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トリポリ

2010/6/19 土
「物質的に豊かなことが必ずしも幸せなことなのだろうか?」ベイルートからトリポリに向かうバスの中で、窓の外を見ながらふとそんなことを考えていた。
レバノンを走っている高級車の数には驚く。高級セダンやSUVからスーパーカーまで、ちょっと異常なほどだ。日本ほど車が高くないのかもしれないが、ここまで高級車が走っているのはやはりちょっと異常だ。
所得格差に基づく歪な社会構造が大きな要因であることは容易に想像がつく。高級車に乗っている人のほとんどはキリスト教徒である。
事の発端は第一次大戦後のフランス統治時代に遡る。フランスは統治が容易になるように少数派のキリスト教徒を優遇する政策を取った。その歪は独立後も残り、'70年代には内戦に発展した。レバノン内戦にはそんな背景がある。単なる宗教戦争ということではない。
別にだからと言ってキリスト教徒がどうこう言うつもりは毛頭ない。ただ事実として、この国には現在も尚そのような歪な社会構造が残っているということである。
余談であるが、高級SUVの中ではインフィニティのFX35が最高にクールだ。価格はどうだか知らないが、ポルシェのカイエンやBMWのX5より断然カッコイイと思う。かなりの数を見かけるからなかなかの人気車種である。
今日はトリポリに移動する。トリポリ行きのバスが出るガラージュ・シャール・ヘロウまでは、バスがつかまらず30分ほど歩いてしまった。
客は4、5人しかいないが乗って少しするとバスは出発、途中で客を拾いながらトリポリに向かう。トリポリまで一人2,000LP。
およそ2時間でトリポリに到着。降りるときに荷物代を請求されたが、地元の人は誰も払ってないので(ここまでデカイ荷物を持ってる人もいないが・・・)突っぱねた。そういうことは乗る際に運賃を確認したとき言ってもらわないと・・・。
ベイルートの宿のおっちゃんにも勧められたハダッド・ペンションまでは歩いてすぐ。ドミが一人$10(15,000LP)。
ハダッド・ペンションは主にばあちゃん二人が切り盛りしている。ばあちゃんたちの住んでいる普通の民家の一室を客に開放しているといった具合の、まさにレバノン版民宿といったアットホームな宿だ。
ドミ部屋のドアの向こうがすぐレセプションで、昼間はばあちゃんやその友達?が居眠りしていたりおしゃべりしていたり。どことなく老人ホームのようでほのぼのとしている。
ばあちゃんたちはとても働き者で、昼間の暑い時間はイスに座って居眠りしているが、朝から夜遅くまで一日中働きずくめだ。よく掃除をしてくれている高齢の方のばあちゃんはとてもチャーミングである。
今日は日本のW杯二戦目。宿のTVで観戦させてもらった。惜しくも0-1で敗れはしたが、試合内容は悪くなかったと思う。街に出ると土地の人も「日本はいい試合をした」と声を掛けてくれた。まぁそれでも負けは負けというところが勝負の世界の厳しさ。
夕方、ペトラとアンマンで同じ宿だったシンヤ君が宿に来た。彼はアンマンからイスラエルに行っていたのだが、パレスチナ自治区はかなり興味深いところだったらしい。イスラエルに入国せねばならないが、こちらも大いに関心のあるところなのでパレスチナ自治区には後日行ってみたいと思う。

2010/6/20 日
レバノン杉のあるカディーシャ渓谷へ。
レバノン杉というのはレバノン国旗の中央に描かれている木のことで、杉とは言うがヒマラヤ杉と同じくマツ科の高木である。
宿の近くのインフォメーション前からバスに乗り、およそ1時間でカディーシャ渓谷にあるブシャーレに到着。運賃は4,000LP。
カディーシャ渓谷は広くて明るく、どことなく伊那谷を思い起こさせる。緑の山の斜面に白壁の家が点在する美しいところで、レバノン一の景勝地である。
標高1,500mほどの教会前から歩き始める。主なルートは二つあり、車の通る広い道を上りに使った。途中、道端でさくらんぼを売るおばちゃんが手招きしてくれ、二人の両手いっぱいのさくらんぼをくれた。シリアもそうだったけど、このあたりのさくらんぼは瑞々しくて甘くとても美味しい。
ちょうど1時間ほど歩いたところで一台の車が止まってくれ、残りの半分はありがたく車に乗せてもらった。
レバノン杉の保護区は標高2,000mくらい、ちょうどこのあたりの森林限界に位置している。森林限界より上の山肌は明るい緑の草に覆われていてヨーロッパの山並みのような景観だ。山腹にはスキーのリフトも見える。うぅぅむ、ここでスキーをしたらさぞ気持ちいいだろうなぁ。
シンヤ君とは朝別に出て、保護区の中で合流した。
木目の美しさと腐りにくさからその昔、船や建物の材料として乱伐された結果、今では1,200本にまで激減し国が保護をしている。保護区の杉はほとんどが樹齢1,200~2,000年の大木である。
エジプト以降ここまでカラカラに乾いた遺跡ばかり巡ってきた観があるので、久々に見る木と森は実に新鮮であり、ホッとする。やはり山の国、森の国の人ですもの・・・。そんな山の国から来た自分らにとって正直レバノン杉自体は驚くようなものではないが、やっぱ木はいいもんです。何時間でも木陰に座ってボーっとしていたい衝動に駆られる。もしレバノンに来ることがあったら、ぜひレバノン杉を見に来ることをお勧めする。
帰りは行きと違うもう一本の道を教会まで下った。こちらの道の方が眺めはよい。
16:00の最終バスに乗ってトリポリに帰ってきた。
明日でレバノンともお別れだ。結局レバノンの美味しいアラビア料理というのは食べられなかったなぁ。悲しいかな、それ相応のレストランに行かないと食べられないようで・・・。

20jun2010 カディーシャ渓谷 20jun2010 レバノン杉

20jun2010 レバノン杉の葉 20jun2010 レバノン杉の森からレバノン山脈の峰を望む
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