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大西山 松川ルート

大西山は地味な伊那谷の山々の中で、なおかつ不人気な部類の山である。
登ったところで展望もないのだからもっともなのだろうけど、個人的にはけっこう気に入っている山です。
自宅から近いし、何より人がいなくて静かであるのが第一。
そして大西山の南側、主脈上にブナやミズナラを中心とした一部原生林と思しき樹林が残っていて、その場所が大のお気に入り。

大西山の登山ルートは三つある。
大鹿ルート、松川ルート、豊丘ルートの三つで、それぞれの村から登ることができる。
松川ルートと豊丘ルートは伊那谷側から登れるルートで、大鹿ルートは伊那山地の反対側から登るルートです。
この中でもっともポピュラーなのは大鹿ルート。もっともポピュラーというか、唯一登山ルートの体をなしていると言ってよさそう。
伊那谷側から大西山に登る人は今ではほとんどいないと見える。

松川ルートはこれまでに二度登ったことがある(2015年と2018年)。
 過去の記録はこちら → 【自転車アプローチ登山13 大西山(1,741m)】 【大西山から鬼面山まで往復(自転車アプローチ) 一日目

自転車アプローチでも自宅から十分日帰りできる山ですが、今回の山行の主たる目的は山で一晩ぐっすり眠ること。
前回同様松川ルートから登って、支尾根に上がる直前に水を汲んで主脈上へ担ぎ上げました。

以下が山行の記録ですが、はじめに特記しておくと、松川ルートは登るたびに難易度が上がっている。
もともと明瞭な登山道というものはありませんでしたが、年を追うごとに沢が荒れ、目印のテープがなくなり、もうほとんど自然にかえってます。
道のあるところや目印べたばりのところしか歩いたことのない人にはもはやトレースできまい・・・そんなルートになってしまいました。


【一日目】

日付: 2020/5/28(木) 晴れ
行程: (自宅)0750 ~ (部奈) ~ 0955(大西山入山口=林道間沢川線終点)1055 ~ 1330(支尾根取付=カツラ巨木)1405 ~ 1445(P1634)1500 ~ 1520(展望ピーク) ~ 1530(大西山頂)1540 ~ 1615(P1687)


竜東線から旧道で部奈に上がり、県22(松川大鹿線)に合流してからもうしばらく詰めて、右手に現れる柄山隧道を抜ける。
あとは林道間沢川線を終点まで延々と詰める。


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自宅近くから。正面に見える双耳峰が大西山。
ちなみに、手前の台地の上にあるのが部奈。


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部奈に上る旧道


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部奈に出る。正面は中央アルプス。


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林道間沢川線


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林道終点


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倒木に阻まれて以前使っていた木に近づけなかったので、今回は別の木に自転車を縛りつけてスタート。


下部は昔ながらの沢登り。
つまりは沢靴を履いて遡行するのではなく、水には入らず、単に沢にルートをとって詰めていく。


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なんだか水がずいぶん少ない気がする・・・


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滝はこんなだったかなぁ・・・


滝の上をもうしばらく詰めてみたが、やはりこの沢は違うだろうということに気付く。
沢の突き上げる方角は正しいが、渓相があまりに違いすぎる。

以前にも来ているので地図を確認せずに歩き始めたが、どうやら最初に出合う支沢にいきなり入り込んでしまったらしい。
戻ってみると本流のルートのものと思われる目印があった。


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クライムダウンして出合まで戻る。いきなりのルートミスに自分でもビックリ。


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本流に戻ってしばらく詰めると本来の滝がある。そうそうこんな感じだった。


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左岸から登れる。
昔の記録によると右岸から巻くこともできたようだが(けっこうな高巻き)、もう巻き道は自然にかえってしまってないであろう。


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源頭部に近づく。


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おなじみのカツラの巨木。
背後に見えるのがこれから登る支尾根のスカイライン。
このまま源頭まで沢を詰めても登れそうだけど(おそらく大鹿ルートと合流する)、どっちが楽だろう?


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毎度ながらここでおいしい水を汲んで尾根上に担ぎ上げる。今回は一人4Lほど。


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支尾根はけっこうな急登。写真はP1634直下。


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P1634は皆伐されて禿山になっている。
地形図ではここに三角点がありそうだが、三角点はどこにも見当たらない。
大鹿ルートは三角点を通るみたいだから、ピークからかなり下ったところに三角点が設置されているようだ。
ちなみに、大鹿ルートはP1634の下を巻いていて、禿山のピークは通らない。


P1634の先はルーファイに気をつかう。
尾根が広く、行く手にこんもり盛り上がったピークがいくつか見えて、大西山がどちらにあるのか目視からは判断できない。
ここは方角だけ定めて、多少藪をこいでも尾根を忠実に詰めたほうがよい。
前回はここでルートミスをしたので、今回はそのようにした。


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展望ピークに着く。
大鹿ルートには写真のような案内板が随所にあるらしい。
写真は大鹿ルートの側(案内板が見える側)から撮っているが、伊那谷側からはちょうど写真の背後のほうから展望ピークに詰めてくることになる。
ちなみに、展望ピークとは名ばかりで、周囲の木がすっかり大きくなってしまって展望はほとんどありません。南アルプス側がチラッと見えるだけ。


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展望ピークから10分ほどで大西山山頂。
ここにも幕営可能だが、本能的にいまひとつ落ち着かないので(絶対に人が来ないとは言い切れないし)、ひとつ先のP1687に幕営することにした。


大西山の先もルーファイに少々気をつかう。
尾根がだだっ広い上に、二重稜線であったり地形が複雑。
前回はここで尾根を取り違えて登り返したので、今回は注意して主脈上をたどった。

大西山から、そのまま南西方向に詰めると別な尾根に乗ってしまうので、少し進んで南に転進する。
上からは大きく下ってしまうように見えるけど、それで正解。


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大西山の先の二重稜線


大西山の先に目的の原生林がある。
ブナやミズナラの巨木が茂っていて気持ちいい。


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写真はミズナラ


巨木以上に驚いたのが、ここにはブナの幼木がポコポコ出ている。
ブナは毎年実をつけるわけではないらしい。おまけにブナの実は栄養価が高く動物たちに大人気なので、かなりの確率で食べられてしまう。
山でブナの実を見るのは稀だし、さらには幼木を目にすることなんてほとんどなかったので、貴重な場所だ。


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そんな可愛いブナの幼木たち。


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がんばって大きく育ってほしい。


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そして目的のテン場、P1687の樹林の中。
まず間違いなく誰も来ない場所だし、静かだし、木々に守られている感じがとても落ち着く。
強烈な西日も遮ってくれるからこんなに明るいうちからテントを張っていられるし、朝もいつまでも寝ていられる。


テン場として、最も安全で最も快適なのが樹林の中だ。
雨や最も怖い風から守ってくれるし、太陽の直射も遮ってくれる。下は落ち葉でたいていふかふかだし、濡れたテントも樹林の中に張っておくとなぜか乾くという不思議な場所だ。
山に限らず歩き旅や自転車旅でも、世界の各地でよく森の中に幕営した。


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炊事道具はこの程度。
ストーブは無雪期ならカセットガスのもので十分。便利すぎて、山でもニ、三泊くらいならもうこれ以外使ってないです。
ちなみに、コンロに乗っている鍋はその昔ペルーのワラスの市場で買ったもの。なぜか日本ではこのくらいの大きさのシンプルな鍋が手に入らないので、今でも重宝している。
ストーブの下に敷いているベニヤはオランダのユトレヒトの製材所で切ってもらったもので、これまた大きさが絶妙で重宝している。


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飯はシンプルで、ご飯とふりかけにみそ汁のみ。
余ったご飯を翌朝お茶漬けにする。


【二日目】

日付: 2020/5/29(金) 晴れのち曇り
行程: (P1687)0950 ~ 1140(展望ピーク) ~ 1200(P1634) ~ 1235(支尾根取付=カツラ巨木)1255 ~ 1400(林道終点)1450 ~ (部奈) ~ 1615(自宅)


昨晩19:45に寝て、日がけっこうな高さまで登った7:45までシュラフにくるまっていた。
何にも邪魔されず、たっぷりの12時間睡眠。最高だ!


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今日は下るだけなのでのんびりテント撤収。


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ときに、ブナというのは大器晩成で、生長はきわめて遅いが、最終的には周囲のほかの木より大きくなる。
日があまり当たらなくても育つし、特徴的だと思うのは枝が強いこと。
樹木には隣の木と干渉するとすぐに枝を落とすものとそうでないものがある。
針葉樹はだいたいどれもすぐに枝を落としますね。松なんて本当にすぐ落とします。クヌギなんかも諦めが早く、干渉した枝は早くに枯らせてしまうように見受けられる。
反対に強いのがブナ。干渉したときに勝つ側です。
写真ではブナの枝がツガの幹にめりこんでいる。


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木を見ながらのんびり大西山へ。


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巨木には引力がある。


前回はなぜか巻いてしまった大西山の山頂もしっかり踏んで展望ピークへ。
ここまでは問題ないが、展望ピークから先、禿山のP1634まで下るのが意外に難しい。
結果的にはあっていたのだが、下る方角が微妙にずれている気がして確信が持てなかったので、途中から登り返し一度展望ピークまで戻ってから下りなおした。
下りで狙いの尾根に正確に乗るというのは難しい。

禿山のP1634に出られれば、あとは尾根を外す心配もない。
カツラの巨木のところで尾根から沢に下り、そのまま沢を下る。


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滝の水流横をクライムダウン。


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暑い日は最高!


林道終点まで下ったら荷物をパッキングしなおして、おいしい沢の水をペットボトルに汲み、来た道を下る。
毎度ながら、帰りの自転車はほぼ下るだけなので楽チンだ。


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林道終点まで下りるとすっかり曇ってしまい、部奈まで来ると天気雨に降られた。


不安定な空模様だが、本格的に降られるまでにはまだ時間がありそうなので、部奈にある縄文遺跡と展望台に寄っていった。


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縄文時代の祭祀遺跡
入口の果樹園に自転車をとめていると、遺跡はそっちだとお婆さんが教えてくれた。


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そして部奈の展望公園
久しぶりに来たら、こんなにきれいに整備されていた。以前来たときは道も舗装されてなかったし、こんな東屋ももちろんなかった。


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そのまま小渋へ下る。
道はこの先急坂になる。下ったことしかないけど、ここを上るのはいやだなぁ・・・と来るたびに思う。


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部奈にかける橋!
部奈こそ別天地と言っていいと思う。
山の上にあり、ここまで下りてしまうとまったく見えない。マチュピチュのようなところです。


自宅にたどり着く直前に雨に降られた。


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