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三段階に変化する景色

2012/5/19 土
始:8:55 ~ 終:19:00 走行:81km
~ Şamaxı ~ Sabır ~ Qobustan(Nərimankənd) ~ Ceyrankeçməz

晴れ。
上の道路に出るのが一苦労。荷物を積んでは斜面を上がれず、まずは荷物だけ先に上げる。この作業が毎度地味に疲れる。
上で荷物を積んでようやく出発。気持ちのいい朝の高原をゆく。
もうここからはぼちぼち下る一方だろうと思っていたのだが・・・。

標高1,000mの高原から500mのAğsumまで緩い坂道を快適に下る。と、橋の先に壁のように立ちはだかる坂が見えた。どうやらかなりの距離を上り返すらしい。
平均勾配12%・・・無理だ。この暑さの中、こんなギアで12%の坂を何キロも上れるわけがない。取り付く前から戦意喪失・・・。
ちょっと頑張ってみたら、心拍が上がって吐き気がしてきた。
滝のように流れる汗。こういうコンディションではあまり頑張り過ぎないほうがいい。自滅してしまう。
それにしても・・・もうちょっと緩い勾配で道を通せないものなのだろうか。自転車はともかく、カマスが坂を上れないではないか・・・。
どのカマスも、荷物を積んでいるわけでもないのに一速ベタ踏みで、唸りを上げながら自転車と変わらないスピードで坂を上っている。
よほど止まらないのか、下りの対向車線を走ってくるカマスもみんなそんなスピード。ハッキリ言ってちょっと邪魔である。

上りに喘いでいると、車やトラックがホーンを鳴らして声援をくれるのだけれど、応える余裕ゼロ。
この坂には久々に完敗。上り切るまでにいったい何度足を着いたことやら・・・。
舗装路で屈辱の押しの入ったところも一ヶ所あった。いったい何パーセントあるんだよ・・・?
汗が目に入ってしみるのもこれまた性質が悪い。
ようやく上り切ったときには疲労困憊。早くも今日の脚はここで使い切ってしまった。
4kmで450mほど上ったから、ホントにキッチリ12%あったな・・・。

ちょっと下ったところで幹線のM27と合流。何軒か商店があり、その中の一軒にすかさず吸い込まれる。アイスと冷えた炭酸の旨かったこと。
店のおっちゃんがジュースをもう一本サービスしてくれた。
ちなみに、この冷えた飲み物ってのは日本では当たり前だが、国によっては大変珍しい。ここアゼルでは、飲み物はたいてい保冷用のガラスケースに入って売られているのだけれど、ほとんどの場合電源は入っていない。

そこからちょっと下ったところで「チャイ!チャイ!チャイ!」の声に引き寄せられ、今度はチャイをご馳走になる。
店のおっちゃんは、若い頃車でウラジオストクまで行ったことがあると言っていた。
どこに行くのか聞かれ、イランを抜けてトルクメニスタンへ・・・と地図を見せながら身振り手振りで答えると、
「いやいやイランのほうに行ったんじゃトルクメニスタンには行けねーよ。いいかい、ここがカスピ海だろ・・・」と力説し始めた。
どうやらビザが必要なイランを通るという選択肢は端からおっちゃんにはないらしく、おっちゃんの頭の中には今でも旧ソ連時代の感覚が残っているようだった。
カスピ海を船で渡らなきゃダメだと言い張るおっちゃんに、「こうやってカスピ海の南を迂回してトルクメニスタンに入る」と説明してようやくわかってくれた。
いずれにせよ旧ソ連邦ってのはデカかったよな・・・ユーラシアの東の果てのウラジオストクからヨーロッパの入口までノービザで行けちゃうわけだから・・・おっちゃんの頭の中を想像しながらそんなことを思った。

おっちゃんの店にはロードレースのポスターが貼ってあった。どうやら5/9~5/13の日程でツール・ド・アゼルバイジャンのようなレースが行われたらしい。ポスターによるとUCI公認のプロのステージレースである。
コースを見ると、レースの何日目かに今日自分らの走ってきたルートを走っていた。数日前に同じコースをプロのレースが走っていたのかと思うとなんだか嬉しくなった。

M27に合流してからは、バクーまでの残り120kmはこの道を走るしかない。他に道がないのだ。
M27に入った途端、舗装が滑らかになった。非常に走りやすい(景色が単調で面白味には欠けるけれど・・・)。
なだらかな丘が連なっていて、あたり一面が麦畑と牧草地。緑は緑に違いないが木がなくなった。木陰がないから非常に暑い。

Şamaxıの先のSabırでレストランに寄って昼食がてら休憩。これまでたくさんあった簡素なチャイハナが姿を消して、少々高級なカフェ兼レストランのみとなった。
アゼルのハイライトはここまでで終了したっぽい。

いい加減もう下るだけだろうと思っていたのに、まだまだ上りがある。が、さすがに幹線は6~7%くらいの勾配で道路を通してあるから、長い上りでもあまり苦にならない。
冷たいものを一気に飲み食いしたためか、途中でちょっと腹が痛くなった。

暑くて基本的にあまり食欲がないのであるが、長い上りをこなしていたらまた腹が減ってきて、上り切ったところに現れたカフェに休憩がてら寄ってみた。
木陰のなんとありがたいことか・・・。道路沿いに木がないから、こういうカフェにでも寄らないと日陰に入れない。
ここでも、ジュースを買ったらもう一本サービスしてくれた。

建屋の中には羊肉を焼くにおいが充満していて、なんとも食欲が減退する。羊肉だけは苦手である。
ムスリムの国はそれだけがちょっと辛いところ。あんなに旨い豚を食べないなんてなぁ・・・。
ちなみに、ムスリムの国には中国人(華僑)が少ないように思えるが、たぶん豚肉が使えないことが一因だろう。豚肉なしで中華料理は成り立たない。
チーズもヤギか羊のものが普通なのだけれど、これはたぶん臭みを消すために(もしくは保存のためかも)塩を大量に使っていて、大汗をかいたあとでこのしょっぱいチーズが実に旨い。
それにしたってどう考えても牛のチーズのほうが旨いとは思うのだが、日本だとヤギのチーズが高級品になってしまったりするのだから面白い。

このあたりはコブスタン高原となっている。
で、コブスタンという町で買い出しをしたあと、またまた景色がガラッと変わった。このたびの変化は劇的。
麦畑や牧草地すらなくなって茶色い大地がひたすら続く。乾燥して埃っぽく殺伐とした風景。
これぞまさにイメージしていたアゼルの風景。いかにも石油が出そうな感じ・・・。
川もすべて干上がっていて水場も皆無。コブスタンの商店で水をもらっておいてよかったわ。
特にコブスタンで水を調達するつもりはなかったのだけれど、空のペットボトルを見たおっちゃんが向こうで水が汲めると親切に教えてくれたのだ。危ないところだった・・・その先は集落もなかったし、危うく水が手に入らないところだった。

バクーに近づくにつれ、朝から景色が三段階に変化した。森から草原になり、最後は茶色い大地へ・・・。
アゼルに入って最初に降り立つ地がバクーあたりだと、おそらくアゼルに対する印象はまったく違ったものになるのではないかと思う。

さて、困ったのがテン場。身を隠せる場所がまったくなく、どこまで走っても状況は変わりそうにない。
とある丘を上ったところであちこち偵察。
唯一道路から身を隠せる場所だったのが涸れ沢の川床である草地。鉄砲水が来たらアウトだし、明日また自転車を上まで上げるのが大変なんだけど、他に選択肢はなく腹を決めて幕営。ま、しばらく水の流れた形跡はないから大丈夫だろう。
そこには先客で大きな犬が一匹いたのだが(一瞬ハイエナかと思った・・・)、悪いけどどいてもらってテントを張った。

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気持ちのいい朝の高原                   ぼちぼち下る一方かと思ってたのに・・・

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この勾配はきつかったなぁ・・・

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ヘロヘロになって上りつく                  チャイをご馳走になった店には・・・

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ロードレースのポスターがあった               しばらく走ると・・・

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木がなくなった

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あたり一面麦畑と牧草地

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何やってんの・・・?                  その後もわりとアップダウンがある

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走っていると退屈なんだけど、けっこう写真映えするように思える

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アゼルの商店はこんな感じ                 ここは最上級の部類だけど

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さらに走ると草すらなくなった・・・劇的な変化に驚く

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あまり褒められたテン場じゃない
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