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アントワープ

2011/6/23 木
「フランダースの犬」の里、アントワープにやって来た。
トンゲレンから電車で1時間半ほど、運賃は13.7E。

アントワープはブリュッセルに次ぐベルギー第2の都市でリエージュよりずっと大きいが、不思議と弾き返される感じがない。おそらくベルギー最大の観光地であるためだろう。近代的な町並みってのも一役買っているかもしれない。
宿はYH・ブーメランに駆け込んだ。ドミ部屋一人一泊12E。シーツ代として別に2.5Eずつかかるが、使わずともよいということで使わなかった。同室の宿泊者も皆使っていなかった。ま、安さを求めて来るのだから当然か・・・。
何人泊まれるのだろう、部屋数がけっこうあるが、おそらくここより安いところはないと思われいつも混み合っている。できれば2、3泊したかったが、明日はベッドが空いてないという話。仕方なくアントワープも一泊で発つことに・・・。あーそろそろどこかでのんびりしたい。

宿の周りにはユダヤ人が多く住んでいて、ユダヤ教の正装をした人たちをよく見かける。全身黒ずくめの服に黒い帽子、顎鬚ともみあげのあたりの髪の毛を伸ばした独特の格好をしているからすぐにわかる。女の人は帽子の代わりにスカーフを巻いている。もみあげを伸ばした色白の子供たちがとても可愛い。
ベルギーではムスリムの人たちもよく見かける。イタリアやフランス、スペイン、ポルトガルといった南欧の国々ではほとんど見かけなかったから、新鮮な思いだ。

アントワープと言えば、世界的には「フランダースの犬」ではなくてダイヤモンド。世界のダイヤモンド取引の中心地で、世界中のダイヤモンド原石のうちの70%がここで加工・研磨されている。デビアスも確かベルギーの会社のはず。
アントワープに4軒あるダイヤモンド取引所のうちの3軒が中央駅近くにあり、この界隈にはダイヤモンドを扱う宝石店がたくさんある。
ちなみに、ダイヤモンド業界を牛耳っているのはユダヤ人である。そんな関係もあって、アントワープの中央駅から市立公園にかけてヨーロッパ最大のユダヤ人社会が形成されている。

天気は相変らずだが、時折り青空も望める。青空が見えていたと思ったら雨が降ったり、また青空がのぞいたり、そんな感じの安定しない空。
早速町の中にあるノートルダム大聖堂に出かけた。
ここには、ネロが一目見たいと恋焦がれたルーベンスの絵が4枚ある。
教会としては珍しく、中に入るのに5E(学割3E)かかる。大きな教会で、中は教会というより博物館といった様相を呈しており、観光客もたくさんいる。出口のところにグッズを売るショップもあったし・・・。
ルーベンスの絵以外にも巨大な宗教画がいくつも飾られていて見事だ。おそらく「フランダースの犬」効果により日本人観光客も多いようで、パンフレットには日本語版もあった。ショップにも日本人向けのグッズがけっこうある。
数ある絵の中でもやはり白眉なのはルーベンスの絵だろう。
記憶がおぼろげであるが、ネロが最後に「パトラッシュ、僕もう疲れたよ・・・」と言って昇天するのは、一番奥にある祭壇の上に架かる絵「聖母被昇天」の下だったと思う。
なんか感慨深かったなぁ、この絵を目にしたときは。

日本人なら誰でも知っている「フランダースの犬」であるが、ちょっと前まで舞台となったアントワープではほとんど知られていなかった。
マリ・ルイーズ・ド・ラ・ラメーというイギリス人女性がアントワープに住んだ経験を基に書いたこの物語は、イギリスでは出版されていたが、アントワープではほとんど知られていなかったのだ。
アントワープにやって来る日本人が揃って「フランダースの犬」「フランダースの犬」と言うもんだから、物語のことをまったく知らなかった観光案内所の市職員コルテールさんが調査に乗り出し、ネロが住んでいたところがアントワープの南西にある町オーボーケンであることを突き止めた。
現在、このオーボーケンにはネロとパトラッシュの銅像が立ってる。

で、そのオーボーケンに行ってみた。
行き方はノートルダム大聖堂の近くにある観光案内所で教えてくれる。トラムの2番に乗り、終点まで行く。
このトラムのシステムはすごかった。人を信用していないと絶対にできないシステム。改札なんてものは当然ないし、車内での検札も一切ない。つまり、やろうと思えばいくらでもキセルできてしまうという太っ腹なシステムだ。
一応ホームに券売機があって、そこで切符を買える。その切符をどうするのかと言うと、車内に設置してある箱に通す。そうすると切符にチャージされた金額が減って印刷されるというシステム。
が、実際に車内の箱に切符を通している人はほとんどいない、と言うと語弊があるが、実際多くの人が何もせず普通にトラムに乗っている。
切符の買い方がよくわからず券売機の前でオロオロしていたら、近くの人が親切に教えてくれた。が、さすがにキセルできるとは教えてくれなかった・・・。ちなみに運賃は一回1.2E。

オーボーケンは意外と遠かった。アントワープからトラムで35分ほど。
パトラッシュは毎日この距離を、荷車を引いてアントワープまでミルクを運んでいたのか・・・。
現在のオーボーケンは、当時(1870年代)の面影など微塵もない普通の町である。
終点の駅で降りたはいいが、銅像がどこにあるのかわからない。
「フランダースの犬」の銅像はどこですか?と自転車に乗っていたおっちゃんに聞いてみたら、「銅像?それならほれ、あそこに・・・」と大通りにある別の銅像を教えてくれた。
「いや、それじゃなくて犬の銅像がないですかねぇ?」と聞き返すと、「おぉぉ!パトラッシュのことかい。それならほれ、そこを左に曲がって・・・」と親切に教えてくれた。
おっちゃんはパトラッシュを知っていた。
教えられた角を曲がると・・・あった、あった!あったけど妙に小さい。知らなきゃ見落としてしまうところだ。
銅像の下にはちゃんと"NELLO EN PATRASCHE"と書かれていた。
でも、銅像のネロとパトラッシュは、日本のアニメのイメージとはまったく違っていた。どうせならアニメに似せてくれた方が訪れる日本人は喜んだろうに・・・。
ちなみにフランダースの犬の実像、当時ミルクを運んでこのあたりを走っていた犬の姿というのは、アニメのパトラッシュとは違うらしい。ブービエ・デ・フランダースという犬種で、現在も家庭で飼われている毛足の長い、耳の垂れた犬だそうだ。

当時の面影があるわけでなし、銅像を見てしまうとオーボーケンには何もない。
トラムでアントワープにとんぼ返り。
一緒に乗る人たちを真似て?(と言うか田舎のホームにはそもそも券売機がなかったりする)トラムに乗ると、案の定タダでアントワープまで帰れてしまった・・・。
つくづく日本では絶対にありえないシステムだ。

23jun2011 ノートルダム大聖堂 23jun2011 中は教会と言うより博物館の様相を呈している
ノートルダム大聖堂            中は教会というより博物館

23jun2011 ネロが一目見たいと恋焦がれたルーベンスの絵「キリストの昇架」 23jun2011 同じくルーベンス作「キリストの降架」
ネロが一目見たいと恋焦がれたルーベンスの絵・・・左「キリストの昇架」 右「キリストの降架」

23jun2011 ネロが昇天したのはおそらくこの祭壇の前 23jun2011 その祭壇の上に架かるルーベンスの絵「聖母被昇天」
ネロが昇天したのはおそらくこの祭壇の前     その祭壇の上にあるルーベンスの絵「聖母被昇天」

23jun2011 教会内のショップにあったネロとパトラッシュの絵葉書 23jun2011 オーボーケンにあるネロとパトラッシュの銅像・・・ちっちゃい
教会のショップにあったネロとパトラッシュの絵葉書  オーボーケンにあるネロとパトラッシュの銅像・・・ちっちゃい

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