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デルフト

2011/6/24 金
次の行き先はオランダ南部のブレダに定めた。大都市であろうロッテルダムを避けた形だ。アントワープから直通の列車はなく、国境にほど近いローゼンダールで乗り換えることになる。
9:00に宿を出てアントワープ中央駅まで歩く。
ローゼンダールまでは電車で30分ほど、運賃は7.8E。10:00発のアムステルダム行きに乗るはずだったのだが・・・。
22番線のホームで待っていると、9:45過ぎという微妙な時間に(タイミング悪く15分ほど遅れたものらしい)、駅に張り出されている時刻表には載っていないアムステルダム行きの別の列車が入ってきた。
そんなこととは露知らず、アムステルダム行きだし、ずいぶんいい列車だなと思いつつ何の疑いもなく列車に乗り込んだ。
5分もすると列車が発車したので、なんか変だなという気はした。
そのうち検札に回ってきた乗務員に告げられて、はじめて列車を間違えたことを知った。なんでもプラーベート・トレインということらしい。どういったわけで時刻表にない列車が運行しているのかは知らないが、まぁ日本で言えば新幹線のようなものだ。
この列車はローゼンダールには止まらず、次の停車駅はロッテルダムだと言う。あちゃ~。
助かったのは、イタリアのときのように罰金だの追加料金だのと言われなかったことだ。事情を察してくれた乗務員は、「ロッテルダムで新しい切符を買いなさい」と言っただけで列車に乗せてくれた。感謝!感謝!

果たしてたったの30分でロッテルダムの中央駅に到着。駅は驚くほど小さかった。人も疎らで、オランダ第2にしてオランダ最大の産業都市とはとても思えない。
町並みも思っていたほど大きくはなく、あまり気後れせずに済む。近代的なビルが多いのは、第二次大戦中に町が徹底的に破壊されてしまったためだ。町の一部に残る中世風の建物も戦後に再建されたものである。
ロッテルダムまで来てしまうと、特にブレダに行く理由はなくなった。戻るのもアホらしいし。
ひとまず町に出てみる。近くのインフォメーションで2軒のYHの場所を教えてもらい、その一軒に向かって歩き始めたが・・・。
よく考えたら特にロッテルダムに泊まるメリットもない。観光するにしても、もっと雰囲気のいい近郊の町に泊まってそこから日帰りすれば事足りる。
地図とにらめっこし、新たな目的地をデルフトに定めた。

降り出した雨をやり過ごしてから中央駅に戻って電車に乗る。切符は駅にふんだんにある券売機で買える。デルフトまで2.9E。
(おそらく近距離だけであろうが)オランダの電車も人を完全に信用したシステムになっている。改札はもちろんないのだけれど、加えてベルギーでは豆に回ってきた検札も一向に回ってこない。その気になればキセルはいくらでも可能な感じだ。

ここへ来て、今回ヨーロッパに来て以来はじめて青空が望めた。やっぱ晴れると気持ちいい。
時々丘の見えていた地形は、オランダに入ってまっ平らになった。オランダは国土の1/4が海面下にある。実際高度計に表示させるとマイナスを示す。
オランダの風物と言えばまずは風車であろうが、この風車も粉引きに使われていたのはよく知られているとおりであるが、実はそれ以上に重要であったのは排水の用途である。
低地オランダの歴史は常に水との闘いで、風車で揚水した水を周辺に築いた土手の外に排水し続けたわけだ。
そこまでしてこれほどの国を築いてきたオランダ人の忍耐強さにはすごいものがある。が、オランダの印象として暗く悲壮感の漂ったところはまったくなく、実際ベルギーから来てみると、明るくてオープンな印象を受ける。

他にオランダと聞いて連想するものはチューリップに木靴、運河、チーズ、ゴッホにレンブラントといったところだろうか。
でも、実際にオランダに入ってみて即感じることは「巨人」と「自転車」ということだろう。
巨人・・・とにかくオランダ人はデカイ。旅先で会うオランダ人も皆デカかったけど、実際来てみるとやはりデカイ。嘘かホントか成人の平均身長は190cmに近く、世界一のノッポ国であるらしい。酪農王国で乳製品の消費量が多く、カルシウム摂取量が非常に多いことが骨格形成に影響を与えているらしい。
とにかくデカイ。2mくらいありそうなやつがそこかしこにいる。
男はともかく、女の人が大きいことが特に目につく。骨格からして完全に別物だ。ここまで来ると、明らかに別の種族という気がする。

そして自転車・・・間違いなく世界一の自転車王国であると思う。
オランダはイタリアやフランス、ベルギーと並ぶ自転車大国である。それもツールやジロといったレースでの戦績はさておき、生活との密着度といった見方をすれば間違いなく世界一であると思う。
ベルギーなどでももちろん自転車はたくさん走っているけど、オランダの場合はもう桁違い。老若男女を問わずとにかく誰も彼もが乗っている。人口より自転車の数の方が多いというのも肯ける。
町の主役は歩行者でも、ましてや自動車などでもなく、明らかに自転車。車の走れる道路より自転車道の方が間違いなく多い。ここまで徹底して自転車道の整備されている国というのもはじめてだ。
昨今日本でも健康や環境といった観点から自転車が流行っていて、町中でスポーツ・ライド的なロードバイクやMTBなんかをよく見かけるようになったけれど、オランダのそれはほぼ100%実用車。日本のママチャリとは比較にならないほど頑丈な造りになっている。もっともこのくらいしないと、ガタイのいいオランダ人のパワーに耐えられないのかもしれないけれど・・・。
日本のように前かごはつけておらず、どの自転車も後ろに振り分けバッグを装備しているところがヨーロッパっぽい。
ベルギー人に言わせると、「オランダ人はケチだから自転車に乗っている」ということになるみたいだけど、生活環境が大きく影響していることは明らかだ。
運河沿いに張り巡らされた狭い道では自転車が最も効率的だ。アップ・ダウンのないまっ平らな国土も拍車をかけているに違いない。
旅の道具としてうってつけかもしれないオランダの自転車。ぜひオランダで自転車を買いたいなぁ・・・。

さて、ろくに駅名も確認せずに電車に乗ったため、車内放送に釣られて一つ手前のデルフト・ツイード駅でいったん降りてしまった。一本後の電車に乗りなおし、ようやくデルフトに到着。
デルフトは町中に運河の張り巡らされた可愛らしい町。画家のフェルメールの生まれ故郷で、フェルメールが「デルフトの眺望」に描いたような景色が今も残っている。
宿はインフォメーションで紹介してもらった。ちょっと遠慮気味に「一人20E以下で・・・」とお願いしたら、「デルフトではこれが唯一のポシビリティ・・・」と言って一軒の家を紹介してくれた。B&Bをやっている家らしい。ツーリスト税なるもの4E込みで、一泊44E。

16:00以降にチェックインできるということで、ひとまずインフォメーションに荷物を預けて町中を散策。
マルクト広場に面して新教会と市庁舎が建っている。市庁舎には結婚式の一団が次から次へとやって来る。どうやらウェディングドレス姿で市庁舎に婚姻届を出し、そのまま広場周辺の美しい市庁舎や教会、運河の畔で写真を撮るのが恒例らしい。
市庁舎の前にはベントレーやロールス・ロイスのリムジンが常に止まっている。

運河の畔に一軒の自転車屋があった。例によってのぞいてみる。
この店には中古車も置いてあって、アルテグラで組んだトレックのロードバイク(アルミ)の中古が100Eちょっとで出ていた。ここが日本だったら即買いの逸品だ。さすがに強度的にロードバイクで旅できそうにはないので、グッと我慢。
新車だけど、「これだ!」というツーリング・モデルも飾られていた。
ぜひオランダ製の頑丈な自転車が欲しいなぁ・・・。アムステルダムあたりで安いのが見つかるといいけど。

16:00過ぎに宿にチェックイン。線路を挟んで反対側の、感じのいい静かな運河の近くにその家はあった。
B&Bとして開放している部屋が二部屋あり、隣の一部屋には長期滞在と言うか半分住んでいるドイツ人が入っていた。
明るくて清潔な感じのいい家で、キューバでの民泊を思い出す。

一息ついて買い物に出る。
アントワープのアウトドア・ショップでようやくガスを手に入れ、自炊が可能になったのだ。
スーパーは品揃えが豊富で、旨そうなものがいっぱい。量だけあるけど自分らの欲しいものは何一つ売ってないウォルマートなんかとは違う。
さすがにヨーロッパの人たちは旨いもの食ってるわ・・・。先進国でもアメリカやメキシコあたりとは明らかに方向性が違う印象を受ける。効率ばかりを追い求めていない。

それにしてもこの自転車はすごいな・・・。しゃかりきに自転車を漕いでる姿に好感が持てる。面白い国だ。
ヨーロッパでもう一つ驚かされるのは車の縦列駐車の腕前だ。運河沿いにあるレンガ敷きの狭い道。このスペースにいったいどうやって車を入れてるんだ?ってところにスッポリと車が収まっている。
もっともイタリアやフランスといったラテン系の国では明らかにバンパーで押していたりするけど、ベルギーやオランダはちょっと事情が異なっているようである。日本に劣らず車はどれもキレイだ。

24jun2011 マルクト広場の新教会と 24jun2011 その対面にある市庁舎
マルクト広場の新教会と         その対面にある市庁舎

24jun2011 デルフトの眺望 24jun2011 東門の前では時々レガッタの練習をしている
デルフトの眺望                      東門の前では時々レガッタの練習

24jun2011 運河のある風景 24jun2011 旧教会の塔は傾いている
運河のある風景                      旧教会の塔は傾いている・・・

24jun2011 いろいろな自転車がある 24jun2011 そしてこの縦列駐車のテク・・・だいたい一発で決める
いろいろな自転車がある                 この縦列駐車のテク・・・だいたい一発で決める

2011/6/25 土
一泊でアムステルダムに移動しようと思っていたのだが、朝起きると雨。うぅぅむ、気分が萎える。ただでさえ移動続きで疲れているというのに・・・。
休養も兼ねてデルフトにもう一泊することに決定。
15:00過ぎまで雨が降っていたので、宿でまったりと静かにしていた。
夕方買い物に出ると、マルクト広場の近くに土曜市が出ていた。ベルギーやオランダの屋台はトレーラーになっていて、終わるとまたトラックで引いて帰っていく。市はだいたい17:00にははけてしまう。
雨の運河ってのも、出歩くのは億劫だけれど、それはそれでまた別の味わいがある。

ヨーロッパの国々は小さいのだけれど、それぞれに特色があるところがすごいと思う。ちょっと隣の国に入るだけでガラッと雰囲気が変わる。長い歴史の成せる業だろう。
国がどのくらい小さいのかと言うと、だいたいオランダが九州と同じくらい、ベルギーが四国の1.5倍ほど、ルクセンブルクに至っては神奈川県とほぼ同じ大きさしかない。
アマゾン川の河口にあるマラジョー島は九州ほどの大きさがある。アマゾン川の河口にオランダがスッポリ入ってしまうと考えると、オランダが小さいと言うべきか、アマゾン川が巨大すぎると言うべきか・・・。
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Comment 2

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Shintaro  

No title

おひさしぶりです!!キリマンジャロで会いました信太郎です!!!

ついに南米からヨーロッパに戻ってきたんですね。
何やら自転車旅をするやらしないやら!?
ヨーロッパは自転車&キャンプ最高です。(天気さえよければ。。)
街中にキャンプ場あったりしますしねー。
僕らは1ヶ月前に赤ちゃん産まれて、旅とはほど遠い生活になりました。また自転車旅したい!!

2011/06/30 (Thu) 00:11

なかっぴー  

No title

どうも~お久しぶりです。
無事ご出産おめでとうございます!
こちらは今オランダのユトレヒトで腰を据えて自転車探ししてます。
アムステルダムは宿代が高過ぎて死にそうな上、あまり自転車屋がなかった・・・。
ユトレヒトにはいっぱいあって毎日自転車屋詣で。
自転車物色して、装備品も見て回って、観光もしてないのに毎日妙に楽しい。
そんなことにかまけて日記が溜まるばかり。
詳細はしばらくしたらまたブログで。

これからシンタロー君らの過去記事も参考にさせてもらいま~す。

日本に帰ったら神社を訪ねるよ。

2011/06/30 (Thu) 06:25

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