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初猪(雄・推定3歳)

解体施設で扱う野生獣は主に鹿と猪で、鹿が九割、猪が一割といったところです。
猪は抜群に旨いし、鹿に比べれば一般的で流通ルートもそれなりにあることから、猟師が自分でさばいてしまうことも多く、猪を解体精肉できる機会はそれほど多くありません。
昨年一度だけ手伝いながら教わったことがありましたけど、それっきり。
頻繁に捕れる鹿と違って、なかなか経験値を上げられません。

そのような中、5月に猪が捕れました。
鹿が4、5頭たまっているときに捕れたので、それらをさばいた後の土曜に腰を据えて解体。
その備忘録です。

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雄の猪、推定3歳。
肩のあたりの肉がすごい。たてがみも風格があります。

まずは皮剥き。これがたいへん。
基本的にやることは鹿と一緒なのだけれど、猪と鹿とではかかる労力に雲泥の差がある。
猪は鹿より脂が段ちがいに多く、かつ脂にこそ価値があるので(脂の旨さが猪の真骨頂)、脂を肉のほうに残して皮一枚だけを剥かねばならない。気を遣って丁寧に剥く必要があります。

極端にいえば、鹿の場合ある程度皮が剥けてくると、力を入れて引っ張ればベリベリベリッとまるでパンツでも脱がすように、ナイフなど使わずに剥くことができる。これは兎なども一緒ですね、普段そこまで乱暴に剥くことはないですけど。
猪の場合はそうはいきません。丁寧にナイフを入れながら、ちょっとずつちょっとずつ剥いていきます。

やり方は二通りあります。
鹿のように吊るして剥くか、台の上に寝かせて剥くか。
台の上に寝かせて剥くほうが一般的ですかね。もちろん猟師は寝かせて剥きます。
自分らの場合は吊るして剥くことから入っているので、そうしたほうが慣れていてやりやすい。
寝かせてある程度剥いてから、鹿と同様に足の腱にフックをかけて吊ることにしました。

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この程度まで剥いてフックで吊る。
鹿と比べて皮が硬くごわごわしている上、毛が皮膚を通り越して皮下脂肪ギリギリのところから生えているので、皮だけ剥こうとギリギリのところを狙うと、毛の一部が脂もろとも削げて肉のほうに残ってしまったりします。
こればかりはなんとも説明のしようがなく、皮の引っ張り具合とか刃の入れ方など、実際にやりながら身体で覚えていくしかないですね。

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皮を剥き終えた猪。
なにぶん初めてのことであったゆえ、ここまで剥くのに2時間もかかりました・・・。
白く見えているのはすべて脂。背中のもっとも厚いところで2cmくらい。
一番脂のつく時季の半分くらいでしょうけど、思ったよりついてました。
毎度、皮を剥いてしまうと別のものに見える・・・まるでバクかなにかのよう。

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剥いた皮のほうはこんな感じ。

皮を剥いてからのばらし方にもいろいろやり方があると思います。
知る限りでは、背割りすることが多いんですかね。足もついている状態でひとまず鋸などで真っ二つにしてしまうというものです。

が、やり慣れた方法でばらしました。
・・・手足をはずし、片側ずつロースからネックまで切り出す。内ロース(ヒレ肉)を取ったら、ばら肉ごとあばらをはずす。最後に、頬肉や顎の肉などを塊で切り出す。

ちなみに、手というのは前足のことです。このあたりではそう呼んでます。
他にも独特の呼び方をするものがあって、肩胛骨は「羽子板」、後ろ足の股関節は「ぐりぐり」などと呼びます。

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顎の下(左)から骨盤(右)まで、

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猪は捨てるところがほとんどありません。
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