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ワイワシュ・サーキット

2010/9/6 月
HUAYHUASH Circuit Day 1

ワラス(3,100m) ⇒ チキアン(3,400m) ⇒ リャマク(3,300m) ⇒ ポクパ ~ マタカンチャ(4,100m)

ワイワシュ・サーキット・・・ワイワシュ山群の西麓にあるリャマクからワイワシュ山群を時計回りにぐるりと一周しリャマクに戻る、全長:130kmの魅力的なルート。4,300-5,000mの峠を9つ越えるハード・トレッキングだ。
4:00過ぎに宿を出、昨日チケットを買ったナザリオ社のオフィス(ただの掘っ立て小屋)の前まで暗闇の中を歩く。
今回ザックの重さは量ってないが、旅の間背負ってるのより軽いから20kgはない。おそらく15~16kgくらいだろう。食料と燃料が半分近くを占めるから、いつもの山と同じで日が経つにつれ荷物が軽くなる寸法だ。
ナザリオのオフィスに着いて暫くすると人がパラパラ集まり出し、荷物を積んでバスに乗り込む。地元の人に交じって他にガイド・パーティーが2パーティーほど。
エチオピア並みに朝早いバスだが、席は決まっているから楽だ。
時間通り5:00に出発。バスに揺られながらひたすら寝る、寝る。
途中、やけに寒いなと思ったら、バスは標高4,400mに近いところを走っていた・・・。
7:45にチキアンに着き、1時間ほど休憩。チキアンは小ぢんまりとした感じのいい町である。
チキアンからは道が格段に悪くなる。谷沿いの狭いダート路をバスは行く。
ウトウトしている隙にリャマクを通り過ぎたらしい。バスの乗務員に「ポクパまで行くが乗っていくか?」と声をかけられた。昨日チケットを買ったときはリャマク止まりという話だったが、その後ガイド・パーティーが来たからか、バスはポクパまで行くらしい。
追加料金の10sは、ワラスからリャマクまでが20sであることを考えると相当高いが、せっかくなので乗っていくことにした。と言うか、聞かれた時点で既にリャマクは通り過ぎていたわけだが・・・。
リャマクからポクパまでは僅か3~4kmの距離だが、道はいよいよ悪く、一歩間違えば谷底に転落しそうな感じである。
11:00にポクパに到着。バスから埃だらけの荷物を降ろして準備していると、早速女の子が通行料の徴収に来た。
マルコスからも、インフォメーションでも話は聞いていたのだが、ワイワシュ・サーキットでは途中の集落を通るたびに通行料のようなものを徴収される。何箇所かあるのだが、一周するとトータルで145sほどかかる。
ブランカ山群の国立公園のように一箇所でまとめて払うのではなく、集落を通るたびに分納していくわけだ。まずはポクパの通行料が10s。
バスを降りて10分ほどして歩き始める。
ガイド・パーティーは大量の物資を早速ロバに積んでいる。それにしても・・・トレッキングって登山と違って歩くこと自体が目的なんだから、荷物をロバに運んでもらってどうすんだ???
リャマクからだと一本南の谷にあるトレールを歩けるのだが、ポクパまでバスで来てしまった手前そのままマタカンチャまで谷沿いのダート路を歩く。
雲が多く、途中雨が降ったりやんだり。寒かったり暑かったり忙しい。
最後の1kmほどは、ピックアップで通りかかった作業員のおっちゃんが乗っていけと言うので言葉に甘えた。ポクパから4時間半ほどでマタカンチャに到着。
マタカンチャのテント場には他に4パーティーほど。例の巨大なサーカス・テントがいくつか張ってある。
さて、重要な「水」について。
山には氷河があり、氷河湖も無数にある。それらを水源とした川が無数に流れているので、基本的に水にはまったく困らない。
氷河を水源とした川の水自体は驚くほどキレイなのだが、問題なのはどこにでも放牧されている牛や羊。ホントにそこかしこにいる・・・。
イシンカ谷の登山のときもそうだったけど、彼らのし尿で水が汚染されている可能性があるので、川の水を煮沸して飲用にせねばならない。これはやってみるとかなり面倒くさい。山ではいつも沢の水をそのまま飲用している身として甚だ面倒なのだが、腹を壊しては元も子もないので郷に入っては郷に従う。
マタカンチャのテント場も牛だらけ、と言うか放牧地の中にテントを張っていると言った方が正しい。山からも幾分離れているためか水も若干濁っているが、まぁ煮沸すれば問題なかろう。
テントを張ってしばらくすると、雨が本格的に降り出した。

6sep2010 マタカンチャに向かう途中 6sep2010 マタカンチャのテント場に幕営

2010/9/7 火
HUAYHUASH Circuit Day 2

マタカンチャ(4,100m) ~ カカナン峠(4,700m) ~ ハンカ(4,250m) ~ カルアク峠(4,650m) ~ カルアコーチャ湖(4,138m)

晴れ。6:00に起きて朝食を食べる。パッキングして外に出ると、テントの周りが牛だらけだ。朝の放牧地に移動の途中らしい。
凍ってバリバリになったテントをたたんで7:40に出発。が、いきなりルートがわからん・・・今回持ってきた地図は1/100,000で、日本のエアリア・マップをさらに簡略化したようなやつ。等高線が書いてないので細かな地形の特定ができない。
実は詳細な地形図もワラスで売っていたのだが、かなり値が張るのでこっちの安い地図にした次第だ。
ワイワシュ山群のトレッキングの特徴として、ルートがわかりにくい。原因の一端は、牛や羊がそこかしこで放牧されていて放牧のトレールが錯綜していること。そして表示やマーキングが一切ないことだ。
表示やマーキングについては、日本の山はやりすぎだと思うが、ここワイワシュはなさ過ぎる。せめて峠やキャンプ指定地の表示くらいあってもよさそうなものだが・・・。ま、裏を返せば地図とコンパス頼りに好きなところを歩けて、好きなところにテントを張れる、ということでもあるのだが。
マタカンチャのテント場を出てしばらく行くと、トレールが錯綜している。どこから峠に登るのか、2ルートほど選択肢が考えられ、ひとまず手前のトレールを追ってみる。が、どことなく違いそう。どうやら単なる放牧地に向かうトレールらしい。
気を取り直して一本横の尾根を登る。今度は正解らしい。1時間もしないうちに、1時間ほど前にテント場を出たニュージーランド人のカップルに追いついた。個人で来ている感じのいいカップルだ。
ニュージーランドと言えばトレッキング先進国。彼らもトレッキングのエキスパートだ。ツアー・パーティーと違って夜寝るのも早ければ、朝の出発も早い。
旅の荷物を全部持って歩いているのか、二人ともザックがとにかく巨大で重そうだ。登りは遅いのだが、下りや平地はけっこう歩くのが速い。
詳細な地形図のコピーを持っていたので見せてもらった。ふ~む、なるほど、なるほど、こりゃ正確な地図だ。
歩き出して2時間、9:40にカカナン峠(4,700m)に着く。ここからカリエンテ谷を下降する。先を見下ろすと、どうやらトレールはしっかりしているようだ。
美しい谷である。北の方角に赤茶けたプカコーチャ湖が見える。そのまま東に下り、ミトコーチャ湖へ続く谷と合流したところで南へ進路を変える。
進路を変えてしばらく進むと、いきなり雪を纏った峰々が目に飛び込んでくる。ニナシャンカやヒリシャンカなど、ワイワシュ山群の北部に位置する峰々だ。遠くイェルパハも見えているのだろうか?雲があってはっきり視認できない。
そのままトレールに沿って南進するとミトコーチャ湖に出る。通常、ツアー・パーティーはこの日ミトコーチャ湖に幕営するのだが、自分らはミトコーチャ湖はパスして手前で川を渡り、そのままカルアク峠に向かう。ニュージーランドのカップルと話したら、彼らもそうするという話。
川を渡るのはハンカという集落のあたりのはず。自分らの地図にはないのだが、川を渡った先に小さな尾根があり、尾根の北側を回るのか南側を回るのか、自分らの地図からは読み取れない。
なんとなく北側を回るのかなぁと思い川に下り始めたのだが、ここは南側を回るのが正解らしい。ニュージーランドのカップルが迷わず南進するので後を追った。
しばらく行くと、通行料を集める人がいた(11:45)。ここの通行料は15s。
その先で進路を東に変えて川を渡り、カルアク峠へ向かう。峠に登る途中で雲行きが怪しくなり、途中から雹が降り出した。
ハンカからダラダラした登りを2時間、13:45にカルアク峠(4,650m)に到着。おぉぉ、雲の中からシウラ・グランデ(6,344m)とイェルパハ(6,634m)が姿を現した。ともに東面が見えている。「死のクレバス」の舞台はシウラ・グランデの西壁だから、ちょうど反対側の壁が見えていることになる。
おぉぉ、これかぁぁ・・・。しばらく釘付けになっていると、ラッキーなことに晴れ間が見えてきた。写真を撮りまくる。
山に釘付けになりながらカルアコーチャ湖へと下る。カルアコーチャ湖にぶつかって東へ折れるが、ここからが意外と長かった。雹が激しくなった15:30、ようやくカルアコーチャ湖のテント場(4,138m)に到着。
既に2パーティー分のサーカス・テントが張ってある。1隊はロバが先回りしてテントだけ張ってあるものの、人はまだ到着していない模様。
激しく雹の降る中、急いで場所を選定し、テントを張って中に潜り込む。しばらくすると雷も鳴り出す。こりゃもう嵐だ。
1時間ほどしてニュージーランドのカップルも到着した。この日カルアコーチャ湖に幕営したのは全部で4パーティー。
20:00前に寝る頃には雨も上がり、キレイな星空となっていた。

7sep2010 カリエンテ谷
カカナン峠(4,700m)を越えるとカリエンテ谷が広がる

7sep2010 ミトゥコーチャ湖の手前
ミトコーチャ湖の手前 ニナシャンカ(5,607m)、ヒリシャンカ(6,094m)などワイワシュ山群北部の峰々が目の前に現れる

7sep2010 カルアク峠へのトラバース地点
カルアク峠(4,650m)へのトラバース地点

7sep2010 シウラ・グランデ東面
カルアク峠から望むシウラ・グランデ(6,344m)東面

7sep2010 イェルパハ東面
カルアク峠から望むイェルパハ(6,634m)東面

7sep2010 カルアコーチャ湖へ下る
カルアコーチャ湖へ下る

2010/9/8 水
HUAYHUASH Circuit Day 3

カルアコーチャ湖(4,138m) ~ シウラ湖 ~ 4,800m 峠 ~ フラウコーチャ湖 ~ ワイワシュ村 ~ ポルタチュエロ峠の手前(4,600m)

6:00に起きると快晴!左からシウラ・グランデ、イェルパハ、イェルパハ・チコ、ヒリシャンカと4つ並んだピークがキレイに見える。スバラシイ~思わず叫び出したくなる美しさだ。
準備を整えて7:40に出発。ニュージーランドの二人はやはり1時間ほど前に出発していった。
カルアコーチャ湖から、ルートは二通りとれる。本道はカルアコーチャ湖から東へ2kmほど下って迂回してからカルニセロ谷に沿ってカルニセロ峠(4,600m)へと登り返す。
もう一つのルートはカルアコーチャ湖をぐるりと回り、シウラ湖、ケシーリョ・コーチャ湖、4,800mの峠を越えてフラウコーチャ湖の先で本道に合流するというもの。
本道の方がルートも明瞭で楽だが(ロバも本道を通る)、ここはなんとしてでもシウラ湖のルートをとるのがオススメ。なんてったってイェルパハとシウラ・グランデの東面を間近で見られるのだから・・・間違いなくワイワシュ・サーキットのハイライトの一つだ。
本道から分岐するところで通行料の15sを払う(どちらを行っても通行料は取られる)。
山に釘付けになりながらカルアコーチャ湖を回り込んで、9:15にシウラ湖に着く。
山の東面は日が当たりだすと雪崩れっぱなしである。特にシウラの右肩あたりのセラック帯が雪崩の巣となっていて、30分に一回、頻発するときは5分に一回くらい雪崩れている。下部岩壁の雪崩の通り道には雪の滝が出現する。轟音と共に、世にも恐ろしい光景である。
轟音がとどろくたびに山の方を振り返りながらしばらく南進すると、4,800m峠への登りに差し掛かる。
登りの途中で今日もニュージーランドの二人に追いつき、先行する。11:40に4,800m峠に登りつく。この時間になるとだいぶ雲が湧いていて、山の方はあまり展望が利かなくなる。
峠からフラウコーチャ湖へ下る。珊瑚のように巨大な苔が折り重なる中に池塘がいくつも点在する美しい眺めの中を行く。眺める分には美しいが、要は湿地帯ということなのでなかなか歩きにくい。
フラウコーチャ湖を過ぎ、13:35に本道と合流。ここから2kmほど南へ下ったワイワシュ村(と言っても人家が2、3軒あるだけなのだが)が通常の幕営ポイント。
今日は、前半山に釘付けになってのんびりしたが、できればその先のビコンガ湖まで下ってしまいたい。ビコンガ湖までは手前の低い山に遮られて主峰群の展望が利かないため、余った時間にサクッと下ってしまいたいのだ。それに、また大パーティーと同じテント場に泊まるのにもうんざりしていた。
しばらく行くと、ルート上からワイワシュ村のテント場が見下ろせた。本道を行ったロバ隊が先回りして、既にサーカス・テントが何張りか張ってある。
13:50、テント場に下りたところで通行料の15sを払う。この先どのくらい時間がかかるのか聞いてみると、ポルタチュエロ峠まで1.5時間、ビコンガ湖までは4時間ほどらしい。
事前に見せてもらった地形図では、ビコンガ湖までテント場には困らなさそうである。川が流れているので水も取れそうだ。
峠の先には黒い雲が湧いていて天気が怪しそうだが、行けるところまで行くことにする。
ポルタチュエロ峠に向かってなだらかな登りを行く。このあたりのトレールは所謂インカ・トレールの一部で、勾配がほぼ一定で歩きやすい。インカの土木技術には恐れ入るが、ダラダラした登りでなかなか高度が上がらない。
15:10、4,600m付近がなかなかよい幕営ポイントになっていた。このまま峠を越えるか念のためマユミに確認すると、そろそろ体力的に限界と言う。この場所に幕営することに決定。
平坦部も水もあるのだが、如何せん風が強い。左手の岩峰の下にある巨岩の間に風を避けられるスペースを発見、テントを張ることにする。
そうこうしている内に峠の向こうから雲が押し寄せてきて雹が振り出す。あっという間にあたりは真っ白。テントを張ったのはナイス・タイミングだった。
ワイワシュ山群の東側、要するにアマゾン側は雨が多く、午後になると雲が湧き、決まって15:00過ぎになると雨やら雹が降り始める。
ちょっと遠くで雷が鳴り、あっという間に地面も白くなったが、今日も寝る頃には晴れ上がってキレイな星空が広がっていた。

8sep2010 カルアコーチャ湖のテント場
カルアコーチャ湖のテント場

8sep2010 カルアコーチャ湖とシウラ・グランデ、イェルパハ、イェルパハ・チコ
カルアコーチャ湖と(左から)シウラ・グランデ、イェルパハ、イェルパハ・チコ

8sep2010 イェルパハ、イェルパハ チコ、ヒリシャンカ
(左から)イェルパハ、イェルパハ・チコ、ヒリシャンカ

8sep2010 シウラ・グランデ東面 下部岩壁を流れ落ちる雪の滝
シウラ・グランデ東面 下部岩壁を流れ落ちる雪の滝

8sep2010 フラウコーチャ湖
フラウコーチャ湖を望む

2010/9/9 木
HUAYHUASH Circuit Day 4

ポルタチュエロ峠(4,750m) ~ ビコンガ湖(4,407m) ~ プンタ・クヨク峠(5,000m) ~ ワナクパタイ谷(4,500m)

ちょっと早めの5:20に起き、準備を整えて7:00に歩き始める。今日も快晴である。
7:30にポルタチュエロ峠(4,750m)を越える。
そのままひたすら下ると、眼下にビコンガ湖が見えてくる。湖を回り込んで登り返したところにゲートがあり、ここで通行料の15sを払う。
ゲートを通って下ったところがビコンガ湖のテント場。話を聞いたら、なんとテント場には温泉(プール)があるという。きっとツアー・パーティーは、今日はここで温泉プールに浸かってのんびりするに違いない。自分らは先を急ぐ。
テント場に下りてみると(9:30)、どうやらプンタ・クヨク峠への道(トレールはないのだが)がここで分岐しているらしい。自分らの地図からははっきり読み取れないのだが、地形を見るとおそらく間違いない。が、イマイチ確信が持てない。ルートを外すとリカバリーが大変だ。
荷物を置いてゲートまで登り返して聞いてみよう、ということになった。足早に登り返してみたのだが、既に人影はなかった・・・。おーい、誰か道を教えてくれ~。
せっかく登り返したのに、結局往復30分のロス。再びテント場に下り、周りの地形と頼りない地図をジーッと見比べる。
やはり間違いない。トレールはわからないが、ここを詰めたところがプンタ・クヨク峠だ。
そう確信して、おそらくカハタンボに続く明瞭なトレールを外れて北に折れ、広い谷間を真っ白な峰に向かって詰めていく。
しばらく登ると、向こうから羊を連れた女の子がこちらへ向かって下りてくる。おぉぉ、神の使いか。急ぎ駆け寄ってプンタ・クヨク峠の場所を聞く。
よかった~幸いにもこのまま詰め上がったところがプンタ・クヨク峠で間違いなかった。これで一安心。しばらく進むと左手の尾根にトレールも現れた。
快晴の下、峠に向けて歩を進める。5,000m近くになっても牛が何事もなく草を食んでいる。ペルーの5,000mはまだそんな世界だ。雪もなく緊張感がまるでない。どことなくのんびりとした世界が広がっている。
12:30、プンタ・クヨク峠(5,000m)に登りつく。峠の北東、すぐ脇にズタズタの雪を纏ったクヨク(5,550m)が聳えている。そしてクヨクの背後にワイワシュの主峰群が広がる。雄大だぁ~。雲が多いがよく見える。
いよいよワイワシュ山群の西側に回り込む。ここから先は山の西面が望める。「死のクレバス」の世界が近づいてきた。
景色を十分堪能してからワナクパタイ谷に下りる。広くて美しい、どこにでもテントが張れる、という谷である。
本道はそのまま谷に沿って下りていくが、サン・アントニオを越えサラポコーチャ湖へ行くのが最終目的の自分たちは、途中で北上する枝道に入る。
14:15、まだ早すぎるが、枝道を下りきったところに今日の幕営地を設定。標高は4,500m。広いテント場であるが、意外にも誰もいなかった。
テントを張って乾かす。時間があるので、ついでにシュラフやシュラフカバーも干す。今日は久々にフカフカのシュラフで眠れそうである。
すぐに地図を取り出して地形とにらめっこ。眺めのよいポイントとして知られるサン・アントニオがどこだかわからないのだ。行けばすぐにわかると思ったのに意外だぁ~。
相変らず放牧のトレースが錯綜していてサン・アントニオへのトレールがハッキリしない。地図を眺めながらあちこち歩き回る。牛はたくさんいるけど人影は見当たらないので聞きようもない。
うぅぅむ、やはりあそこか。ルンゼ状のところを詰め上がった先のコル、あそこがサン・アントニオか。出だしがけっこう急だけど、簡単に登れるのか?近くに行ってみないとハッキリわからない・・・。
一応自分の中で結論付けてテントの中で寛いでいると、トンチンカンなところから二人組が降りてきた。話をしてみると、どうやらサン・アントニオと思い込んで横の岩尾根に登ったのだが間違いだったらしい。でも、景色はよかったと満足していた。
こちらの地図を見せながら、「おそらくサン・アントニオはそこのクーロワールを詰めた先のコルだ」と教えてやった。二人は地図をのぞきこみ、「現在地はどこ?」ときたもんだ。
どうやらツアー・パーティーのメンバーで、本隊はワナクパタイ谷をちょっと下ったところに幕営しているらしい。いくらツアーとは言え、地図とコンパスくらい持ってた方がいいのでは・・・?個人で別行動をするならなおさらだ。
ワナクパタイ谷は風もなく、日が出ている間は4,500mとは思えないほど暖かい、と言うか暑いくらいだ。
山の東側は15:00を過ぎると毎日雨やら雹が降っていたが、西側はここしばらく雨の降った形跡がない。
結局その後も人は来ず、広い谷の中を自分ら二人で独占。日暮れ時、夕日に映えるクヨクがとてもキレイだった。

9sep2010 ポルタチュエロ峠の手前に幕営
昨晩はポルタチュエロ峠の手前に幕営 4,600m付近の岩の間

9sep2010 クヨク峠方向を見る
ビコンガ湖のテント場からクヨク峠(5,000m)方向を望む

9sep2010 クヨク峠から見るクヨク
クヨク峠から望むクヨク(5,550m)

9sep2010 クヨクの背後に広がるワイワシュ主峰群
クヨクの背後に広がるワイワシュ主峰群

9sep2010 ワナクパタイ谷のテント場
ワナクパタイ谷のテント場

9sep2010 テント場から 夕日に染まるクヨク
夕日に染まるクヨク

2010/9/10 金
HUAYHUASH Circuit Day 5

ワナクパタイ谷(4,500m) ~ サン・アントニオ(5,050m) ~ ワイリャパ谷(4,300m) ~ フラウ湖(4,343m) ~ サラポコーチャ湖(4,500m)

5:45に起床、テントの外を牛がのんびり移動している。どうやら自分らだけで勝手に朝の餌場に移動するようで、谷の南側の斜面をのんびり登っていた。
準備を整え7:20に出発する。川を飛び越えて湿地帯を行き、対岸のルンゼの下に出る。近くで見ると出だしもそれほど急ではなく、問題なく登れそう。
左の尾根に出たり、ルンゼに下りたりしながら高度を上げる。4,600mほどのところがいったん平坦になっている。水も流れているので、ここでも幕営可能だ。
さらに高度を上げると、4,700m付近にも平坦部がある。同じく幕営可能。
しばらくすると、下から軽荷で勢いよく上がってくる単独者がいた。道を譲る際に言葉を交わすと、昨日間違えて岩尾根を登ったうちの一人だった。そのまま先行していく。
コルの手前は傾斜のキツイ砂地になっていて登るのに難儀した。8:50、サン・アントニオ(5,050m)に出て目の前の視界が開けた。素晴らしい眺めだ。目の前にシウラ・グランデとイェルパハが鎮座している。
飽くことなくしばらく眺めていたら、突然シウラ・グランデの下部が雪崩れた。かなり大きい。裾野に雪煙が上がる。
単独者と言葉を交わす。彼はアメリカ人のジェイソン。昨日間違えて岩尾根を登ったわけだが、どうしてもサン・アントニオに行ってみたくて朝早起きして一人でやって来たらしい。ツアーの他のメンバーがダメダメで退屈なのだと言う。
自分らは北側に下りてサラポコーチャ湖へ行くと話したら、本当なら自分も一緒に行きたいところだと言っていた。地図をデジカメに撮らせてやったら、自分もワイリャパ谷を下って本隊に合流すると言って一足先に北側へ下っていった。
自分ら二人はさらにサン・アントニオに留まって山の眺めを堪能。結局1時間以上滞在して10:00に下り始める。
登ってきた南側よりずっと急で、下部は深い谷になっていそうな感じだった。下部の状態を探りながら下っていく。このまま沢沿いに下っていくか、トレースのある(何のトレースだか不明だが・・・)右の斜面をトラバースして尾根の向こう側に乗っ越すか、二通りのルートが考えられた。
そうこうする内に、沢沿いに下っていったジェイソンが下から登り返してきた。どうやら下りられないらしい。滝があるのか聞いてみたら、どうやら滝はないらしい。だったら下りられるだろうとも思ったが・・・ジェイソンの技術では下りられないだけなのか、それとも物理的に下降不可能なのか不明だが、まぁいいや。だったらまずトラバースのルートの方を見てみよう。先に沢沿いに下ってダメだったら登り返すのも大変だし・・・。
というわけで、右側の斜面をトラバースしていく。尾根状のところを一つ乗っ越すと、まだ先に緩い斜面が続いている。大丈夫そうだと声をかけると、ジェイソンも後からついてきた。
このまま沢を高巻いて下りられそうに思えたのだが・・・ダメだこりゃ。最後は自分がザックを置いて空身で偵察に下りたのだが、スッパリ切れ落ちていてザイル無しではとても下りられない。
そう告げると、ジェイソンは来た道をスタスタ登り返していった。その後彼がどうしたのかは定かでないが、おそらくサン・アントニオまで登り返し、登って来たところを下りたのだろう。
ひとまず自分らも沢まで登り返す。勘では沢沿いに下降できそう。でも、行き詰った場合、登り返すのが大変。マユミもサン・アントニオに登り返そうと言い出すので、ひとまず自分がザックを置いて偵察に出ることに。
空身で沢を下降していく。こんなところで沢登りの経験が役に立つ。滝はなさそうなのだが、先を見通せないのが不安でズンズン下降していく。水量は少なく、大きなギャップも右岸、左岸と高巻いて下りられる。
結局、下の集落が見えるところまで300mほど下降して行けると踏んだ。ここから300mの登り返しはけっこうこたえた・・・。
ザックをデポしたところまで登り返して即下降に移る。偵察した通りのルートを下降して、最後は右岸の斜面に逃げた。けっこう急な斜面だったが、無事下降成功!
ワイリャパ谷に降り立って、下降した谷を見上げつつ暫し休憩。
ここからワイリャパ川を渡って小高いモレーンを登れば、川沿いにサラポコーチャ湖まで行けるはず。
ワイリャパ川は水量が多く飛び越えられないため、仕方なく靴を脱いで渡渉した。モレーンを登ると平坦な地形が広がっていて、川沿いにサラポコーチャ湖へ向かう。
川沿いの平坦地には、人はいないが牛がたくさんいる。牛は基本的にはおとなしい動物なのだが、角があるのでけっこう怖い。近づくと一斉にこちらを見るので一瞬緊張する。中には頭を下げて戦闘モードをとるやつもいる。何もしないからおとなしく通してね~。
しばらく詰めていくと、突如として目の前にシウラ・グランデの西壁がドーンと現れる。おぉぉ、コイツかぁぁ・・・。思わず息を呑む迫力!だんだんと「死のクレバス」詣でのようになってきた・・・。その奥にはイェルパハの西壁が両翼を広げた怪鳥のように立ちはだかっている。
奥に行くに従い、巨岩がゴロゴロしていて歩きにくい。めげずに詰めていくと、シウラグランデ西壁の直下にあるサンタ・ローサ湖に出た。あまりに近すぎて、下部岩壁ばかりが目立つ。登るにしてもここから取り付くのは(下部岩壁の処理が)大変だ。
既に時間は16:00。川沿いの平坦部に幕営することも考えたが、せっかくなのでサラポコーチャ湖まで頑張ることにする。20数年前、ジョー・シンプソンとサイモン・イェーツがシウラ・グランデ西壁にアタックする際ベースを置いたのがサラポコーチャ湖なのである。
サラポコーチャ湖は左手にある巨大なモレーンの先にありそうだった。既にモレーンを登る元気はないので、最短距離で川沿いに詰める。
途中、2ヶ所ほど嫌らしい泥壁のヘツリと登りがあった。最初のポイントは自分がクリアした後マユミのザックを引き上げ、マユミも空身で無事クリアしたのだが、次のポイントでマユミがヘツリに失敗して沈した。靴が濡れたついでに、マユミはそのまま水線通しに遡行、自分は右岸を高巻いてサラポコーチャ湖に出る。
おぉぉ、ココかぁぁ・・・。何とはなしに感激する。当然人は誰もおらず貸し切りである。
実はサラポコーチャ湖からはシウラ・グランデよりもイェルパハの方がよく見える。シウラの西壁はちょっと角度がずれているし(もっと南の方を向いている)、手前の岩峰に邪魔されて下部の方が見えないのだ。
両翼を広げた怪鳥のごときイェルパハの西壁は厳しく、そして美しい。こんなところに幕営できて幸せだ。
湖の周りは平坦なので、幕営場所には困らない。もちろん水は豊富にある。
幕営の準備をしていると、何故か一頭の子牛がいた。いきなりこちらに向かって突進してくるので一瞬焦ったが、5mほど手前でピタッと止まった。どうやら人懐こいだけらしく、こちらに興味津々の様子である。
今日は天気も最高!夜になっても快晴で、イェルパハの頭上に天の川がハッキリ浮かんでいた。南半球にいることもあるが、星がありすぎて星座がまったく特定できない。シウラの右肩の上にやたらと明るい星が輝いていたが、この星の名前も判らず仕舞いだ。
夜、テントの中でマユミがストーブの火に靴をかざしていたことは言うまでもない。

10sep2010 サン・アントニオからの眺め シウラとその左のイェルパハ
サン・アントニオからの眺め シウラ・グランデ(正面)とイェルパハ(左)

10sep2010 イェルパハ西面
イェルパハ西面

10sep2010 シウラで発生した雪崩
シウラ・グランデで雪崩発生 デカイ!

10sep2010 サン・アントニオから下降した谷
サン・アントニオから下降した谷

10sep2010 シウラ・グランデ西壁
サラポコーチャ湖へ向かう途中 シウラ・グランデ西壁が目の前にドーンと現れる

10sep2010 サラパコーチャ湖に幕営
サラポコーチャ湖に幕営

10sep2010 イェルパハ
夕日に染まるイェルパハ西壁

2010/9/11 土
HUAYHUASH Circuit Day 6

サラポコーチャ湖(4,500m) ~ ワイリャパ谷(4,300m) ~ ワイリャパ(3,600m)

朝から快晴!今日はワイリャパ村へ下りるだけなので、マユミの靴を乾かしがてらサラポコーチャ湖でのんびりする。
風もなく静か。エメラルドグリーンの湖面にイェルパハが写る。湖の向こうに鎮座するイェルパハの姿が神々しい。
この場所は、これまで訪れてきた場所の中でのマイ・フェイバリット・スポット。パタゴニアのフィッツロイやパイネのトレッキングも忘れがたいが、サラポコーチャのこの眺めにはちょっとかなわないなぁ・・・。
イェルパハはここからみると双耳峰に見えないが、サラポコーチャから望むこの姿が一番美しいと思う。それにしても・・・いったいどこを登るというんだ、この山は。風の創り上げた、芸術作品のごとき雪の衣装を身に纏ったその姿は、まさに難攻不落に思える。
不気味なほどのこの静寂・・・あまりに神々しい。途轍もない引力があって、ちょっと去り難い気分にさせてくれる。
イェルパハの引力を振り切って、10:10にサラポコーチャを後にする。何度も、何度も、後ろを振り返りつつ・・・。
帰りは、右岸のモレーンを高巻いたら、簡単にモレーンの下に降りられた。そして、シウラを遮る岩尾根を回り込むと、シウラ・グランデの西壁がドーンと現れる。ここにも引力がある。
西壁の真正面に陣取って、暫し釘付けになる。20数年前にジョーとサイモンの登った壁だ。
「彼らが登ったラインは・・・あそこか。山頂に抜けて左側のあのリッジを下りたのか・・・で、ジョーが足を骨折して・・・ザイルを結んで西壁のあのあたりを下降して、あそこの馬鹿でかいクレバスに落ちたのか・・・?」などと思いを巡らす。あぁぁ、今この場所で「死のクレバス」を読みたい、「運命を分けたザイル」を観たい。
ずっとこの場所で壁を眺めていたい気分になる。時折り、壁の反対側に雪崩の音が響く。
去り難いけど、お別れだ。シウラの引力も振り切って、また歩き始める。何度も、何度も、後ろを振り返りつつ。何度も、何度も・・・。
今朝の牛たちはとても穏やかで、すんなりと道を開けてくれた。
11:50にワイリャパ谷に下り立った。もう、イェルパハもシウラも見えない。
そのままワイリャパ川に沿って谷を下降していく。トレールが右岸と左岸のどちらにあるのかハッキリしないため、時折り飛び石で川を渡って歩きやすい方を歩く。
しばらく右岸を歩いていたのだが、どうやらトレールは左岸にあるらしい。この地点では、既に飛び石で川を渡れない。仕方なくまた靴を脱いで渡渉・・・流れが速いのでけっこう緊張した。
12:50、ここからはトレールに沿って下降する。途中から、ワイリャパから来たと言う男の子と一緒に歩いた。
道は所々水が流れて川のようになっていて歩きにくい。濡れた足で歩いたためか、自分には珍しく左足の裏が変に擦れて内出血のようになってしまった。
集落に近づくと、石垣や段々畑が現れてくる。どことなくマチュピチュ(まだ実物を見てないけど・・・)を思わせる光景だ。
アウキマルカの集落を越えてしばらく下ったところがワイリャパ村。村の入口で通行料の35s(高い!)を払う。
ここはかなりの家が集まった、所謂村らしい村だ。土壁や狭い路地、裸電球の街灯(水力発電をしていて村には電気がある)、どことなく昭和初期の日本を思わせる。
で、こんな村のどこにテントを張れるんかなぁと思って人に聞いたら、先ほど通り過ぎた長い土壁の施錠された門を開けてくれて中に通してくれた(16:10)。中は要するにグラウンド?のようだった。他に人はおらずまたも貸切だ。壁に囲まれたテント場というのも、なんか変な気分だ。
後で気付いたのだが、実はタプシュ峠に行く道は村の中心を通る前に分岐していて、村に泊まる人はほとんどいないようである。ツアー・パーティーなどはもっと手前に幕営するのかな?サーカス・テントが張れるような広いところはなかったような気もするが・・・。
そんなわけで外国人が珍しいのか、次々に人がやって来てテントの外でおしゃべりに興じることになった。話好きの一人のばあちゃんがなかなか解放してくれなかった・・・。
ワイリャパの標高は3,600m。考えてみたら初日のマタカンチャ以来、4,000m以下のところに下りるのは初めてだ。

11sep2010 朝のテント場
朝のサラポコーチャ湖

11sep2010 難峰イェルパハ
難峰イェルパハ

11sep2010 イェルパハ西壁
イェルパハ西壁

11sep2010 シウラ・グランデ西壁を眺める
シウラ・グランデ西壁を見上げる

11sep2010 シウラ・グランデ西壁
シウラ・グランデ西壁

11sep2010  ワイリャパ川を渡渉
ワイリャパ川を渡渉

2010/9/12 日
HUAYHUASH Circuit Day 7

ワイリャパ(3,600m) ~ タプシュ峠(4,800m) ~ ススコーチャ湖 ~ トゥルパ(4,300m)

今日は幾分雲が多い。6:00に起きてのんびり準備し、8:10に歩き始める。
まずは村人にタプシュ峠へ行く道を尋ねる。昨日通り過ぎたはずなのだが、まったく分岐に気付かなかった。
で、そこまで戻ってみたが、うぅぅむ、こりゃ普通わからんわな・・・。急登を登って沢沿いのトレールに出る。
今日はまず3,600mのワイリャパから4,800mのタプシュ峠まで1,200mの登り返しだ。
しばらく登ると谷が開け、眺めがよくなる。そのままワンチャ谷を詰めていくが、所々放牧のトレースが錯綜していてわかりにくい。
右手に見えてくる雪峰はスエロコーチャ(5,350m)だろうか?
12:50にようやくタプシュ峠に登りつく。やけにだだっ広い峠だ。
そのまま歩いてディアブロ・ムード(5,223m)の西麓を過ぎる。広大な平坦地が広がり、最適なテント場のはずが、水がなかった・・・。どういったわけか池塘もみんな干上がっていた。峠の手前には水もあり、幕営可能なポイントがいくつかあった。
トレールに沿ってススコーチャ湖の方へ下っていく。ススコーチャ湖を越えてしばらく下るとトゥルパという地点に出る(14:00)。ここでリャマクへ向かう道とヤウチャ峠へ向かう道が分岐。どちらを辿ってもハウアコーチャ湖へは行けるのだが、眺めのよいヤウチャ峠経由のルートをチョイス。
少々早いが、明日の行程も短いので、分岐に入ってちょこっと行った平坦部に幕営(14:15)。標高は4,500m。
ヤウチャ峠の方には黒い雲が湧き、今いる場所も雨が降るのは時間の問題かと思われたが、不思議と雲は峠で止まり、結局雨には降られなかった。
今日も時間があるのでシュラフやシュラフカバーを干す。
後から二人組のガイド・パーティーがやって来て近くに幕営していた。

12sep2010 土壁に囲まれたワイリャパ村のテント場
昨晩はワイリャパ村に幕営 土壁に囲まれた村のテント場

12sep2010 タプシュ峠への登り
タプシュ峠への登り 正面の山はスエロコーチャ(5,350m)

12sep2010 トゥルパからヤウチャ方向に入った平坦地に幕営
トゥルパからヤウチャ峠方向に入った平坦地に幕営

2010/9/13 月
HUAYHUASH Circuit Day 8

トゥルパ(4,300m) ~ ヤウチャ峠(4,800m) ~ ハウアコーチャ湖(4,066m)

今日も晴れ。6:10に起きて7:50に歩き始める。
ヤウチャ峠まではすぐで、9:00に峠に着く。じいちゃんが犬を連れて散歩に来ていた。
峠からはイェルパハ、イェルパハ・チコ、ヒリシャンカが並んでいるのがよく見える。ここから見るイェルパハは完全な双耳峰だ。
峠から少し下ると、手前の岩峰に遮られていたシウラ・グランデが姿を現す。ここから見るシウラはグチャグチャっとしたでっかい雪の塊だ。
イェルパハもシウラも、サラポコーチャから見たのと同じような面を見ているはずが、随分と印象が違う。サラポコーチャから見ていたのは、西面というより南面に近いのかもしれない。
ワクリシュ谷沿いにしばらく下っていくとハウアコーチャ湖が見えてくる。11:20、ハウアコーチャ湖に下りて湖畔に幕営(4,066m)。まだ他に誰もいない。
湖畔にはばあちゃんが住んでいて、テントを張っていると「マスはいらんかね?」と売り込みに来た。ハウアコーチャ湖にはマスがいて、一年中釣りが楽しめるらしい。氷河湖だから元々マスがいるはずはなく、誰かが放流したものが住み着いたものと思われる。
マス何匹かとジャガイモがついて一皿10s。町で定食が4sで食べられることを考えると少々高いが、明日はリャマクに下りるだけだし、今日はちょっと贅沢をしよう。ちょうど食料も尽きかけていて、今晩の夕食は米とスープしかないところだったのだ。18:00にマスを二皿お願いした。
シュラフを干してから水と行動食だけ持ってさらに奥にあるソルテラコーチャ湖(4,100m)まで散歩。
ハウアコーチャ湖から歩いて1時間ほど。手前にある巨大なモレーンに登ると、眼下にソルテラコーチャ湖が広がる。
ここから湖越しに見るイェルパハもなかなか素晴しい。イェルパハは、最も一般的にはこのあたりから登るらしいのだが、やはり登れそうには見えない。いったいどこをどう登るんだか・・・。
天気がよく、時間もあるので、モレーンの上から1時間半もボーっと周りの山を眺めていた。実にいいところだ。
15:15にハウアコーチャ湖へ戻ると、他に2パーティーがテントを張っていた。1隊は昨日隣にテントを張っていたガイド・パーティー、もう1隊はサーカス・テントを張った巨大なツアー・パーティーで、ともにヤウチャ峠から下りてきたパーティーだ。リャマクからショート・トレッキングに来る人がけっこういるのかなぁと思っていたのだが、意外にも下から来る人は一人もいなかった。
驚いたのは巨大なツアー・パーティー。最後の晩餐も兼ねてだろうが、子羊を一匹買ったらしく、川の近くでペルー人のおっちゃんとおばちゃんが解体しているところだった。
それにしても、ナイフ一本で上手いこと解体するもんだ。手際のよさに思わず感心してしまう。
見てると子羊ってのは肉として食べられる部分はほとんどないんだねぇ・・・まともに食べられるのは四肢の腿肉くらいか。腹部は臓物がほとんどで、あばらの周りにはほとんど肉がついてない。
胃袋の大きさにビックリ。草食動物の胃袋ってのはデカイんだねぇ・・・。聞いたらこの子羊は生まれてまだ1年ということだったが。
テントに戻って米を炊きながら18:00のマスを待つ。運悪く18:00頃になってちょうど雨が降ってきた。さっきまであれだけクッキリ見えていたイェルパハも、ガスってしまってまったく見えない。
おばちゃんのマスはすごかった。小振りのやつが二皿合わせて9匹も!ジャガイモもたっぷり。これだけ食べると、日本なら一皿1,000円は下らないだろう。
これがまた旨い!絶妙な焼き加減で、炊いた米と一緒にぺロッと食べてしまった。とても充実した最後の晩餐だった。
20:00前の寝る時間になると、雨はすっかり上がった。

13sep2010 ヤウチャ峠に散歩に来ていたじいちゃんと
ヤウチャ峠(4,800m)にて 犬と散歩に来ていたじいちゃん

13sep2010 ハウアコーチャ湖への下りから見るシウラ・グランデ西面
ハウアコーチャ湖への下りから望むシウラ・グランデ西面

13sep2010 ハウアコーチャ湖畔に幕営
ハウアコーチャ湖畔に幕営

13sep2010 ソルテラコーチャ湖のモレーンの上から眺めるイェルパハ
ソルテラコーチャ湖のモレーン上から望むイェルパハ

13sep2010 イェルパハを見上げる
モレーンの上からイェルパハを見上げる

13sep2010 子羊を解体中
子羊を解体中

13sep2010 最後の晩餐のマス
最後の晩餐のマス

2010/9/14 火
HUAYHUASH Circuit Day 9

ハウアコーチャ湖(4,066m) ~ パンパ・リャマク峠(4,300m) ~ リャマク(3,300m) ⇒ チキアン(3,400m) ⇒ ワラス(3,100m)

晴れているが、ここからイェルパハは真東の方角になるので、白っ茶けていて山が鮮明に見えない。
リャマクまでは4時間ほどということだが、何があるかわからないので、12:00のバスに乗り遅れないよう早めに行動することに。
5:20に起きて7:15に出発。出掛けに、マスのおばちゃんにテント場の使用料10sを払う。
パクリョン谷に沿ってトレールを下る。8:00に分岐に差し掛かる。どちらを辿ってもリャマクには行けるが、距離の短い(が、登りはキツイ)右手の枝道に入る。
ここの分岐には、ルート上はじめて「To Llamac」と表示があった。
最後に峠を一つ越えねばならない。パンパ・リャマク峠(4,300m)で、およそ300mの登りとなる。
右岸の山の中腹につけられたトレールを辿り、9:55にパンパ・リャマク峠を通過。峠からリャマクまで広い尾根を下る。3,300mのリャマクまで1,000mの下り。
長い、長い尾根を延々と下る。意外と時間がかかり、最後はちょっと小走りになったが、11:30に無事リャマクに下りることができた。なんとかバスには間に合った!
バスの運賃は行きと同じ20s。少々遅れて12:30過ぎに出発。ワラスまでさらに5、6時間かかるかと思うと気が遠くなる。
チキアンに14:00に到着、行きと違って長い休憩はなく、途中工事が多かったもののワラスには17:30に着いた。
ワラスは活気があって、山から帰ってくるとちょっとホッとする。
町で久々に食べる食べ物は美味しかった。食堂で食べる定食の他にも、1sで色々なものが食べられる。
ワラスに来て以来はまっているのが、具入りのジャガイモを油で揚げたペルー版ジャンクフード。地元の人もよく食べていて、揚がるそばからどんどん売れていく。店の前にはいつも人だかりだ。揚げたては特に旨い!
アイスクリームも大盛り二玉で1s、手作りビスケット(トウモロコシ風味でとても美味)も一袋1s、揚げたてのドーナツも一皿1s、手作りバーガーも一つ1sだ。
食べものは美味しいし、人はいいし、天気はいいし、山はキレイだし・・・やっぱペルー最高!ワラス最高!

14sep2010 パクリョン谷を見下ろす
リャマクへの下り パクリョン谷を見下ろす
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