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ドラゴンフライに捧げる停滞

2012/10/2 火

無風快晴の朝。
にもかかわらず停滞することにした。テン場が気持ちのいい場所であるというのも理由の一つだが、最大の理由はMSRの修理。
昨晩は騙し騙しどうにか使えたMSRであったが、今朝になって完全に死亡。お湯すら沸かせず、水が豊富にあるのにコーヒーすら飲めなかった。

壊れたのは火力調節バルブ。つまり、ドラゴンフライの核心部分だ。ウィスパーライトならこんな部品は存在せず、無縁のトラブルである。
ドラゴンフライはこのバルブで火力調節ができるようになっている。正規の状態であれば、バルブが全開と全閉の間で作動し、全開と全閉の位置ではバルブが止まるようになっている。
今の状態は、このバルブがいかれ、開方向、閉方向ともいつまでも回るようになってしまっている。これが単に火力調節できないだけのことなら何の問題もないのだが、バルブが限りなく全閉に近い状態で固定されてしまっていて、強い火力が得られない。プレヒートのときのような炎しか得られず、これではお湯すら沸かせないし、煤だらけになってしまう。テントが火事になる恐れもある。

腰を据えて修理することにした。というか、せざるを得ない状況になった。
分解と組み立て、着火トライというルーチンを繰り返す。
火力調節バルブ以外は、ジェットもポンプもまったく問題ない。まさにドラゴンフライ特有のトラブルだ。

火力調節バルブは、ハンドルのついたシャフトとチューブから成っている。チューブのほうは本体と一体成形になっていて分解不可。シャフトのほうは先端がタッピングスクリューになっている。
肝心要のシャフトのほうが分解できないから、問題の部位を見ることができない。タッピングスクリューをどうのように作動させて火力調節しているのか、構造がよくわからない。
タッピングスクリューの刃が少々目詰まりしているので、これを削って刃を整える。そのくらいのことしかできない。
組み直してみると、シャフトの動きはよくなるものの、依然としてシャフトはいつまでも回ってしまう。正常時はいったいどのようにして全開と全閉の位置を決めているのか、さっぱりわからない。
着火してみるが、炎がうまくおこらない。また分解してタッピングの刃を地道に削る。
一番肝心なチューブ、それからストーブの心臓部が分解できないから、トラブルの根本原因を究明できない。タッピングスクリューの受け側すら見ることができず、スクリューをどのように作動させているのか、全開と全閉の位置をどうやって決めているのか、まったくの謎である。もどかしいが、タッピングの刃を削る以外に手の施しようがない。

地道な作業を続けている間に、マユミが焚き木を集め、石を積んでかまどを製作、火をおこす。MSRが使えなくともどうにか今日だけは飯が炊けそうである。
が、これから先、MSRが使えなくなるのは死活問題だ。これから寒くなるというのに・・・。
替えのストーブが手に入るところなんて、この先日本までないのではなかろうか。少なくともMSRが中国で手に入るとは思えない。

分解と組み立てを何回繰り返しただろうか。苦闘五時間、どうにか煤の出ないまともな炎が得られるようになった。最大火力からは程遠く、正常時の中火くらいの火力であるが・・・。もちろん火力調節などできようはずもない。
試しにお湯を沸かしてみると、無事に沸かせた。ドラゴンフライがウィスパーライト状態で使えるようになった。
火力調節が正常にできるときは米も噴きこぼれることなく炊けて便利なドラゴンフライであるが、こうなってしまっては火力調節バルブなんぞ足かせ以外の何者でもなく、無用の長物。どころか単なる邪魔な存在。
ストーブの故障は、自分らのようなスタイルのバイカーにとって命取り。ストーブを失ってしまったら外食に頼らざるを得ない。お金もかかるし、自然と町の近くにしか泊まれなくなる。ルートも限られ、旅の幅が極端に狭められてしまう。
壊れて改めて思うストーブの大切さ。おそらく自転車の次に大切な装備だ。
これが山だったら事態はもっと深刻で、まさに死活問題となる。山ヤがドラゴンフライなど選択しないのも道理だ。
火力調節なんぞ便利だけどなくても困らない機能であって、そんなことより壊れない、壊れても確実に直せることが第一だ。
次に買うときはまたシンプルで使い慣れたウィスパーライトにしよう、そう固く誓った。

こんなことで半日が終わってしまった。
午後はまだ湿っているマットやシュラフなんかを天日に干し、日向ぼっこしながら読書したり、ボーーーっと広い原野を眺めたりして過ごした。
原野にはたくさんのネズミ?が住んでいる。リスくらいの大きさで、リスに似た尾を持っている。二本足で立って何かを食べていたり、「ヒュンヒュンヒュンヒュン」と鳴き声を上げたりしている可愛いやつらだ。ナキウサギやマーモットに近い種類だと思う。
地面には彼らの掘った巣穴がたくさんある。天敵は大空を舞っているワシだけだと思う。不毛の大地に見えるけど、もしかしたらキツネのような敵もいるのかもしれない。

夕暮れ時のステップは実に美しい。時々刻々と色が変わってゆく。
日が暮れてからトラックに乗った仕事帰りのおっちゃんがテントにやって来た。ロシアのトラックってこんなところも走れるのか・・・スゲーな。軍用トラックか装甲車みたいだ。

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無風快晴の停滞・・・ちょっと離れたところからテントを見るとこんな感じ

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装備を天日干しして完全に乾かし・・・              MSRの修理

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その間にマユミが石を積んでかまどを制作            テントの周りにもこんなのがたくさんいる

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二本足で立ったりして可愛い                    夕暮れどき・・・

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時々刻々と色が変わってゆく・・・黒い点は馬です
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