昨晩テントで必死に乾かしたのに…)。

独標はトラバース ルートをとる。
トラバース部分は雪がしっかり付いていて、状態は悪くなさそう。
後ろから2パーティーが追いつき、3パーティーで協力して進む。

20mほどのトラバースに、川崎パーティーがザイルをフィックス。続いて、右上するラインに我々のザイルをフィックス。
さらに川崎パーティーのザイルを使ってトラバースし、続く下りながらのトラバースのワンポイントに、雪稜会のザイルを借りた。
その後、緩い雪壁を詰めて肩に出る。
肩から直登を試みるが行き詰まり、右からワンポイント、ザイルを使って巻き、12:00に独標先の尾根上に出る。

声を掛け合って、ここで3パーティーが別れた。
我々は小休止をとり、2パーティーが先行。

続くP11は、千丈沢側をトラバース。途中、残置スリングで1回懸垂した。
P12は千丈沢側から巻いて登り、P13は尾根通し。
P14も尾根通しに登った後、残置スリングで1回懸垂してコルに降り立つ。
P14のピークで一瞬ガスが晴れ、初めて槍の穂先が見えた。デカイ・・・。

コルから上がったところに台地状になっている北鎌平が見えるが、吹きっさらしで風が強そうなため、我々は上がるのをやめ、北鎌平下の岩陰に幕営した。
先行した雪稜会は、この日のうちに槍を越えそうだ。後から来た川崎パーティーは、北鎌平に幕営する様子。

しばらくしてから、別のパーティーが我々の横に幕営した。言葉から関西方面のパーティーのようだ。
漏れ聞くところでは、我々より二日もあとに出たらしい。
全ルート、トレースつきでさぞ楽だったことだろう。この差は大きい。

昨晩ほどではないが、この日の夜も風が強く寒かった。
シュラフもシュラフカバーも、表裏とも氷だらけでこの世のものとは思えない状態。
中に入るのがむしろ苦痛で、結局この日もほとんど一睡もできなかった。

2005/1/3 晴れ、強風
北鎌平下 8:30 ~ 北鎌平 8:50 ~ 槍頂上 10:45 ~ 肩ノ小屋 11:10 ~ 樺の木 12:20 ~ 滝谷出合 13:40 ~ 白出沢出合 14:30 ~ 穂高岳山荘 15:00 ~ 新穂高温泉 15:45

この日も予定通り4:30に起きるが、やはり寒すぎて動けず。しばらく火にあたって暖をとる。
外が白みはじめ、テントから顔を出すと、素晴らしいモルゲンロートが広がっている。
風が強く、吹き上げられた粉雪が激しく叩きつける。キジを撃つにもゴーグルが必要な有様だ。
外に出たついでにテント二面に吹き溜まった雪を除雪する。北側はかなり埋まっていた。
凍った装備と格闘し、強風の中、宇宙飛行士のような鈍い動きでテントを撤収する。

岩峰を右の千丈沢のほうから巻いて、北鎌平に上がる。
千丈沢側に出ると物凄い風で、舞い上げられた粉雪が容赦なく吹きつける。
ゴーグルをしている自分はいいが、ゴーグルが凍ってしまった裸眼の児玉さんは、とても目を開けていられない様子で、下山後、両目が出目金のように腫れていた・・・。

岩峰をトラバースして回り込むと、日の当たる青空の下、槍の穂に取り付いている先行パーティーの姿が見えた。
2パーティーが取り付いているようだ。

尾根上、やや天上沢寄りに回り込んで槍の穂に取り付く。
雪と岩のミックス帯を少し上がると、ザイルを出している先行パーティーに追いついた。どうやら昨晩隣に幕営していた関西パーティーのようで、とても遅そうである。
声を掛け、我々はすぐ右横の雪壁をノーザイルで直登した。

1ピッチ分上がると、昨日まで一緒だった川崎パーティーが通常ルートであるルンゼ状(チムニー?)に取り付いていた。
我々は右横の雪壁からチムニーを巻くことにして、ノーザイルで直登。
チムニーの上でいったん川崎パーティーのザイル通しに進み、ルンゼ状の岩を乗っ越して右のテラス状に上がった。
通常、ルートはそのまま左の緩いルンゼの雪壁を詰めて頂上に達するようである。

テラス正面の岩に残置のハーケンとスリングがあり、すぐ2mほど上にもハーケンが見える。
なんとか登れそうなので、ザイルを出して取り付くことにした。
残置のハーケンでランニングを一ヶ所とった後はプロテクションがとれず、状態の悪いミックス壁に緊張する。

15mほど上がると再びテラス状に出る。
ここからルンゼ状のミックス帯を3mほど直上すれば頂上に出られそうであるが、プロテクションがとれず、バイルのピックの掛かりも怪しいため、テラスからの乗っ越しの一歩が踏み出せない。
何度かトライした後、諦めて左の通常ルートのほうから巻くことにした。
途中、リングボルトで一ヶ所ランニングがとれた。

左から回り込むと、ちょうど川崎パーティーのトップが上がってきているところで、ほぼ同時に登頂した。
その後、児玉さんが上がってきてガッチリ握手。
お互いの健闘を称え、青空の北鎌尾根を見下ろすが、風が強くとても立っていられる状況ではなく、充実感に浸る間もなく記念写真を撮って即下山に移る。
肩ノ小屋まで慎重に下って、風の避けられる場所でようやく小休止。

槍の肩からは、中崎尾根も大喰岳西尾根もはっきり確認することができ、計画通り大喰岳西尾根を下ることにした。
天気が悪くならないうちに下ろうということで、早々に下山にかかる。

大喰岳に向かう途中、分岐で飛騨沢を観察すると、雪の状態は非常に良さそうである。
弱層テストの後、飛騨沢をダイレクトに下りることに計画変更。
広い斜面に我々二人だけ。雪の状態も上々で、適度なスロープが広がる。歩いて下りてしまうにはあまりにもったいない斜面である。

飛騨沢の下部は、ワカンなしで腰上のラッセル。
少々苦労するが、そのままワカンをつけずに下った。
宝の木の少し上で、中崎尾根からのトレースと合流。こちらはしっかりしたトレースがあり、結果としてこっちを下ったほうが早かったかもしれない。
飛騨沢下部まで来ると、風も弱まり暑いくらいである。

これより下は新穂高までしっかりしたトレースが続き、まるで高速道路のよう。
いったい何人の人が通ったのか・・・。

ヤッケを脱いでトレースを追う。
槍平の手前でアイゼンを外した。

雪の量は、槍平で腰上。
降ったばかりとはいえ、例年よりも多い印象。
もしトレースがなかったら、大変なラッセルだったことだろう。

宝の木から三時間あまりで無事下山、新穂高着15:45。
ターミナルの無料温泉にゆっくり入って新穂高にもう一泊、明日葛温泉に移動しようと考えていたのだが、なんと温泉が16:00に閉まるということで入れず・・・。
結局、葛温泉まで戻ることにした。

平湯までバスで移動し、バスターミナルの温泉に入ろうとするが、なんとここも16:00に終了。
温泉は諦めた。

平湯のターミナルで、昨日槍に登頂したと思われる雪稜会パーティーと再会。
聞けば登頂したのは昨日の20:00過ぎで、目が見えなくなったり大変な目に遭ったそうだ。

三人とは松本までのバス、松本から大町までのJRとも一緒だったが、山の話に意気投合した。
三人とも雪稜会のメンバーで、冬壁もやっている人たちだった。岩のほうも無雪期の衝立を3、4ルート登っている様子。
久々にバリバリのクライマーと会い、自分も児玉さんも大いに刺激を受けた。我々も負けずにがんばりたいものだ。

「似たようなとこ登ってるみたいだから、きっとまたどこかで会いますね」と言って別れたが、一月末の八ヶ岳で早くも再会した。
ちなみに、槍平の手前で児玉さんが彼らのものと思われるDMMフライを拾ったのだが、これも神の思し召しか、平湯で再会したとき後ろ髪を引かれる思いで返しておいた・・・返しといてホントよかったわ。
その後雪稜会とは、三月に鹿島槍の天狗尾根でも別メンバーとばったり遭遇したり、よほど縁があるみたいだ。

準備段階から気合を入れて臨んだ今回の冬合宿。
あのコンディションの中で、一日も停滞せず北鎌を完登できたことは大きな自信になった。
二人とも初見だった故に却って中身の濃い山行になったのではないかと思う。
今回は初見でよかった。ピークのたびにルーファイするのが楽しく、また大きな力になったとも思う。
今後さらに精進し、より困難な山に挑戦していきたいと思う。

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北鎌平下から見る槍の穂先

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千丈沢側に出ると物凄い風で、舞い上げられた粉雪が容赦なく吹きつける

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いい写真だ

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槍ヶ岳登頂! 風が強くとても立っていられる状況ではない・・・

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掲げた右手はピッケルを握っており、はずしたオーバーミトンが風に流されている

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肩ノ小屋まで下ってようやく小休止・・・右に見えるのは常念か?

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槍の穂先をバックに(山頂に北鎌の後続パーティーが写っている)
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