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馬車の国ルーマニア その2 ルーマニア正教会から施しを受ける

2011/10/1 土
始:9:30 ~ 終:16:15 走行:63km
~ Vorona ~ Tudora ~ Budeni ~ Lespezi ~ Heci ~ Pascani ~ Gâstesti

快晴。一日中風強し。
Pascaniを目指し208を南下する。
Voronaまでは舗装されたばかりの驚くほどきれいな道だった。相変らずのヒルクライムで、常に上っているか下っているかのどちらかである。

Voronaのカフェでコーヒーを飲んで休憩。気軽にお茶やコーヒーの飲める国というのはいいもんだ。
ルーマニアの人たちはかなりの確立でイタリア語を話せる。言葉が近いのだと思う。ルーツから言ってもローマ帝国の血が入っているわけだし・・・。
ちなみに、同じラテン系の言葉ということで、英語よりはまだスペイン語の方が通用度が高いように感じる。
イタリアっぽいところはコーヒーにも現れていて、エスプレッソをよく飲んでいる。ま、正確に言うとエスプレッソっぽい濃い目のコーヒーということなんだけれど・・・。
全般的に物価の安いルーマニアであるがタバコだけはEU価格で、3Eほどもする。ウクライナでまとめ買いしておいてよかったわぁ・・・。

道が良くてこりゃ進むなぁ・・・などと話していた矢先、Voronaを出たところでダートになった。まさに今道路を作っています、という浮石のダート。
めちゃくちゃ走りにくいし、車の巻き上げる埃で人もバイクも真っ白。
この先ずっとこれじゃないかという嫌な予感がしたのだが、Pascani方面への分岐まで来ると、これから走ろうと思っていた交差する道は舗装されていた。助かった・・・。ちょうどブレーキのかけすぎで手が攣りそうなところだった。

分岐した先はあまり起伏がなくなり、おまけに追い風にも助けられた。
吹きつけているのは北風なのだけれど、まったく冷たくないから不思議だ。
昼間の日差しは強烈。真っ青な空の下で周りの景色がよく映える。丘の国の本領発揮といった風の、実にのんびりした美しい光景だ。
すれ違う車は自動車より馬車の方が断然多い。
今の時季はどの馬車も収穫済みのトウモロコシの茎と葉を満載して運んでいる。言ってみれば馬が自分で自分の冬の食料を運んでいる形だ。
馬車は細身の一頭立てのものが多い。時々一緒に子馬を連れているのは、道路環境に慣れさせるための練習であろう。

Pascaniで食料の買い出しをし、そこから28Aに入って西へ向かう。
行く手に待ち構えているのはカルパチア山脈。ルーマニアを横断してハンガリーに抜けるには、どこかでこの山脈を越えねばならない。
カルパチア山脈は、ウクライナからルーマニアにかけて「つ」の字形に連なっている長大な山脈である。険しいところは2,000m級の峰々が連なっている。
明日から本格的な山岳ステージに入ると思う。

西に向かい始めると、風は右からの強烈な横風に変わった。28Aに入った途端に車が増え、(風で道路のセンター側に押されるので)特に大型に追い越されるのが怖い。
その先で今度は進路が北寄りになると、向かい風でまったく進まない。
強い横風と向かい風ならどっちがいいか・・・少なくともこういう道なら向かい風の方がまだマシであるような気がする。横風はとにかく危険だ。
向かい風に逆らって緩い坂を上りきると、きれいな牧草地の丘になっていた。見るからに気持ちのよさそうなテン場なのであるが、この風の中幕営するのは無理。今日は風を遮るものがないと幕営するのは無理である。
狙い目は明るい森か林。
さらにしばらく走ると、道路脇に待望の明るい雑木林を発見。すぐ近くに修復中の教会と思しき建物があるが、おそらく今は使われていまい。ここを逃すと今日はテン場が見つからないかもしれない。
林の中の平坦地に迷わず幕営。

日暮れ時、テントで夕飯の準備をしていると、修道士の方がやって来た。誰もいないと思っていた教会は、実は修復中の今もちゃんと生きていて修道士の方が何人か起居している様子。
修道士の方は林の中での幕営を咎めに来たわけではなく、教会(の付属施設)に泊まってはどうかとわざわざ言いに来てくれたのだ。言葉がわからず相手の言わんとしていることを理解するのに時間がかかったけど・・・。
とてもありがたい申し出だったのだけれど、既に米を炊き始めてしまったことだし、テントの中に荷物を広げてすっかり寛ぎモードになってもいたので、お礼だけ言って丁重にお断りした。
と、しばらくして修道士の方がまたテントにやって来た。なんと、食べきれないほどの食事を運んできてくれたのだ。
焼き魚にサルマーレ(米と野菜をぶどうの葉で包んで蒸したもの)、バナナ、リンゴ、パイ、パウンドケーキ、大きなパンとガス入りのミネラルウォーター・・・なんという施し。びっくり仰天して一瞬言葉も失った。きょ、恐縮です・・・。

修道士の方の名はクリストフォール、ルーマニア正教の修道士である。
彼の後をついてきた大きな犬はフロレアーナ、巨体に似合わずおとなしくてちょっと臆病な可愛いやつだ。子犬の頃からクリストフォールが育てたということで、彼の言うことをよく聞くとても賢いやつでもある。
それにしても・・・なんとお礼を言っていいのやら・・・。なんと言うも何も「ムルツメスク」(ありがとう)という単語しか知らないのだけれど・・・。

ちょっと話をしてクリストフォールは教会に帰って行った、フロレアーナを従えて。
しばらくすると、クリストフォールがまたやって来た。今度はぶどうとチーズを持ってきてくれた。先ほどのやつにバナナとリンゴがついてましたけど・・・。

そしてなんと三度目に来たときは、「寒いから」と言ってふかふかの毛布と毛織の敷物を持ってきてくれた。
こんなことってあるのか・・・ホントにもうなんとお礼を言ったらいいのやら。「ムルツメスク」と繰り返すしかないのだけれど・・・。
宗教関係者からこんな施しを受けたのは初めてで、なんかすっかり恐縮してしまった。

ちなみに、食事はどれも絶品!特に焼き魚はタイのような魚だったのだけれど、こんな旨い魚を食べたのはいつ以来だったろうか。
すごい量だったけどちょっと無理して完食。パンやパイやパウンドケーキはありがたく明日の行動食にさせてもらおう。
もちろん作った炊き込みご飯は丸々余ってしまい(これもすごい量)、明日の朝食に回すことに。

すっかり暗くなったテントの近くをフロレアーナがガサゴソと散歩していた。ヘッドランプの灯りに照らされて光る目と巨体・・・一瞬オオカミかと思ってビックリした。
21:00頃から一時間ほど、ムスリムのアザーンのような祈りが教会から響いてきて心地よかった。
夜になっても風はやまず、明け方はけっこう冷え込んだ。クリストフォールから借りた毛織の敷物と毛布のおかげでぬくぬく。

101IMGP7148_サイズ変更 101IMGP7159_サイズ変更
ルーマニアも丘の国だった                今日は快晴!

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のどかだねぇ~                      運んでいるのは自分の冬場の食料

101IMGP7171_サイズ変更 101道端の井戸で水を汲む_サイズ変更
挨拶を交わしながら走る                 水は井戸で汲ませてもらう     

10110/1の野営地 教会のそばの森の中_サイズ変更
教会のそばの雑木林

101修道士のクリスとフォールが夕食を持ってきてくれた_サイズ変更
ルーマニア正教会の修道士クリストフォール・・・食べきれないほどの食事を施してくれた

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二度目に来たときはぶどうとチーズを・・・

101敷布団と毛布も持ってきてくれた_サイズ変更
毛織の敷物と毛布まで貸してくれた

2011/10/2 日
始:10:10 ~ 終:15:40 走行:55km
~ Moţca ~ Cristesti ~ Timişeşti ~ Dumbrava ~ Târgu-Neamt ~ Vânători-Neamt ~ Leghin ~ Stânca ~ Pipirig ~ Dolheşti ~ Pluton

今日も晴れ。午前中は雲が多かったが、午後から快晴となった。
林の中で日が当たらないということもあって、朝はとにかく寒かった。
風は昨日と同様北風であるが、昨日と違ってとても冷たい。なんか急に秋が深まった感じだ。

食器類は7:00~8:00の間に返してくれと昨晩言われていたので(おそらくミサがあるためだろう)、7:30過ぎに教会の敷地内にある宿舎へ返しに行った。
教会の中へは残念ながら正装をした人しか入れないらしい。8:00近くになると、正装した信者の方たちが次々教会にやって来た。
宿舎でクリストフォールと少しおしゃべり。
自分らがTârgu-Neamtに行くと知ると、付近にあるルーマニア正教の教会の場所を親切に教えてくれた。
「荷物には気をつけろ」と昨日からずっと口をすっぱくして忠告してくれる。荷物を積んだままバイクを置いておくと、持って行ってしまう(ジプシーの)子供たちがいる、と。
そうなのかなぁ・・・少なくともこれまで通ってきた町や村には微塵もそんな雰囲気はなかったけどなぁ・・・。
いずれにしても、自分らのような旅人にはこんなによくしてくれるのに、ことジプシーに関してはかなり厳しい感じのクリストフォールであった。
教会の募金箱に寄付をしていくつもりであったのだが、中に入れないということでできなくなってしまった。
現金を出すのもいやらしいし、結局クリストフォールにおなじみの折り鶴を渡しただけとなった。

テントに戻ってミサの祈りを聞きながら、昨日の炊き込みご飯を食べる。
その間も信者の方たちが次から次からやって来る。
朝食を終えて出発の準備をしていると、クリストフォールがフロレアーナと一緒に見送りに来てくれた。「片付けておくから」とゴミまで預かってくれた。
フロレアーナも一緒に記念撮影。本当にお世話になりました。

ミサの祈りの響く教会に一礼して走り始めた。
しばらく上ってから一度下り、E85と合流して4kmほど北上。Târgu-Neamtへ向かう15Bが分岐するところで西に折れる。
Târgu-Neamtまで道は平坦だった。斜め前から吹きつける風だけがちょっとしんどい。
馬車に乗る人や沿道の人と挨拶を交わしながら西に向かう。心配していた店も、ほとんどのところが日曜も開いていた。Dumbravaのカフェで途中休憩。

Târgu-Neamtは今日通る唯一の大きな町で、ここで食料の買い出し。ついでに山岳ステージを前にまたカフェで休憩。
Târgu-Neamtから10kmほどはまだ平坦。Vânători-Neamtから上りが始まる。勾配は緩い。
クリストフォールの教えてくれた教会も途中にあった。
いつしか道は山間の川沿いを走っている。沿道にたくさんの人が住んでいて、集落が途切れることがない。山は木々に覆われてこんもりしている。どこか日本の山村に似ている。(日本ほど山の懐が深くないけれど・・・)
ヨーロッパに日本のようなこんな山が残っているのは意外だった。(主に伐採により)ヨーロッパにはもうないと思っていたけど、あるところにはあるんだねぇ・・・。

14:00頃になると風がやみ、空は雲ひとつない快晴に。
Dolheştiの井戸で水を汲ませてもらい、その先のPlutonに入ったところで川の対岸に格好の場所を見つけ本日のテン場に決定。
川を渡るのに石を並べてみたものの、結局荷物を積んだまま渡ることはできず、荷物を降ろして対岸に渡した。
テン場の標高は680mほど、稼いだ高度は550mといったところ。

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弱々しい朝日                        修復中の教会

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フロレアーナ                         そこにいろと言われればそこにいる 萌え~

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見送りに来てくれたクリストフォールとフロレアーナ

102IMGP7229_サイズ変更 10210/2の野営地 川を渡った草地の木陰_サイズ変更
日本の山村のような景色になってきた         川岸の草地
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