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イスタシワトル(5,230m)

2011/5/13 金
メキシコで唯一の心残りだったイスタシワトル、先日東側からアプローチして失敗したイスタシワトル。
できれば登頂したい。
というわけで、今回はよりポピュラーと思われる西側のアメカメカからアプローチ。
ただし今回は雪山装備がないので、果たしてどこまで行けるのか半信半疑のまま。
晴れた日に見た感じではなんとかなりそうな印象。マリンチェで会ったメキシコ人のおっちゃんも、今の時季ならトレッキング・シューズで登れると言っていたから、まぁ行けるとこまで行ってみよう。

9:00に宿を出ようと思っていたのだが、同宿人たちとおしゃべりしていて出るのが遅れた。
いらない荷物を宿に預け、オアハカに小旅行に行くというホンダさんと一緒に宿を出る(10:00過ぎ)。
市内を走る無料バスと地下鉄のB線を乗り継いでTAPO(東方面バスターミナル)まで。
例によってバスは頻発していて、11:20のバスに乗れた。1時間10分ほどであっさりアメカメカに到着(26N$)。
アメカメカは標高2,450mほど。小さな町であるが、やたらと活気があって賑やかなところだ。
晴れていれば町からイスタがよく見える。鞍部のアヨロコ氷河はもちろん真っ白であるが、山の斜面には薄っすらと雪が着いている程度。
思ったとおり稜線上にはほとんど雪がないように見える。これなら行けるか・・・俄然テンションが上がってくる。

お決まりのタコスで腹ごしらえして水を買い足す。
イスタも他の山同様水が取れないから、今回は二泊分として10L担ぎ上げる。調理用の水はアミーゴの水道から汲んできたが、飲み水だけは買うことにした。
アメカメカから先の足はタクシーのみ。バスやコレクティーボはない。タクシーの相場はパソ・デ・コルテスまで200N$、その先のラ・ホヤまで350N$といったところ。
料金を考えると、パソ・デ・コルテスまでタクシー、その先は歩くのが妥当な線だろう。
タクシーは町中に腐るほどいるので困らない。

パソ・デ・コルテスはアメカメカから23kmほどの距離、30分ほどで到着。標高は3,680m。
早速ゲートの先へ歩こうとしたら、係員に止められた。最初にそこの登山センターへ行けと・・・。
付近一帯はイスタ・ポポ国立公園となっていて、パソ・デ・コルテスから先に入るには入山料がかかるらしい。一日25N$。フォームに記入してお金を払うと、リストに巻く入山許可証を申請した日数分くれる。
馬鹿正直に三日分払ったが、後でチェックされるわけではないから、一日分か二日分払えばOKであると思う。まぁ高が一日25N$だけれどね・・・。一応許可証には申請した日付けがスタンプされてはいる。
ちなみに、登山センターのトイレでも水を汲むことは可能。

入山料も払い、晴れてゲートの先に足を踏み入れる。
標識によると、車の走るダート道を辿るとラ・ホヤまで7kmもある。が、車道をショートカットするようにトレールが設けられているので、車道を辿る必要はない。
最初は気付かずに車道をトレースしていたが、途中でふと気付いてトレールに入った。既に森林限界は超えていて、なかなか眺めのよい草原が広がっている。が、雲に遮られて、すぐそこにあるはずのイスタもポポも見えない。
天気悪いなぁ・・・アメカメカを出るときははっきり見えていたイスタも、パソ・デ・コルテスに着く頃にはすっかり見えなくなっていた。
天気は毎日こんな感じだろうと思う。昼過ぎには雲が湧いて山がベールに包まれるのだろうと・・・。

途中にあるTV塔の下をパスし、パソ・デ・コルテスから2時間でラ・ホヤ(3,940m)に到着。
駐車場には車が2、3台。ちょうど下りてきたパーティーがいたので話を聞いてみると、イスタまで行ったわけではなく、ロス・シエン小屋から登りつめたピーク=パンサまで行ってきたらしい。イスタの南に延びる尾根は長大で、本峰の手前にいくつもピークがある。
小屋まで雪はないと言っていたが、彼らのアイゼンは使用した跡があって泥だらけだった。微妙なところなのかな、ひょっとして。

駐車場の先が広場となっている。イスやテーブルもいくつかあって快適そうなテン場である。
時刻は16:00過ぎ。ここに幕営したい衝動に駆られるが、いかにも山に登る人以外にも来そうな場所で、ここにテントを張りっぱなしにするのは心もとない。
もう少し高度を上げることにした。
急登に取り付いて40分ほど斜面をトラバースすると、ひょっこりと支尾根の上に出た。岩の基部が一張り限定の快適そうなテン場となっている。標高4,200m弱、時刻は17:00過ぎ。
ここより上部は雲の中で、今にも雹だか雪が降り出しそう。上のテン場の状況もわからないし、幕営することに決定。

食事を済ませてシュラフに包まっていると、19:00過ぎから雷と共に激しい雹となった。パチンコ玉大の雹が激しく打ちつけて、久々にテントに穴が開くんじゃないかと思った。
まだまだ外は明るい。あっという間にあたり一面真っ白になった。でも、すぐに融けてしまう。
暗くなってからは一晩中風が強かった。気分が萎えるなぁ・・・風が一番怖い。

13may2011 リストに巻く入山許可証・・・一日25ペソ 13may2011 パソ・デ・コルテスから見るイスタ・・・のはずが雲で見えない
リストに巻く入山許可証・・・一日25N$        パソ・デ・コルテスから望むイスタ・・・のはずが雲で見えない

13may2011 4200m付近に幕営
4,200m付近に幕営

2011/5/14 土
2:30過ぎに起床。相変らず風があって上部にも雲がある。けっこう寒い。
月がだいぶ大きくなっていて、オリサバの時と比べるとかなり明るい。
4:00前にテントを後にする。
風に吹かれると寒いが気温自体は低くないようで、地面も凍ってない。
雹で白くなったトレールをしばらく詰めていくと、岩壁にぶち当たる。登りゃせんだろ、たぶん・・・登れないことないだろうけど。
右から巻くのか左から巻くのか、しばし右往左往。明るくなれば一目瞭然なんだろうけど、暗くてルートが判然としない。
左から基部をトラバースするのがルートっぽいので、半信半疑のまま詰めていくと尾根上に出た。たぶん主稜線上。
その後も岩峰にぶち当たっては巻き、ぶち当たっては巻きを繰り返す。ちょうど穂高あたりの稜線上を歩いているような感じ。10月あたりの薄っすらと雪の着いた穂高の稜線チック。

しばらく尾根を詰めていくと、眼下のコルに小屋らしきものが見えた。まっすぐ下ってみると、ロス・シエン小屋、4,585mであった。時刻は6:00過ぎ。ここまで2時間ちょっと。
小屋には誰もおらず、しばらく人がいた形跡もない。どうやら先行者はいない模様。後続パーティーも見えない。
小屋から右手の尾根上に上がってみると、行く手には巨大な山塊がドドーンと聳えている。
またまた微妙な岩壁に行く手を遮られ、行きつ戻りつ右往左往。
右手の谷は深く、こちらから巻くのは厳しそう。左手は岩塊に遮られて見通しが利かず、巻けるのかどうか不透明。尾根通しに中央突破するのが正解のように思えるが・・・。
急がば回れ、もうじき日の出だから明るくなるまで待とう、ということに。

いつ見ても日の出は神々しい。
黒い塊だった目の前の山塊に色がつき始め、全容が明らかとなってくる。どうやらそもそも尾根に上がるのではなく、小屋からガレ場を直接詰めるのが正解らしい。
左からトラバース気味にガレ場へと尾根を下りる。下りてみると、トレースっぽいところが雹で白いラインとなっていた。
ひたすら山塊のピークを目指してガレ場を詰める。最後はちょっとした岩登りとなり、7:40にピークに達する。
標高およそ5,000m。パンサと呼ばれているピークで、山頂には小屋の残骸のようなものがあった。
尾根はまだまだ先に連なっている。ここから見えているところがイスタの山頂なのか、それともまだ見えていないのか、まったくわからない。

テン場からここまで3時間45分。日が昇っても風が冷たく、「ここでやめとこうかな・・・」とマユミから泣きが入る。
二人で別行動をとるわけにもいかず、しばし休憩してからマユミの尻を叩いて先へ進む。
次のピークは山腹をトラバースし、パンサから見えていたその先のピーク直下まで登りつめると先が見えた。まだ先がある・・・。
どうやら眼下に広がっているのがアヨロコ氷河で、その二つ先のピークが正真正銘、イスタのピークだろう。

山腹をトラバースして氷河に下りる。下り立った氷河は表面にシュカブラ状の雪が着いていて、氷河というよりは雪渓といった様相。
日もだいぶ高くなってポカポカ陽気。意気揚々と氷河を横断していると、左足が氷河を踏み抜いた。まさか融けているとはね・・・。
左足が脛までびしょ濡れ。標高5,000mでこの状況は場合によっては致命的なピンチ・・・。
でも大丈夫。ポカポカ陽気で凍傷の心配などは皆無。靴に溜まった水を出し、靴下を絞って歩行を続けると、あっという間に乾いてしまう。

氷河を横断して尾根上に出ると、気持ちのいい稜線が続いていた。このあたりは時々風に乗って硫黄の臭いが漂ってくる。
後方には、キノコ雲のような噴煙を上げるポポが霞んで見える。

次のピークは右から巻くのが正解だったようで、左から巻いたら嫌らしかった。谷が深くて落ちたら致命的。
で、ようやく次がイスタのピーク。山頂は広く、雪の溜まった火口部分を取り巻くようにポコポコと外輪山が並んでいる。
そのうちの一つ、標高はどれも変わらなさそうなので、最も手前のピークをもって登頂とした。
9:20、イスタシワトル(5,230m)登頂成功。もうメキシコに思い残すことは何もない。
ちなみに、山頂には何もない。プレートひとつない。手前のピークには何かしらあったのに、何でここにはないんだろ。

イスタは大きくて登り甲斐のある山であるが、山頂からの眺めはまったくパッとしない。マリンチェやオリサバのように下界を見下ろせんのだ・・・。
裾野の大きい山であるゆえスパッと眼下に下界が広がるわけでもないし、何よりスモッグが酷くて下界の様子がわからない。
9:00を過ぎて次々と雲も湧いてきた。特に東側の雲がすごい。プエブラから山が見えないわけだわ、こりゃ。
そんなわけで登頂の感動というのはあまり湧いてこない。せっかく山頂を独り占めであるにもかかわらず・・・。
20分ほどで山頂を後にする。

氷河を横断してパンサに登り返すと(11:00)、ちょうど2パーティーが登ってきたところだった。
その下、ロス・シエン小屋までの広大な斜面をたくさんの人たちが登っている。
メキシコ人は予想以上によく山に登る。それもしゃかりきにピークハントする、というわけではなくて運動のために登っている、そんな感じだ。
時間的に考えても、後続の人たちでイスタのピークまで行く人はまずいないだろう。それでいいのだ、おそらくピークハントが目的じゃないから。
昨日、登り出しのところですれ違ったメキシコ人がパンサまでしか行ってないと話していて「何でだろ?」と思ったのであるが、今思えばこれがメキシコ流の山登りというわけだ。

ロス・シエン小屋まで下ったところで(12:00)完全にガスった。先の尾根が見通せないので慎重に下る。
まだまだたくさんの人たちが登ってくる。この時間に登ってくる人たちは「ちょっとそこまでハイキング」、といった出で立ち。おそらく適当なところまで行って引き返してくるのだろう。
13:20にテントまで戻った。
時間的にはこのまま十分パソ・デ・コルテスまで下りられるが、予定通りもう一日山に泊まるに。

それにしても・・・昨日とまったく同じ天気。
昨日より雹の降り始めが早く、17:00過ぎには雷と共に雹が降り始めた。
さすがにメキシコ人は天気のことをよく心得ていて、この頃にはほぼ全員が下山していった。

20:00過ぎ、暗くなりかけたまだ雹の降り続く中、二人組が上がってきて近くにテントを張っていた。
はて?自分らの張ったところ以外にどこか張れるところがあったかな?他にほとんど平坦部はなかったと思うけど・・・。

14may2011 6時半頃になるとようやく明るくなってくる 14may2011 黒い塊の全容が明らかとなる
6:30頃になると明るくなってくる             そして黒い塊の全容が明らかに・・・

14may2011 いつ見ても日の出は神々しい
いつ見ても日の出は神々しい

14may2011 ようやくパンサに達するが・・・ 14may2011 先に見えているのはまだイスタ本峰ではなかった
ようやくパンサに達するが・・・              先に見えているのはまだイスタ本峰ではなかった

14may2011 ひたすら登りつめる 14may2011 アヨロコ氷河・・・あのピークの先に本峰がある
ひたすら登りつめる                    アヨロコ氷河・・・あのピークの先に本峰がある

14may2011 気持ちのいい稜線・・・この辺りは硫黄臭がする 14may2011 このピークの先がいよいよ本峰
気持ちのいい稜線・・・ときどき硫黄臭が漂う     このピークの先がいよいよ本峰

14may2011 振り返るとポポがキノコ雲のような噴煙を上げている 14may2011 イスタシワトル(5230m)登頂
振り返ればキノコ雲のような噴煙を上げるポポ    イスタシワトル(5,230m)登頂

14may2011 イスタの山頂は広い 14may2011 空とスモッグの境界
イスタの山頂は広い                   空とスモッグの境界・・・恐るべし、メキシコ・シティ

14may2011 アヨロコ氷河を横切ってパンサへ向かう 14may2011 パンサの登りを振り返る・・・最後はちょっとした岩登り
アヨロコ氷河を横切ってパンサへ向かう        パンサを振り返る・・・最後はちょっとした岩登り

2011/5/15 日
隣のテントのパーティーは夜中2:00頃出発していった。朝になったらテントがなかったから、どうやらテントを担ぎ上げたらしい。
昨日より多量の雹が降ったようで、明るくなってもテントの周りは真っ白だった。
手前の岩峰に遮られ、9:00近くになってようやくテントに日が当たり始める。
テントを日に当ててから、9:30にテン場を後にした。
一応天気は快晴で、イスタもポポもよく見える。よく見えるけど白っ茶けている。標高4,000mの地で、こんなに間近に見ているのに白っ茶けている・・・。
恐るべし、メキシコ・シティのスモッグ。
写真に撮っても白っ茶けててまったく映えないのが激しく残念だ。

昨日ほどではないが、やはりたくさんの人たちが登ってくる。皆さん適当なところまで登って下りてくるのが目的だ。
今日登頂目的で登ったのは、おそらく2:00頃出発したパーティーだけだろう。
写真を撮りつつのんびり下るが、それでも下りは早く、ラ・ホヤまで25分。
ラ・ホヤからのイスタの眺めもスバラシイ。登り出すときにこの光景を目にすれば、きっとテンションが上がることだろう。
ラ・ホヤの駐車場には車がたくさん止まっていた。来たときとはえらい違い。

ラ・ホヤからの下りは、一度も車道を歩かずに全てショートカットのトレールを歩いてパソ・デ・コルテスのゲートまで帰ってこられた(11:55)。
テン場から2時間20分、ショートカットできてえらい近かったな・・・。

さて、問題はアメカメカまでの足である。
さすがにタクシーの一台くらいいるだろう、と淡い期待を抱いて下りてみたものの、そんなものいやしねぇ・・・。
たくさんのメキシコ人が自家用車で来ているものの、峠の逆側へ抜ける人や、これからラ・ホヤに向かう人ばかり。これからアメカメカ方面に下りようなんて車はいない。
しばらく待ってみたものの埒が明かないので、歩いて下りながら車が来たらヒッチすることにした。

4台目だか5台目、2kmちょっと歩いたところでようやく一台の車が止まってくれた。
メキシコ・シティから来た大学生たちの車で、英語を話すフレンドリーな若者たちだった。ありがたくアメカメカまで乗せてもらうことにしたのだが・・・。
町まで5kmほどのところに来たところで車がストップ。ドライバーの女性が運転に不慣れだった所為もあり、ブレーキがフェードしたらしい。
「ゴメンネ。悪いけどここから別の車で行ってくれる」と申し訳なさそうに話しながら、女の子の一人がコレクティーボまでつかまえてくれた。
いやいや、ここまで乗せてもらえただけで感謝・感激・雨アラレですから・・・。本当にどうもありがとう!

女の子のつかまえてくれたコレクティーボに乗ってアメカメカまで帰ってきた。親切なメキシカンの学生に助けられ、帰りはアメカメカまでたったの5N$。
山にいるときから決めていた、来た時と同じ屋台でタコスを食べてメキシコ・シティ行きのバスに乗った。珍しくバスは混んでいて、最初しばらく座れなかった。
アメカメカでも怪しい風が吹いていたが、途中はけっこう雨が降った模様。
道路がやたらと混んでいて、メキシコ・シティまで2時間近くかかった。
再びアミーゴにチェックインして一日終了。
アミーゴは二人で泊まるとドミも個室も同料金という素敵な料金体系であるからして、今回は個室にした。
ドミが男女で別れていると、石鹸とかシャンプーとか共有しているものが面倒なんだよね・・・。

15may2011 翌朝のテン場 15may2011 太陽が出るとトカゲが日向ぼっこを始める
翌朝のテン場・・・まだ白い                太陽が出るとトカゲが日向ぼっこを始める

15may2011 ラ・ホヤから望むイスタ・・・白っ茶けてて写真映えせんなぁ 15may2011 山頂部のアップ
ラ・ホヤから望むイスタ                  白っ茶けてて写真映えせんなぁ・・・

15may2011 すっかり雲に覆われたイスタ 15may2011 ポポもやはり霞む・・・写真映えせんなぁ
すっかり雲に覆われたイスタ              ポポもやはり霞む この標高でこんな近くから見てるのに・・・

15may2011 ヒッチした車は途中でブレーキがフェード
ヒッチした車は途中でストップ ここまで乗せてくれて感謝・感激・雨アラレ
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