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トラブゾンのとある一日 その1

2012/4/16 月
晴れのち雨。
トラブゾンに来た目的はイランビザを取るため。この一言に尽きる。
西から東へ向かう旅行者は、レター無しで即日ビザの取れるトラブゾンでたいていイランのビザを取る。
ここへ来て一つ気がかりなことがあった。イスタンブールで会って先にトラブゾンに来ていたシューヘイ君&ヒロアキ君から良からぬ情報を得ていた。これまで30日のツーリスト・ビザを発行してくれていた領事館が、二ヶ月ほど前から15日のビザしか発行してくれないとか・・・。

古い情報では領事館は8:00開館ということだったので、朝食も食べず朝一で出かける。
守衛のおっちゃんが笑顔で迎えてくれたが、開館は9:00ということ。いったん宿に戻ってのんびり朝食を食べてから出直し。時間があるので目の前にあるインフォメーションで近くの自転車屋の場所も教えてもらった。

15分ほど前に再度領事館に行ってみると、既に二人組が待っていた。イスタンブールに留学中というポーランド人の学生二人。ヒッチハイクとカウチサーフィンを駆使してイスタンブールからやって来たという面白い二人だった。
後からルーマニア人のカップルもやって来た。
ポーランドもルーマニアも他の国でもそうなんだけど、その国に行ってみると英語を話せる人なんてほとんどいないのだけれど、さすがに外国を旅する人たちは言葉が流暢だわ。

9:00になっても入口の門は開かず、15分ほど過ぎてから呼び鈴を鳴らすとあっさり門が開いた。待ってるだけじゃダメだったんか・・・六人まとめて領事館の中へ。
パスポートをチェックされた後ひとまず申請用紙をもらう。「書けたらまた来てね」ってことでひとまず退散。
去り際に受付の女性から釘を刺される。「発給するのは15日のビザだけだから」・・・女性のところへスタスタ舞い戻って泣きつこうとしたが、取り付く島なし。イランに入ってから延長できるのか聞いてみると延長は簡単にできるらしい。ルーマニア人の彼の方も「テヘラン以外の町なら簡単にできるぜ」と教えてくれた。
ルーマニアの女性が写真について何やら質問している。のぞいてみると写真の彼女はスカーフで頭髪を隠している。女性は頭髪を隠した写真じゃないとダメらしい。そうだったのか・・・マユミの写真を撮り直さねばならん。

チャイを飲みながら申請書を書くと言う四人と別れていったん宿へ。申請書を書いて近所の写真屋で写真を撮ってから領事館に舞い戻る。
「遅いじゃないの」と言われはしたが手続きはスムーズ。左右の五本指全ての指紋を取るので手が真っ黒になる・・・。
「この銀行に一人60E振り込んで、レシート持って明日の12:00に来てちょうだい」・・・「明日?今日は受け取れないの?」
「明日!」・・・さいですか。申請書を出すのがちょっと遅れたからかな?ま、そこまで急いでるわけじゃないから別にいいけど。
ビザの延長についてもう一度聞いてみる。
発給してくれるのは発行から3ヶ月有効の15日ビザ。延長はイランに入ってから警察署などで簡単にできるとのことだが、何日延長できるかはまちまちでわからないという話。うぅぅむ、ウズベキやトルクメの入国をいつにするか悩ましいところ。ま、なんとかなるだろ。

領事館から出るとちょうど四人組が戻ってきた。てっきり銀行に行った後かと思ったら、これから申請書を出すという話。さすが!
真っ黒な自分らの手を見て、「その手は何があったんだい?」とビックリしていた。
「ビザもらえるの明日だぜ~」と伝えてそのまま銀行へ。
ちなみに自分らよりちょっと遅れただけの四人であったが、後で聞いたら受け取りは明日の15:00となっていた・・・。

指定された銀行へ行ってみるととんでもない混みよう。休み明けだからか?
勝手がわからずうろちょろしていると、親切なおっちゃんが整理券の発券機のところへ連れて行ってくれた。整理番号が4種類くらいあって正確なところはわからないのだが、自分らのシリーズ番号だけで70人以上待ち。今日中に順番回ってこないんじゃないのか・・・。
ひとまず外で昼食を食べて銀行に戻ると、四人組+ポーランド人のバイカーが一人同じように順番を待っていた。彼らの順番はさらに20番くらい後。無理だろこれ・・・。
ちなみにポーランド人のバイカーは見上げるような巨人。身長を聞いてみたら198cm!靴を履いているから確実に2m以上ある。大相撲の琴欧洲や把瑠都ってのはこんな感じか・・・。

銀行の営業時間を見ると、12:30から13:30の間は昼休みとなっている。で、12:15くらいになったとき、急に順番を示す電光掲示が消えた。ドドドッと並び出すトルコ人たち。わけもわからず一緒に並ぶ。
どうやら整理券は無効になって早い者勝ちになったようである。なんて素敵なシステム・・・。
もうちょっとの整理券を持っていたおっちゃんが後からやって来て、「何時間も待ってたんだぞ!」と警備員に大激怒。おっちゃんの怒りもごもっともだ。
自分らにとっては現実的な順番待ちとなった。15分ほどで順番が回ってきて、7人連続で同じ用件だから作業も早い。
ちなみに、ポーランドとルーマニアの彼らは申請時に指紋を取られていない。パスポートにそういったデータが入っているのか?
ビザ代は国によって違うわけだが、代わりにEU圏の彼らのビザ代は共に75E。
「指紋を押したのが15E分だ」「マジック・ハンドだ」と明るい彼らであった。

5人と別れてインフォメーションで教えてもらった自転車屋へ。
(ブダペストで新調したばかりのドーズのリア・ホイールに多数のクラックが出来ていることに数日前気付いた。けっこうピンチ)
これがまた非常にわかりにくいところにある。知っている人しか来れないだろ、この店・・・。
その店には28inのホイールなんてものはなく、別の店のことを聞くと、店のおっちゃんがわざわざ案内してくれた。
その店はさらにわかりにくいところにあった。とある建物の地下が作業場となっている。
イスタンブール以東で28inのホイールなんて早々手に入るまいと半ば諦めムードだったのだが、なんとその店には28inのしかも36Hのリムがいくつかあった。
自転車屋と言うよりは自転車修理屋。自転車とモーターバイクの修理ならなんでもできますって感じのところだった。意外と広い地下室には所狭しと部品が並べてある。新品と中古品が入り混じっていて、28inのホイールは中古だろうか。
ホイールが組めるか聞いてみると組めるという話。一度自転車を取りに帰って出直すことにした。

素性のよくわからないリムにここで交換すべきか、まだしばらくはもちそうなクラックの入ったダメダメの今のリムで騙し騙し走った方がいいのか・・・究極の選択だ。
そうだ、フロントに履いているリムをリアに持ってきて、店にあったリムをフロントに履ければいいんだけどなぁ・・・そんなことも考えていた。前後ともホイール組み直しになるけど。
とにかく自転車持って店に行って相談することに。

「フロントに履いているリムをリアに持ってきて、そこにあるリムをフロントに・・・それでスポークとハブは着いてるやつをそのまま使って、それでホイールが組める?」
そんなことをおっちゃんに相談してみる。もちろんトルコ語なんてわからないから100%ボディランゲージで・・・。
これがビックリするほど通じる。
その道のプロだと話が早い。言葉なんて通じなくても、こちらの言わんとしていることをしっかり理解してくれる。山でも自転車でも、これまでにも似たような体験を何度かしたことがある。

いくら掛かるか聞いてみると、たったの50TL。
外でやっていたモーターバイクの整備を中断してさっそく作業に入ってくれるおっちゃん。
「そうだ、もっとプロフェッショナルなリムがあるぞ」とおっちゃんが奥から出してきてくれたのは、"MADE IN GERMANY"と書かれた見るからに出来のいい代物。
おぉぉこいつは願ってもない代物。が、穴を数えてみると残念ながら32Hだった。素性のわからない36Hより出来のいいドイツ製の32Hの方がもつんじゃないのか・・・そう思わせるだけの出来のよさがそのリムにはあった。
が、やはり思いとどまって36Hで組んでもらうことにした。こいつが36Hだったら言うことなかったのに・・・。
おっちゃんの名前はアスラン。店にある28inのリムはどれもプレスタ・バルブ用だった。これも奇跡。

ウクライナのときのようにシマノ用のソケットがないんじゃないかと自前のやつを持ってきたのだが、それもちゃんと作業場にあった。
アスランと一緒にリア・ホイールをばらしているとき、リム・フラップを剥がしてみて愕然とした。ニップルの穴が、たぶんポンチで叩いて広げてある・・・ダメダメだったリアのホイールはリム自体が悪かったのではなく、単に組んだ人が悪かっただけなのだと思う。ブダペストの自転車屋め・・・。
それとは対照的にアスランは凄腕だった。メカニックの腕前は手つきを見ればすぐにわかる。アスランは自転車とモーターバイクのことならおそらく出来ないことは何もなかろう。
オフリドの自転車屋もそうだったけど、凄腕の人ってのは世界中にいるもんだなと感心した。ともにスポーツバイクなんて走っていない場所だけどね・・・。

おそらくアスランのところみたいな店が他にないと見え、作業場には次から次に人がやってくる。ブレーキワイヤの切れた自転車を持ち込んでくる子供やなにやら相談に来るおっちゃんら。本当に次々やってくる。当初暇そうに見えたアスランは実は大忙しだった。言わば自転車やモーターバイク関係の町の何でも屋さん。
一息ついたとき、「チャイ飲むかい?」とチャイをご馳走してくれる。
作業場の前が馬券売り場兼チャイハネのようになっていて、例の鉄製の盆にのせてチャイを出前してくれる。お金を払っている様子はまったくないから、おそらく月契約の形のようになっているのだと思う。

フロントのリムをリアに移植してから新しいリムでフロント側を組んでいるとき、やはりニップルが穴に通らなかった。ドーズに使ってあるニップルは標準のやつよりデカイのか?
すかさずドリルで穴を広げてくれるアスラン。おそらく不可能の文字はない。頼もしき凄腕のアスラン。

前後とも借り組みできたところで振れ取り台にセットしてスポークを締める。
最初に仕上がったリア側をチェックさせてくれた。ちょっとスポークを強く張りすぎか?他は完璧だから、ま、大きな問題はなかろう。
次に仕上がったフロント側は適度な張り具合。で、気付いた。リムの形状に差があったから、もしかして前後でスポークの長さが違っていたのかも?前後でスポークごと交換した方がよかったのか?リアが張り気味になったのはそのためかもしれん。
が、とき既に遅し。スポークのテンション以外は完璧に仕上がったホイールに大満足。

地下室で作業している途中で雨になった。
いやー助かりました!まさかトラブゾンで新しいホイールが手に入るとは。
この隙にリムフラップも持参した新しいやつに交換し、タイヤを前後ローテーションして作業終了。
次々人がやって来てその度に作業を中断したから結局3時間ほどかかったが、いろんな人たちと話をするのも実に楽しかった。
お代は本当に50TLだった。
作業後にまたアスランがチャイをご馳走してくれた。
アスランのところは細い道を挟んだ斜め向かいに小さな店舗があった。そこでも写真を撮ってアスランたちと別れる。

なんか朝からとても充実した一日だった。
宿に戻ると、てっきり今日チェックアウトしてしまったのかと思っていたフランス人のバイカーが戻ってきていて少し話ができた。
仲良く同じメーカのバイクだったからてっきりカップルかと思っていたら男二人。1月にニースを出発したという話。やはり風と雪がすごかったらしい。冬場は寒くてキャンプしてないと言ってたけど。
この先の彼らのルートは当初自分らの考えていたルート。やはりアゼルからイランに入ってトルクメ、ウズベキと縦断してからカザフに入る。その後はロシア、モンゴルと繋いで草原の道を行く、これまた魅力的なルートだ。
ちなみに、「ロシアには入れるのかい?」と聞いてみたら、フランスにパスポートを送り返して本国の大使館でビザを取るんだそうな。

ユーラシアは広すぎて、とても一度横断するだけでは行きたいところを全部カバーできない。
自分の感覚では、三回横断するとほぼカバーできそう。
まずは今回予定しているパミール・ハイウェイから狭義のシルクロード。そしてその北のステップロード。その他にカラコルム・ハイウェイも走ってみたい、その時はチベット経由で。
夢は広がる。死ぬまでに走れればいいな・・・。

そうそう、同じ宿に宿泊していた日本人とも彼がチェックアウトするとき会えた。
なんとウズベキスタンで日本語教師をしているということだった。何たる奇遇!が、残念ながら6月までという話。6月じゃまだまだウズベキスタンには入ってないな・・・。

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一緒にビザを申請した面々(マユミの隣の彼、身長198cm)   チャイの出前@アスランの作業場

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リムの穴をドリルで広げる・・・彼に不可能の文字はない!   振れ取り中の凄腕アスラン

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作業を終えてアスランと
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