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地蔵尾根から仙丈岳(3,033m)

暑くも寒くもない、山歩きに打ってつけの季節となりました。
ようやく天気が安定したかなという日に(今年は本当に酷い天気でしたね)、仙丈岳に行ってきました。
本当は前日午後に自転車アプローチするつもりで準備していたんですけど、あまりに不安定な天気で断念しました。
雷ゴロゴロ、雨ザーザー・・・うちのあたりはたいして降らなかったんですけど、中央アルプスも南アルプスも怪しい雲にスッポリ包まれていました。

実は、仙丈に登ったのは今回が初めて。
行きたくても行けなかった、というわけでは決してありません。単に惹かれるものがなかったんですね、仙丈には。
岩とか沢といった観点で特に目ぼしいところがなかったし、かといって山深い印象もない。
仙丈というとどうしても北沢峠が頭に浮かんでしまい、北沢峠から手軽に往復できてしまう山、おそらく一番楽に登れる三千メートル峰、そんなふうにしか捉えていなかった。
赤石沢奥壁や摩利支天、黄蓮谷や尾白川本谷などなど、派手な装いの甲斐駒とは対照的に実に地味な存在だった。甲斐駒には何度も足を運んだのに、すぐ隣の仙丈には一度も行ったことがない。どころか、甲斐駒の山頂から何度も眺めながら、行ってみたいと思ったことすらなかった。
一度、五月連休に南アルプスを縦走したことがあった。畑薙湖から茶臼に上がって主稜線を北上、予定では北沢峠に下りるつもりだった。
が、赤石の手前で吹雪かれて、百間洞の冬期小屋に三日停滞。本当ならそのとき仙丈のピークを踏んでいたはずが、時間切れのため三伏峠から下山したために踏まず仕舞い。
どこか縁のない山でもあった。

今でも仙丈のそんな印象は何ら変わっていないのだけれど、登ってみようかなと思ったのは、ふと地図を見ていて伊那谷からダイレクトに登れることに気付いたことがきっかけ。
入山口は分杭峠と中沢峠のすぐ北で(戸倉山の東)、これなら十分うちから自転車アプローチが可能。
そんなことで満を持して実行に移したのだけれど、またしても天気にしてやられた。塩見に続いて自転車アプローチ断念。本当に今年の天気には散々だ。
自転車アプローチできなかったのは誠に残念でしたが、山自体は天気に恵まれて久々に爽快でした。地蔵尾根は静かでオススメです。

日付: 2014/9/12 金
ルート: 柏木集落 ~ 地蔵尾根 ~ 山頂ピストン

ここのところ天候が不安定で、前日は午後から雷雨となった(北海道や東京では豪雨となった)。
といってもうちの周りの雨はたいしたことなくすぐにやんだのだけれど、山はスッポリ怪しい雲の中。山が雨なのは明らかで、そんな中をわざわざ自転車で移動してテントを張るなどあり得ない。
翌日車でアプローチして日帰りすることに計画を変更、せっかく午前中にパッキングして準備万端だったパニールの荷を解いた。単に一日延期する考えもあったが、翌日は明らかに天気がよさそうだったので、そんな日をアプローチだけに充てるのがもったいなかったのだ。

4:00に車で家を出た。
入山口は市野瀬の柏木集落。そこまで最短距離のルートを走る。
県道18号で駒ヶ根に出て、中沢峠(1,317m)に上る。どこもかしこも自転車専用道かと見紛うほどの狭い道だ。
中沢峠から長谷のほうへ秋葉街道を下ったところが市野瀬で、三峰川を渡って南アルプスの裾野を少し上ると柏木の集落がある(秋葉街道サーキット)。
柏木の集落までは迷うことなく辿りついたのだけれど、実は入山口がどこにあるのか知らない。人に聞こうにも、早朝ということもあって人影は皆無。
道なりに集落を過ぎてそのまま林道を詰めてみる。
だんだん道が怪しくなってきた。崩落が激しく、路上は崩れ落ちた岩だらけ。どう考えても一般人が入っていい道ではない、そう思いながらもうしばらく詰めると通行止になった。
Uターンして集落まで戻る。

結局のところ、入山口は集落に入ってすぐの分岐を詰めた先にあった。
参考までに・・・市野瀬のほうから柏木の集落に入ったところにゴミの集積場がある。その目の前、進行方向の左手に狭い急坂の分岐があり、そこを入って少し行ったところが入山口。貯水施設があり、その手前に駐車場があります。
スムーズに来ていれば、うちから40kmほどの距離だった。

入山口ということでは、ここは理想的な場所にある。集落のすぐ裏手から入山できるのだ。
何らかの手で集落まで来られれば、そのまま入山することが可能・・・理想的だ。

車をとめて5:40に歩き始める。
最初のうちは林道を縫うようにして歩く。時どき林道を横切ったり、林道を歩かされたり。ちょっと興醒めのする部分だ。
どこかへ抜けるための林道ではなく、土捨て場のための道を作っているようだ。そのわりにえらく立派な道を作っている。もしかして舗装までするつもりなのか?というくらいの道なのだけれど、ひょっとしてリニアのトンネル工事で出た土を捨てる場所なのか???

水は駐車場の先の貯水施設のところでも取れるし、二時間くらい歩いてようやく林道から離れる手前のところでも湧水が取れます。
そうそう。歩き始めてすぐのところに孝行猿の墓があります。
そういう言い伝えがあって、昔は誰でも知っていたことのようですが、今となっては唐突に「孝行猿」と言われても何のことやら・・・。

下部は例に漏れず樹林帯が続く。
展望はほとんど得られないのだけれど、適度な疎林で自分は嫌いじゃない。苔むしたシラビソの森で、いかにも南アルプスっぽい。
天気の影響も多少あると思う。この日は早朝こそガスっていたが、7:00を過ぎた頃から晴れて青空となった。
何より人がいないことが素晴らしい・・・地蔵尾根で人に会うのはかなり稀なことだと思う。
山にとって人がいないというのは重要な要素だ。たぶん天気の次に大切。
静かな山にどっぷり浸かりたい人に地蔵尾根はオススメです!

そこかしこにキノコが生えている。
マユミが言うにはイクチ(イグチ)があるらしいのだが、どうにも採って帰って食べるほどの説得力はない。キノコを手にとって、「これは節があるから違う」などと言っているところからしてかなり微妙なのだ。とてもいきなり食べる度胸はない。
ちなみに、食べられるキノコで最初に生えてくるのがイクチであるらしい。

松峯の南面をトラバースし、9:10松峯小屋への分岐を通過。まだまだ樹林帯が続く。
地蔵岳を越えるといったん尾根が緩やかになり、しばらく行くと少々急な登りになる。山頂まで残り600m、一気に登る。
樹林帯を出てハイマツ帯になるのは、やはり2,500mほどからだろうか。仙丈の山頂がくっきり見える。
背後に伊那谷は見えるが、中央アルプスの上部は相変らず雲に隠れている。北側に見えるはずの甲斐駒も鋸も雲の中。南の塩見も雲に隠れていて見えない。

仙丈小屋への分岐のところで主稜線と合流。急に人影が見えるようになる。
12:10仙丈山頂。20人ほどの人がいてげっそり。しかも、見ると北沢峠のほうから次々と人がやってくる。
直前までの静かな山行はいったいなんだったのか・・・。
この日地蔵尾根から登ってきたのは自分らだけ。見たところ仙塩尾根から来た人も、そちらへ行く人もいない。すべての人が北沢峠からのピストンだ。
恐るべし、北沢峠。今日が平日ということを考えると、いったい休みの日はどうなってしまうのだろう。
ちなみに、百名山のピークハントだけを考えるなら、ここは北沢峠をベースにして仙丈と甲斐駒という二つの山をピストンできてしまうというお買い得な場所だ(笑)。

人の多さはさておき、晴れた日の山頂というのはやはり気持ちがいい。
南西の方角に北岳と間ノ岳がくっきり見える。芦安側には雲が湧いているが、北岳の背後に一瞬だけ富士山も顔をのぞかせた。
富士山と北岳と間ノ岳・・・本邦一位、二位、四位の高峰が狭い範囲に収まって見えるということ。
南を見ると、アップダウンの激しい仙塩尾根の先に塩見があり、その向こうに悪沢、赤石、聖・・・と続く。
北側は雲が湧いていて、甲斐駒は駒津峰のちょっと先までが時どき姿を見せるのみ。八ヶ岳はまったく見えない。
鳳凰は、観音岳まで見えているが、地蔵岳は雲の中。雲が切れた隙に地蔵のオベリスクをチラッと確認できた。
東に目をやると、伊那谷がよく見えている。残念ながら中央アルプスの上部は雲の中で、南へ辿っていくと恵那山だけが平らな山頂を雲の上にのぞかせていた。
谷を挟んだ南アルプス側には、我が村の陣馬形山が遥か眼下になだらかな山容を連ねている。戸倉山もその並びにあり、その北に美和湖が見える。
何時間眺めていても飽きることはない。

余談ですが・・・山の見え方というのは、どの方角から眺めるかによってまったく違ってくる。当たり前と言えば当たり前なんですけど・・・。
北岳というのは、高さこそ富士山に次ぐ本邦第二位ですが、その山容はいたって地味だ。バットレスの見える芦安のほうから眺めるともう少し違って見えますが、それでもあまり大きくは見えない。仙丈からは目の前に見えるわけですけど、特にこれといった特徴がなく、写真だけ見せられたら北岳と識別できない自信がある(笑)。
ちなみに伊那谷からだと、北岳は仙丈の背後になってしまってほとんど見えません・・・。
その北岳のすぐ隣に連なっている間ノ岳ですが、こちらは大きく堂々とした山容で、伊那谷からもよく見えます。
伊那谷から見るとピラミダルでよく目立つ塩見も、仙丈から見るとこれといった特徴がなく、周囲の山に溶け込んでしまってまったく目立たない。
甲斐駒も、北側から釜無川越しに眺めるとすごく迫力がありますね。ピラミダルでドーンとぶっ立っていて、おまけに花崗岩により雪が着いたよう白い。何より2,400m分くらいが見えているはずだから、ものすごく大きく見える。
一方で南からはとてもそんな風に見えないし、伊那谷から見ても小さい。伊那谷からはドーンと鎮座する仙丈の背後にちょこんと顔をのぞかせているくらいにしか見えない。

40分ほど山頂に留まって眺めを堪能し、同ルートを下る(12:50)。
このルートは、登りも下りも全体を通して歩きやすい。それほど急なところがないし、特に荒れたところもない。それでいて人が少なく静かなのだから、本当にオススメです。
下部で林道を横切ったりすることだけが唯一残念な点だ。下山のときは一部で重機を使って工事をしていた。
ルート上に手動のサイレンが設置してある区間があり、「通行の際はサイレンを鳴らしてください」ということなので、すぐ上で工事をしていた帰りはサイレンを鳴り響かせてからその区間を通行した。

孝行猿の墓の手前まで下ってきたところ。登山道の脇に何かいるのが目についた。
毎度おなじみのヒキガエルだ。が、よくよく見るとヘビがかぶりついている。ヤマカガシだ。
ヤマカガシは体を伸ばした状態で口を大きく開け、ヒキガエルの後ろ足の片方だけを後ろから飲み込んでいる。その状態で二匹が合体したまま固まっている。
しばらく見ていたが、どちらもピクリともしない。ヘビのほうは既に顎を外した状態であったが、どう考えたってヒキガエルは飲み込めそうな大きさじゃない。
食いついたはいいがどうしようもなくなって固まった・・・そんな風に見えてきた。
どうしようか迷ったのだが、仕方なく木の枝を使って二匹を分離。ヒキガエルを救出した。
よく見かけるヤマカガシは人間を目の当たりにするとスタコラサッサと逃げていくが、ここのやつは妙に落ち着き払って堂々としていた。再度ヒキガエルに攻撃の姿勢を見せるでもなく、悠々と這ってカエルから離れていった。実はヘビのやつのほうもカエルから離れることができてホッとしていたのかもしれない。

15:00松峯小屋分岐、17:30駐車場着。
本日の山行=登り6時間40分、下り4時間20分。締めて11時間の行動+山頂滞在40分。
くたびれました。
ちなみに、エアリアマップのコースタイムは登り9時間、下り6時間なんですけど、破線のコースのためか他のところよりタイムがシビアな気がします。泊まりの荷物を背負ったらそのくらいかかりそうな気がしますから・・・。
ネットで調べてみたら、登り5時間ちょっと、下り3時間半などという猛者もいました(女性なんですけど・・・)。往復8時間半強って・・・恐ろしく速いですね。

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入山口の駐車場                             トリカブトがいかにも南アルプスっぽい

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帰りはサイレンを鳴り響かせて通行した               イクチ(イグチ)と思われるキノコがたくさん生えている

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苔むしたシラビソの森もいかにも南アルプスっぽい        地蔵岳の先でようやく樹林帯を脱する

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登ってきた尾根を振り返る                       行く手には仙丈がくっきり見える

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このあたりはまだ人影も見えず静かなのだけれど・・・       山頂は多くの人で賑わっていた

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北岳(左)と間ノ岳(右)                         仙塩尾根とその先に鎮座する塩見、悪沢・・・

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上から見下ろす地蔵尾根                       振り返れば仙丈・・・珍しく午後から天気がよくなった

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三伏山から塩見までくっきり見える・・・ここから見ると、とても下から一日でピストンできるようには見えない

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ヤマカガシとヒキガエル                         どう見ても飲み込めそうにない・・・迷った挙句救出した
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